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第5話 手紙

 私はシュウラ様の話を聞き終えると後悔した。あの時やっぱり残るべきだったと、叩かれても蹴られても残るべきだったと……すると次にセイから手紙を受け取った。


「これ、セレン様からレナに渡してくれってさ。」


 私は封を開けると手紙を読んだ。


『私、あなたの事()()じゃなかったわ。それ()も感謝は()てる。私が居なくなっ()あなたはもう自由よ、()()()()()()()()()()。私の事なんて早く忘れて良い人を見つけなさい。』


 爪で何箇所か跡が付いていたが私の心を折るのには充分であった。私は懐に手紙を仕舞うとそのままお湯を捨てに外へと出た。


 外へ出るとなんだか無性に叫びたくなった。だけど叫ぶ事はせずお湯を捨ててお城に戻って行く。そして今日の仕事が一区切り付いて部屋へと戻った私はセレン様の手紙をもう一度読んでクシャクシャにした。


「じゃあなんで優しくしたの?なんで一緒に笑ってくれたの?なんで私の為になんでも買ってくれたの?なんでドアを閉める前にありがとうなんて……なんで……なんで⁉︎」


 私は荒れに荒れた。部屋は1人部屋だ。セレン様が進言してくれたらしく来月から給金も上がるらしい。それにまた腹が立った。


「私の事嫌いなのに……なんで……」


 私は泣いた。沢山泣いた。寂しいから?悔しいから?違う。好きな人にはっきり嫌いと言われたからだ。


「あれ……?」


 でも私は何か引っかかった。


「私……あの文に嫌いって言葉見てない……」


 私はもう一度手紙を広げて手紙を読んだ。そしてある事に気がついた。


「あはは……あのへそ曲がり姫……言いたいことくらいちゃんと書いてよね……」


 私は手紙を読んで笑ってしまった。()()()に書いてあったのは手紙と全く正反対だったからだ。


 翌朝、私はアレン様にしばらく休むという書き置きを残して旅に出た。直に言っても許可が降りることはない私が自由に出来ていたのはセレン様のおかげなのだから。私は書き置きにこう書いておいた。


『セレン様を1発殴る為にしばらく休みます。』


 まずはこの間のおばさんの所へ向かった。手がかりを見つける為に。


「おはようございます!」

「はーい。あらレナちゃん。おや、セレンは一緒じゃないのかい?」


 奥からおばさんが出てきてくれたので、私はここ数日の事を説明した。


「なるほどね。じゃあレナちゃんはセレンを探す為の手がかりが欲しいんだね。」


「はい。何か手がかりはありますか?」


「それならここで待ってなさい。ここはいろんな所から人が来てるからね。変装していたとしてもあの銀髪と赤い瞳は目につくからね。必ず情報があるわよ。」


「ありがとうございます!私もウェイトレスとして給仕させて下さい。」

「おや、良いのかい?」


「はい!旅費は多い方がいいですから!」


 という事で、今日はここで働いて情報収集をした。


「赤い目に銀髪ねー……見てねぇーな。」

「そうですか……ありがとうございました。」


 なかなか有益な情報は無かった。そうして夕方になり店じまいをしている時に2人の客が話していた事が耳に入ってきた。


「あの女凄かったよなー。」

「ああ、あの銀髪の娘だろ?かっこよかったよなー。」


 私はその2人が話してる所へ行き詳しく聞かせてもらう事にした。


「すいません。その話詳しく聞きたいのですが?」

「おっ?なんだい嬢ちゃん話に興味があるのかい?」

「はい、そんな所です。」


「なら、お酌してくれるかい?」

「お安い御用です!」


 私はワインを2瓶持って行き2人の男性の話を聞いた。


「それがよー、店で暴れてた男を一瞬でひっくり返したんだ。」

「そうなんですか?凄いですね。」


「そうだろうー?」

「ええ、会ってみたいなー。どこに行けば会えるのですか?」


「南の町さー。なんでも暖かい地方に行くんだとよー。でも今はもうあの町にはいねぇーかもなー……」

「その町の名は、どこですか?」


「ええー?ああ、町のーなまえね……確かサンノーズだったか?良い町だったよー海が見えるんだよなー……」


「海……?」


 今の話を聞いて私はすぐに調理室にいたおばさんに地図を貰い場所を確認する。するとそこは港町だった。


「レナちゃん早く行きなさい。今ならまだ南に行く馬車があるわよ。」


「はい!」


 私は返事をするとそのまま店を飛び出した。すると後ろからおばさんの声がかかる。


「レナちゃん忘れ物だよ!」


 そう言うと私の鞄と、小さな袋を投げてきた。私はそれを受け取った。


「袋の中身は今日の分の給金だ。貰っておいてくれ。」

「ありがとうございます!」


「それと、あたしの分もセレンを殴って置いてくれよ!あの子挨拶もなしで行ったからね!」

「はい!」


 そうして私は返事をして深々とお辞儀をしてサンノーズ行きの馬車に乗り込んだ。


 馬車の中で私は給金の中身を確認するとなんと金貨が10枚も入っていた。流石に貰いすぎだ。


 私は通り過ぎていく城下町のおばさんの店の方角へ深々とお辞儀した。


「また来ます。おばさま。今度はセレン様と一緒に……」


 こうして2日遅れて私もセレン様の跡を追うのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回もお楽しみに!


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