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第25話 経緯

 夜ご飯を食べ終えた後、リザの事を聞こうとしたのだけど……



「今日はダメよ!この子は今日は休ませなさい。全く!知りたい事は山ほどあるだろうけど全て体力が回復してからよ!アンタ達も早く寝なさい!」


 コール先生に止められたので私とレナは部屋へと戻る事にしました。




「ふぅー……疲れましたー」

「確かに疲れたわね。レナがサボってたから……」


「ええー、午後は働いてましたよ?」

「うふふ。そうね、そこは認めてあげるわ。それで、あの子どう思う?」


 私はレナにリザの事を聞いてみる事にした。なるべくいろんな考察は聞いておきたい。


「そうですね……孤児と一瞬思いましたが、それにしてはこんな山奥にいるのはおかしいです。」

「人攫いの可能性が高いと?」


「法律で人攫いは違法となってますが、市場では未だに起こってますからね。」

「レナは知ってるのね……」


「ええ、村の中でも子供が消えたなんて話はよく聞きますから……軍警も捜査してますが正直取り締まれていないのが現状です。」


「それで今回のもそれと考えるのが妥当という事ね。」

「はい、ここは山道ですし、逃げたとしても野生動物に食べられる、もしくは飢えて死ぬの2択です……証拠も残りません。」


「なるほど、レナの考えは分かったわ。でも何でレナが泣いてるの?」

「えっ……?」


 レナは手で涙を拭った知らないうちに泣いていた様だ。


「何か辛い事があったの?」

「そんな事は……ただ……私の考えが正しかったら……あの子が可哀想に思えて……」


「全くもう、感情移入しすぎよ。」


 私は泣いてるレナを抱き寄せて頭を撫でてあげる。相変わらずレナの方が身長高いので格好はつかないけど……


「とりあえず、明日リザちゃんから話を聞いてそのあと軍警に被害届を出しましょう。その後はシュウラ達にも伝えるから。王国内で起こってる事ですもの。国王にしっかりと裁定してもらいましょう!」

「はい……」


 レナを泣き止ませて私たちはゆっくりと部屋に戻るのでした。





 翌朝、私が起きるとミスズさんは起きて朝食の支度をしていた。私は顔を洗い着替えを済ませてミスズさんの手伝いをする。


「おはようございます。」

「あら、おはよう早起きね。」


「ええ、今日は昨日の仕事もあるのでやる事沢山なんです。」

「あらあら、イズミを使っても良いわよ。」


「そんな……いえ、ではレナの見張り役にお願いします。」


 私が真剣な顔で言うとミスズさんはクスクスと笑ってくれた。


「セレンさんも大変ね。お仕事が増えて。」

「ええ、でも2人で生きていく為ですから。」


「ふふふ……そうね。」


 私たちは北からの旅行を終えて帰ってきた後、ミスズさん達と話をしたのだ。それはレナと2人だけで暮らしたいという意志だ。もちろん今の私たちにそんな財源も土地もない。だから、今はお金を貯まるまでここに住まわせて貰っている。


「お金はどのくらい貯まったの?」

「まだまだ全然です。働くとは大変ですね。」


「そうよ。それから養っていくと考えると更に大変なのよ。」


「全くですね。レナを養う……いえ、教育するだけで疲れますもの……」


 私は頭を抱えてうずくまった。そしてミスズさんはそんな私の肩に手を置くのでした。






 朝食を食べ終えた後、コール先生はイズミさんが送って行きました。そして私はリザと話していた。レナは外で作業をしてくれている。はず……


「それで、リザちゃんはどうしてあんな所にいたの?」

「えーっと……分かりません……でも、私が売られたのは知っています。」


「売られた?」


 売られたという言葉を聞いて私は人身売買という事が分かりました。そしてリザはその理由を話しました。


「はい……私の家は貧乏でした。だからみんなの為に働きに行くんだよってお母さん達は言ってました。」


「そうなのね。リザちゃんは今いくつなの?」

「9歳……」


 私は見た目が6歳くらいに見えていたのでリザの年齢を聞いて少し驚きました。


「9歳か……じゃあリザちゃんはまだ働かなくて良いんだよ。」

「えっ?でも私は働く為に売られたんじゃ……?」


「この国ではね、16歳以下は働いたらダメって決まりがあるの。リザちゃんは働く必要ないのよ。」

「本当に?」


 不安そうな顔をするリザの頭を撫でてあげた。すると凄く嬉しそうな顔をした。


「本当よ、だから今はゆっくり休みなさい。」

「ありがとうお姉ちゃん。」


 そうしてリザを寝かせて私はレナの元へ戻るのでした。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

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