第32話 お手伝い
翌朝、花壇の手入れをしていると弱々しい声でレナが不満を訴えてきた。
「セレン様、お尻が痛いです。」
「そう、じゃあしばらくはサボらないわね。」
「ひどいですよー愛する人が痛い想いをしてるのにー」
「じゃあ愛する人をほっといて他の子と寝ちゃう子はもっとひどいと思わないかしら?」
「ぐぬぬぬ……ごめんなさい。」
「分かればよろしい。」
浮気というわけではないけれどサボっていたのだからしっかりと躾をしなければならない。私が年下だけども……
そうして作業をしているとリザの声が聞こえた。
「あのー……」
「あら、どうしたの?まだ寝てていいわよ?」
私はリザの頭を撫でて聞いてみた。
「いえ、何か手伝わせて頂けませんか?ずっと寝てばかりなので……」
「うーん……と言われてもなー……じゃあ草むしりを手伝って貰おうかしら。レナ、一緒にやってくれる。」
「えっ?いいんですか?」
「レナがしっかり見ててくれれば頼むわ。」
私は少し微笑んでレナに頼んでみると満面の笑みを浮かべてレナは引き受けてくれた。
「わっかりました!任せてください!」
よっぽど嬉しいらしく軍手と帽子をリザに着せてあげていた。
「いいリザちゃん。葉っぱで切っちゃう事もあるからそういう時は私に任せてね。」
「はい!よろしくお願いします!」
すごく歳の離れた姉妹の様に見えた。レナのモチベーションも上がったみたいだし、これはリザが良い仕事をしてくれてる様だ。実際はレナがサボらせない為のリザだったけどより良い方向に向いたみたいだ。
セレン様に頼まれたのが凄く嬉しくて私はここ最近で一番テンションが上がっていた。
「よーし、暑いから休み休みやろうね。」
「はい!」
こうして2人で草むしりを始めました。
「お姉さん達はお友達なの?」
「えーっとセレン様の事?」
「……そう!セレンお姉さん。」
「ううん、私とセレン様はふーふなんだよ。」
「ふーふ?」
「私もセレン様も女の子でしょ?だからふーふなのよ。」
「そうなんだ。お姉さん達は結婚してるんだね。」
「そうだよー」
「お姉さん達は仲良しふーふなんだねー。いいなー」
「えへへ。ありがとう。リザちゃんも大きくなったら素敵な人を見つけるといいよ。」
「……うん。でも私にもセレンお姉さんやレナお姉さんの様な素敵な方に出会えるかな?」
「ふふふ。そんなに心配しなくても大丈夫よ。」
私はリザちゃんの頭を撫でた。
「ありがとうございます……私もお姉さん達がお母さんだったら良かったなー……」
少し遠い目をしたリザちゃんは少し泣きそうになっていた。なので私はリザちゃんを抱きしめた。
「大丈夫よ。もうリザちゃんは売られるなんて事ないからね。安心して。」
「……でもいつかはここから出て行かないといけません……」
「いいわよ。そのいつかが来るまでここにいて。リザちゃんが居たいだけ居ていいわよ。」
「ほんと……?」
「うん、それまではセレン様とお姉ちゃんとお母様が面倒見ていくわ。」
「ありがとう……ございます……」
結局リザちゃんは泣いてしまいました。私は頭を撫でてあげました。
(今叱るのは無粋ね。)
レナがリザを慰めてるのを見ていた私はレナの仕事の続き水撒きを黙って進めるのでした。
初めての月曜日投稿でした。お盆休みの最後に楽しんで頂けてれば幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。次回更新もお楽しみに!
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