第54話 バトン
リザの話を聞いて2人は付き合ってるのは分かった。だけどまだ12歳だ。いずれは2人だけで暮らしたいと言うだろうけど……
「2人の関係は分かったわ、でもまだ私たちに伝えるのは早かったんじゃない?」
私の問いにリザ答える。
「そうなんですが。まだ続きがありまして……」
「私が最初、3人が羨ましいと言ったのは親が私の事を理解してくれずリザさんとの事もあんまり良く思ってくれてなくて……」
これはシエスタさんとイズミさんの時と同じパターンの奴だ。
「なるほど……スピカちゃんはリザと一緒にいたいけど親が許してくれないと?」
「はい、いつも特に関心を持ってないのに友達としてリザさんを連れて行って帰った後に……あの子とはもう関わるなって言われて……」
「はぁ⁉︎なんですかそれ!許せませんねセレン様!」
「レナ、座りなさい。怒る気持ちは分かるけどここでどうこう出来ないでしょ?それでスピカちゃんは理由は聞いたの?」
「聞いたのですが、教えてくれませんでした。なのでセレンさんとレナさんのことを見て話せば両親も変わるかなと……」
スピカちゃんはなかなかに頭が切れる子。確かに行動力もあるしその思考も12歳にしては上出来だ。だけど……
「言わない方がいいわよ。」
「「えっ?」」
リザとスピカちゃんは驚きの声を上げる。しかしレナは至って普通だった。
「確かに言わない方がいいかも。下手に言うとスピカちゃんを更に監視してくるかも。」
「そうね。私もそう思う。親は子供を守る為なら手段を選ばないもの。まして近づけたくない子を無理矢理離す為なら引っ越しだってする人もいるわ。」
「そんな……」
「少しきつい事言うけどね。スピカちゃんはまだ人っていうのを知らないわ。人は簡単に裏切るし、心で何を考えてるかわからないわ。親だって実際何考えてるか分からないもの。」
私は父上にお城から追放された身。でも、それには思惑もあった。しかしその前に私は何度もSOSの反応を出してそれでも聞いてくれなかった。だからこそ親でも信用はできない事を知っている。
「でも、セレン様。それなら2人を助ける方法ないですよね?」
「何言ってるのレナ、あるじゃない?そのためにスピカちゃんを連れて来たのでしょう?」
「はい!2人の話、そして同性婚の法律の事をリザさんに聞いたのでその法律で恋に関しては親が口を出さないと書いて欲しいんです!」
「それは流石にストレート過ぎるわね。でも確かにイズミさんたちの事もあるからもう少しマイルドに書かないとダメね。」
リザがスピカを連れて来た理由が分かった。しかし子供らしくストレート過ぎるからここは私たちがしっかりとした法案に纏める必要がある。私たちはリザたちのバトンを確かに受け取った。
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