第26話 相談
レナの元へ戻るとしっかりと作業をしていた。
「セレン様、戻られましたか?」
「今日は仕事してるみたいね。」
「流石に1人だからやりますよ!」
「つまり1人じゃなければやらない事もあるのね。」
そう言うとレナの目が泳いだ。そしてレナは話題を変えた。
「そう言えばリザちゃんはどうだったんですか?」
「話を変えたわね……うん、どうやらあの子は親に売られた子らしいわ。」
「そうなんですね……でもなんであんな所に?」
「それが覚えていない様なのよ。だから推測だけど、恐らくあの子はもう虫の息だから商品としての価値がないという判断から捨てられたんだと思うわ。」
「そんな……」
「でも、そうじゃないと話が成り立たないわ……となるとこう言う話になってしまうわ。」
私の話を聞いてレナは泣きそうな顔をしてしまった。レナがそんな目に遭った訳ではないのに今にも泣きそうな顔なので私はレナの頭を撫でてあげた。
「あなたが泣く必要ないでしょー?」
「だって……だって……」
「はいはい。泣き虫レナさん、泣く事よりリザのこの後の相談をしましょう。」
「この後ですか……?」
少し泣き止んだので本題へと話を進める。
「どのみちあの子はもう帰る場所はないわ。それと違法に人身売買してる奴らは逮捕しないといけない。」
「はぁ……つまり?」
「私たちであの子を育てるわよ。王宮にはこれから手紙を出します。」
「それは……良い考えですね!」
レナは満面の笑みを浮かべた。まぁレナは子供が欲しいと言ってたので問題はないと思っていた。後はイズミさんとミスズさんに話をしないといけないがあの2人なら恐らく了承してくれると思っている。
お昼まで作業をして私とレナはミスズさん達の元へ戻るとミスズさんが昼食の用意をしていたのでレナと私も手伝った。イズミさんはまだ戻ってきていなかったけど昼食を作り終わる頃戻ってきた。どうやら買い物もしていた様だ。
リザはまだ寝ていたのでそのまま寝かせておく事にして私たちはお昼を食べながらミスズさんたちに先程レナと話していた事を話した。
「ええっと……」
「やめておいた方がいいわよ。」
歯切れの悪いミスズさんに代わってイズミさんがはっきりと答えた。
「えっ!何でなの⁉︎」
レナが凄く驚いた。しかしそれは私もだった。この2人ならリザを見捨てるとは思わなかったからだ。だが、私が何か言う前にイズミさんが答えてくれた。
「なんでって、この国では人身売買で売った人も買った人も罪に問われるからよ。セレンさんもまさか知らなかった訳じゃないでしょ?」
「あ……」
すっかり忘れてた。リザは捨てられて倒れてたから助けただけで確かに今のまま引き取ったら私たちは人身売買された子を買ったと疑われてもおかしくないのだ。
「じゃあどうすれば?」
「安心して、軍警には私から被害届を出しといたわ。それで午後から軍警の人が来るそうよ。」
「そう……なんですね。」
「大丈夫よ、軍警に一度引き取られた後は孤児院に預けられる。その後引き取りたいなら引き取りに行けばいいのよ。」
暗い顔をしていた私にイズミさんはそう言って励ましてくれた。
日が西に傾き始めた頃軍警の人たちがやってきた。
「ごめんください。」
来た軍警は3人、それなりに筋肉質だった。しかし何故か違和感があった。
「遅かったですね。もっと早く着くと思っていたのですが……」
「我々も他に仕事がありますので、それで例の少女は?」
「その前に軍警の身分証を見せてくれませんか?」
イズミさんも何か違和感があるのだろうか、先程から攻撃的であった。
「小娘、無礼が過ぎるぞ!」
「無礼?何がですか?」
「何がだと!その態度が無礼と言っておるのだ!」
「ふふふ。無礼ね……だってあなたたち軍警じゃないでしょ?」
「何を根拠に!」
「貴様!侮辱罪だぞ!」
「侮辱罪ね……私ね、軍警の人と仲良いのよね毎月2回は会ってるのよ……でもあなた達の顔は知らないのよね」
「なっ!」
「新しく赴任して来たのならそれなりに話が回るのよ田舎だから。でもここ最近誰かが赴任してきた来るなんて話は聞いていないのよ!」
イズミさんの言葉に軍警の人たちは焦りの表情を見せた。そしてどうやらこの人たちが軍警でない事は確かな様だ。
「それで、軍警の身分証は?市民が身分証を示せと言って来た場合はその潔白を晴らすために提示する義務が軍警にはあるはずよ!」
「き、貴様……」
どうやらこの人たちは軍警ではない様だった。どうやら嫌な予感は当たりだった。
「まぁいい、ならばお前らを殺してあの娘を連れて行こう。」
「そうだな、後はそこの小さいのも連れて行こうぜ、金を払う必要ねぇから丸儲けだぜ!」
小さいの……どうやら私の事らしい……殺す!死刑よ!死刑!
私は剪定用のナイフを取り出す。護身術は近衛兵の団長さんに教えて貰ってる。何よりレナ達を守らないといけないんだから殺す気で行くつもりだ。しかし……
「家の周りで暴れる気かしら?」
イズミさんのとても低い声が聞こえた。イズミさんを見ると物凄い殺気を放っていたのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。見切り発進で書き始めたのでストックは全然ありませんが書き終えたら速攻で投稿というスタイルで今回は進めてみます。
あと、先日投稿部に誤字があった事をお詫びします。大変申し訳ございませんでした。これからも誤字がありましたら誤字報告受け付けてますのでご連絡下さい。