第42話 切り札
「それじゃあ行きますか。」
ギラさんの馬車で向かうのはシエスタさんの実家だ。私とレナ、そしてメインのイズミさんとシエスタさん。
「あの……」
「なんですか?」
私はシエスタさんからの疑問に答えた。
「なんで2人は立ちっぱなしなの?」
「……気にしないでください。」
2日経ったけど未だにお尻が痛い。まさかの乗馬ムチは予想より遥かに痛かった……
「そうなのね。」
「そうそう。気にしちゃダメよ。それより……」
イズミさんはシエスタの頬を摘み上げた。
「アンタ結構要らない事をセレンさんに言った様ね……」
「いっふぇないれぇす。」
「嘘つかない!全部聞いたのよ!」
あー、そう言えばシエスタさんにも問いただすと言ってたなー……シエスタさんごめんなさい。そう思いながら2人を眺めていた。しかし私たちの様に躾ける形ではなくほっぺたをぷにぷにしたり引っ張ったりとじゃれ合うという言葉があっていた。
そうこうしているとシエスタさんの実家についた。結構大きいお屋敷だ。前に名家と聞いていたが予想より名が知れていそうだ。
「ちょっと待っててね。私がまず話を通してくるから。」
そう言うとシエスタさんは屋敷に入って行った。そして少し時間が経つと戻ってくる。
「良いわよ。入って入って!」
シエスタさんに言われて私たちは屋敷の中へ入っていく。入ってすぐに使用人さんに案内される。
「こちらです。お嬢様、お客様方。」
案内された先は大広間、そしてそこには1人の初老の女性がいた。
「いきなり帰ってくると思ったらシエスタ。これはどういう状況かしら?」
「ただいまお母様。とりあえず話があってきたの。」
「ギラさんも来ていて、そこの女も来ている。という事はなんとなく察しはつくわ。まぁ座りなさい。」
私とレナは特に何も思われていない様だ……当然か……
「さて、言いたい事はそこの女との契りかしら?」
「はい。」
「認めないわよ。」
((やっぱり……))
私とレナはやっぱりという感じの顔をした。
「何故ですか?」
「あなた、世間体など考えた事ありますか?女同士の結婚などあってはならないのです。」
「結局母上も父上と同じなのですね。」
「ええ、私が当主となった以上。前の様にあなた達を祝福はできないわ。」
「では、どうすればよろしいのですか?」
「どうすればとは?」
「私とイズミの事をどうすれば認めてくれるのかをきいているのです。」
「はぁ……無駄な事を……いいわ。じゃあこの家よりも高い身分の者で同性で結婚した者がいたら考えてあげましょう。そんな者いるはずありませんがね。」
うわぉ!まさかのドンピシャで私たちの役割が飛んできたー。
「言いましたわね。母上、では連れて参ります。」
「いるはずありませんわ。強がりはおやめなさい!」
「いいえ、いますよここに!セレン様、レナさん!」
私たちはやれやれという顔で立ち上がる。そして私たちが立ち上がるのを見てなぜこの2人という様な顔のシエスタの「母親に自己紹介をする。
「お初にお目にかかります。クレンセ王国第一王女セレンです。こちらは私の専属侍女兼嫁のレナです。私たちが証人です。なんでしたら後日妹のシュウラも連れて来ますがいかがですか?」
「……なるほど、真っ向からあなたが来る時点で何かあると思っていましたが……切り札がまさかの王族とはね……」
少し笑った後、また真剣な面持ちになるシエスタの母親だった。
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