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第24話 子供

「子供……?」


 私の目の前にはボロボロの服を着てぐったりしていた子供がいました。とにかく今のままではこの子の命が危ないと感じ、連れて帰る事にしました。


「イズミさん!」

「どうしたのその子!」


「分かりません。花壇の近くで倒れていました!それより馬車を出して下さい!この子かなり弱ってます!」


「分かったわ。セレンさんは意識がある様なら水を飲ませてあげといて!レナと母様は水を用意して頂戴!私はお医者様を連れてくるから!」


「えっ?連れて行った方がいいんじゃ?」

「無理よ、その子かなり弱ってるから行ってる間に体力が保たないわ。とにかく早く布団を敷いて寝かせてあげて。」


 テキパキと指示を出してくれるイズミさんはそのまま馬に乗って村へと向かいました。


「水持って来ました!」

「ありがとう。」


「セレンちゃんこっちの綺麗なタオルを使いなさい。」

「ありがとうございます!」


 私がこの子を布団に寝かしてる間にレナとミスズさんが周りの事をしてくれていた。まだ意識が戻らないその子の顔を冷たいタオルで拭いてあげた。


「その子女の子ですか?」


 緊張していた私にレナがいつもの調子で聞いてきた。こういう時のレナは頼もしい。何故なら動じないからだ。


「たぶん……髪が長いし、肌は焼けているみたいだけどね。」

「……私、お水汲んできます、セレン様はその子を見てて下さいね。」


「ええ、お願い……」


 やっぱりいざという時は頼もしいのがレナだ。レナが水を汲みに行って直ぐにイズミさんがお医者様を連れて来てくれます。


「お待たせ!どぉ?」

「変わりがありません……呼吸も浅いですし、意識もありません……」


 そうイズミさんに説明していたところトランクを持った紫色の髪でメガネをかけた女性が入ってきた。


「という事です。急いで見てあげて下さい!」

「はいはい。じゃあそこを退いてね。」


「ええーと、そちらの方が?」

「ええ、コール先生よ。なかなかの名医なの。」


「はいはい、自己紹介は後回し!顔色悪いわね、栄養不足に睡眠不足の顔ね。」


(凄い見ただけで分かるんだ。)


 顔を見ただけで診断をしていくコール先生、しかも迷いがない。迷いがないということはそれだけ沢山の患者さんを診てきた証でもある。


「しかもこの暑さの中外で発見されたんでしょ。熱中症になってるかも。ええと、あなた!」


 診断をしているといきなり私を指差してきた。


「は、はい!」

「そこにある水をありったけこの子にかけて。体温を下げないとこのままじゃ危険なの!」


「分かりました!」


 私はレナが持ってきてくれた水を寝ている子にかけていく。その間にコールさんはイズミさんに指示を出していた。


「イズミ、この家に氷ある?ないなら大至急買ってきて。」

「大丈夫少しだけどあるわ。ちょっと待ってて。」


 そう言うとイズミさんは台所へと向かった。私はその間水をかけるのに必死になっていた。


「なるべく腕や足、首なんかを重点的にお願い。その辺りが冷えると全身も冷えてくるから。」


 コール先生は私に指示を出しながら自らもやっていたので私はコール先生の見よう見まねで行いました。


 そうしているとイズミさんが氷を持って戻ってきます。そしてその後ろからはレナとミスズさんが水を持って来てました。


「コール先生、この子は助かりますか?」


 私の問いに対してコール先生は冷静に答えた。


「分からないわ。この子が生きたいと思うのなら助かるし、諦めたら助からないわ……私に出来る事は体温を下げて意識を取り戻させる事、その後はまたその後よ。」


 こうして今日は日が暮れるまでこの子の看病をみんなでしました。




 日が暮れて少し経った頃、その子は意識を取り戻しました。


「ん……んー……」

「あっ!」


 少し声をあげて、ゆっくりと目を開けてきました。そして私たちを見るや否やひどく怯えた目になりました。


「だ、誰……?」

「よ……良かったー……」


 とりあえずレナは盛大に安堵のため息を吐いてその子の質問には答えなかったので私が最初に自己紹介する事にした。


「えーっと、はじめまして、私はセレンよ。それでこっちで腑抜けてるのはレナ。よろしくね。」

「イズミよ、レナの姉よ。」


「コールよ、一応医者でアンタを診てるの。」

「ミスズです。レナとイズミの母親です。」


「私はどうしてここに?」

「私たちの庭の花壇で倒れてたのよ。見つけた時はぐったりしてて心配したわ。」


「……それはごめんなさい……」

「はいはい!その話は一旦置いておいて、ご飯にしましょう。コール先生も食べて行って下さい。」


「そうさせて貰うわ。ついでに泊めてくれると助かるわ。」


 嫌なムードをミスズさんが変えてくれた事で助かったと思う私だった。


「あの……!」

「ん?」


「助けてくれてありがとうございます……私はリザと言います。」

「リザね、よろしく!」


 こうしてこの子の名前も分かって一安心した私たちでした。

ここまで読んで頂きありがとうございました。次回もお楽しみに!


更新は日時は未定ですので気長にお待ち下さい。


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