第31話 嫉妬
やっぱり疲れていたらしくリザは馬車の中で寝てしまった。
「イズミさん。」
「ん?何か?」
私は馬車を運転してるイズミさんへと話しかけると振り向かずに返事を返してきた。
「イズミさんは、今でもシエスタさんの事好きなんですか?」
「ふふふ。セレンさん、人の恋路に踏み込むのはあまり良いとは言わないわよ。」
「……すいません。」
「ううん。ごめんね、少し当たっちゃったわ……」
「いえ、私こそ踏み込んでしまいました。」
少しの沈黙が流れた後イズミさんは話てくれた。
「シエスタの事は今でも好きよ。でも今日見て思ったの。今のままでもシエスタは幸せなんじゃないかなって。」
「そんな事は……」
「それでもね。やっぱり私は彼女が欲しいの。今のセレンさんとレナの2人みたいに楽しく生活したいのよ。」
「やっぱりそうですよね……」
「だから、私は待つはあの子が私の元に来るまでね。だって好きなんだもの。」
遠い目をしてるイズミさん。だけどその目には覚悟がありました。
帰り着くなりレナが私に飛びついて来た。
「おかえりなさい!セレン様ー!」
「うわっとー。ただいま。」
私は抱きついてきたレナを受け止めて頭を撫でてあげた。
「今日は甘えん坊の様ね。」
「えへへ。たまには甘えたいんですよ。」
「そうなのね、私も今日はレナに甘えたい気分よ。さぁ、リザを運んで仕事するわよ。」
「はーい。じゃあ私がリザちゃんを運んできますね。」
そう言うとレナはリザをお姫様抱っこして家の中へと連れて行った。が……
「戻ってこない……」
これはもしかして……と思い部屋に行くと案の定レナも寝ていた。しかし叩き起こそうにもリザも寝ている為それはできない。これは夜にたっぷり可愛がる必要がありそうだ。
仕方ない為、私は花壇の手入れをしているとミスズさんがやってきた。
「あら、レナは?」
「リザちゃんとお昼寝してます。」
「あらあら、それでセレンさんはご立腹なのね。」
「えっ?顔に出てました?」
「ええ、すごく。」
クスクスと笑いながら言うミスズさんは何がおかしいのか分からなかった。
「ええーと何がおかしいのですか?」
「いいえ、レナも罪な子だと思ってね。こんなに嫉妬してる方がいるのに他の子と寝てしまうなんてね。」
私はミスズさんの言葉に一瞬目を見開いた。そして何かを納得した。
「ほんとっそうですよね。後で可愛がってあげないといけないわ。」
「ええ、ええ、たっぷりと可愛がってあげて。」
私も自然と笑ってしまった。どうやら私はリザに嫉妬してしまってたみたいだ。
「ふふふ。あなたが笑っていられれば大丈夫よ。」
「あの……私そんなに怖い顔してましたか?」
「ええ、とっても。でももう大丈夫そうね。自分の気持ちをしっかりと分かった様だし。」
「はい!」
どうやら私を和ませる為と、落ち着かせる為にミスズさんは来てくれた様だ。私はまだまだ子供だと自覚させられました。まぁそれはそれとして……
「いやあああー!」
夜遅く、みんなが寝静まってレナが油断してから私はレナの両手を縛った。
「仕事サボってリザちゃんとお昼寝なんて……たっぷり可愛がってあげるわ!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!許してくださいセレン様!」
レナにはしっかりとお仕置きで可愛がってあげましたとさ。
ここまで読んで頂きありがとうございました。次回も楽しみに!
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