第37話 ここから
2ヶ月後……私とレナとリザは王宮に来ていた。
「久しぶりね……ここも。」
「ですね。少し緊張します。」
全く緊張していないセレン、少し緊張してるレナ、緊張しすぎて何も話さない……というより顔色の悪いリザがいた。
「お待ちしておりました。セレン様。こちらに。シュウラ様とレイナ様がお待ちです。」
クレアに案内されて部屋に行くとシュウラと母様がいた。
「お久しぶりお姉様。」
「久しぶりね、セレン。元気だったかしら?」
「久しぶりですシュウラ、それとお母様……」
シュウラには普通に、お母様には睨みつけて返事を返した。
「あらあら、そんな怖い顔してどうしたのかしら?」
「あら?そんな怖い顔してましたか……お母様?」
「ええ、まるで鬼の様よ。」
「それは失礼いたしましたわ。でも、お母様。この前の私への仕打ちをもう忘れている様ですね。痴呆には少し早いのでは?」
「あら、言うようになったわね……少しきつめのお仕置きが必要かしら……?」
バチバチと火花を散らす私たちに1つため息をついてシュウラが止めた。
「はぁ……もう2人ともお客様の前で喧嘩なんてみっともないからやめてよね。えーっとごめんね。2人とも。そしてリザちゃんね。はじめまして。セレンの妹のシュウラです。」
「よ、よろしくお願いします……」
びくつきながらもリザはシュウラに挨拶をした。シュウラのお腹は少し大きくなっていた。
「シュウラは元気そうね。」
「おかげさまでね。今日はリザちゃんの紹介とレナさんの勤務報告でしたわよね?」
「ええ、クレアにこれまでの事を話して給金の査定と講習をしてもらう予定よ。」
「では、その間はお茶でもしていましょうか、リザちゃんとお話もゆっくりしたいところですし。」
私たちは何気なく話していたがレナだけは顔色が悪かった。まぁこれから私がクレアにレナの勤務態度を話して悪ければその後の2人だけの講習会が悲惨な事になるからだ。
(心当たりがある様ね……)
もちろん全てを話したら2、3日帰れない為控えめに報告はするつもりだ。というか言われたくなければ大人しくしておけば……出来るはずないか。
「レナさん、顔色悪い様ですけど、どうしたのですか?」
顔色の悪いレナを察知したお母様がレナに問いかけた。
「いえ、少しお腹が痛いので……」
「あら、大変すぐにお部屋で休ませないと!」
「では、私が連れて行きますのでリザちゃんをお願いしますわ。お母様。」
「あらあら、本当に愛されてるわね。レナさんは……羨ましいわ。」
「ええ……」
そうして私たちは部屋を出て手を繋いで廊下を歩いて行く。
「大丈夫よ。レナの事悪く言ったりしないから。」
「えっ?でも私結構サボったり……」
「レナは私に叩かれたりするのが好きなのよね?」
「はい……」
恥ずかしそうに答えるレナ。可愛い……
「なら、仕方ないじゃない。それはそれとして理解しないと。それに……それ以外はなんだかんだでしっかり見てくれてるし、リザの世話もしてくれている。ちゃんと良いところも見てるんだからね!」
「……ありがとうございます。」
「それで、本当に体調悪いの?悪いなら元私の部屋で休ませるわよ?」
「……お願いします。」
とは言うものの昔のままかはわからないので行ってみて確かめてみる。
「えっ……あの時のまま……」
「なんでセレン様が驚いているのですかー!」
笑ってさも当然の様に答えるレナに私は驚いてしまう。
「何処へ行っても自分の子供のものを片付けてしまう親はいませんよ。元王様もセレン様の事を愛していましたのでね。」
レナの言葉に泣いてしまいそうになるが、我慢した。
「ふふふ。そうね。埃も落ちてない。毎日手入れしてくれてるのね……」
「この仕事はクレア様の仕事でしょう。それに他の侍女も優秀ですから!」
「そうね。レナ以外はね!」
「もう、セレン様の意地悪!」
そうここは帰る場所。そして私たちが出会った場所……またここから始まるんだ。ここからね。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
ここで一旦完結です。まだ伏線…というよりイズミとシエスタの恋仲が終わっておりませんし、リザにも誰か恋人付けたいので終わりにはしません。
ただ一旦完結させてください。まだ案が出てきてないので…
なので一旦完結!また再開するその日まで今しばらくお待ち下さい。宜しければブックマークをして更新をお待ち頂けると幸いです!