第49話 帰宅
「では、また2ヶ月後に。」
「はい。皆さんもお元気で。」
翌朝シュウラと母様に見送られて私たちは街から出てるお昼の馬車で家へと帰って来た。
「ただいま帰りました。」
「ただいま!」
「おかえりなさい。早かったわね。」
出迎えにイズミさんが出てきてくれた。リザは学校からまだ帰って来てない。シエスタさんはお仕事へ行ってるのだろう。
「あれ、ミスズさんとシエスタさんは?」
「母さんなら買い物よ。帰りはリザと帰ってくるって言ってたわ。シエスタはギラの所で仕事中よ。後で私が迎えに行くわ。それで、お城の用事は何だったの?」
「そうですねー……お2人にも話を聞きたいので夜にお話しします。」
話は夜にする事にした私とレナは少し休む事にした。そしてみんなが帰ってきて、夕食を食べ終えてから話題を切り出した。
「まず、私たちがお城に呼ばれてたのは新結婚法の事でした。」
「そうなのね。それで進展があったのかしら?」
イズミさんの質問に私は顔を横に振った。
「いえ、それが王様が法案を議題にすら上げていなかった様で……」
「そうなの?一体何があったのかしら?」
シエスタさんは心配そうに聞いて来たけど、しょうもない理由なので割愛させてもらった。
「それでですね。今回貰ってきた法案がこちらなのですが、妹のシュウラから改善案が有れば出して欲しいとのことです。」
「なるほど、それで私たちにも聞いて欲しいのね。」
「はい、私とレナだけの意見をお城で言うより、ここにいるみんなで考えた方がより良い物になると思ったので。」
「そういうことね。それなら協力を惜しまないわ。」
「ええ、これからも私たちのような恋をする人たちへの手助けになれるのなら!」
イズミさんとシエスタさんも乗り気の様だ。
「あの、私も考えていい?」
「リザも考えてくれるの?ありがとう!じゃあお願いね!」
「はい!あと……その……」
「ん?どうしたの?」
「……友達にも……聞いてもいいですか?」
「もちろんよ。そうだ、折角なら友達連れて来てくれる?その方が意見を詳しく聞けるから。」
「いいんですか⁉︎では、時間を合わせて連れてきますね!」
「ええ、2ヶ月以内ならいつでもいいわよ。」
私がそう伝えるとリザは嬉しそうな顔をした。どうやらこの子も同性との恋らしい。
「では、3日間くらい時間を空けるので考えを纏めて貰ってて良いですか?」
私の質問にみんな首を縦に振ってくれた。
部屋に戻って私はレナと少しお互いの考えを話した。
「レナはどう思う?」
「法案ですよね?私はこのままでもいいですよ。同性でも結婚出来るんでから。」
「そうね。私もそこは良いと思うの。でも、他はまだ未開拓じゃない?」
「例えば?」
「この法案、周りの理解が大切だと思うの。区別して欲しいわけじゃないじゃない。なのに公共のもの、トイレとか浴場も共同にする可能性もあるって書いてあるわ。」
「えっ?そうなんですか?」
「レナー!しっかり読み込んでないわね!」
「いたたた!ごめんなさいごめんなさい!」
私はレナを引き寄せて脳天へ拳をグリグリと押し当てる。お仕置きを終えて話を戻す。
「で、それを踏まえてやっぱりその辺は変えた方が良いと思うの。私たちは同性の結婚を理解して欲しいだけって伝えたいの。」
「そうですね。シエスタさんのお母さんの話もありますし、その辺の理解を深める法律にして行きたいですね。」
「まぁ、これは性別と心が真逆の方への配慮だと思うのだけど、悪用される可能性が高いのも事実じゃない?」
「というか、悪用しかされない気がします……」
「心の持ち様も大切だけどさ、本来ある性を蔑ろにするのは話が違うと思うの。」
「そうですね。私もセレン様も生まれ持った性を大切にしていますし、本当に心が女の人で身体が男の人ならば性転換手術も出来ますもんね。」
「そうね。女の人も心が男性ならすると思うもの。費用は掛かるからその辺を国で少し負担してあげれば生きやすくなるのだけど……そこまではきっと出来ない。というか絶対出来ない。」
「それは国民から反発されますね。」
みんなが納得する法案を考えるのって本当に難しいと思う私とレナだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回もお楽しみに!
ご報告、一二三大賞は一次審査止まりでした…
また頑張りますので応援宜しくお願いします!