第22話 懐妊
「ええー!シュウラ様妊娠されたんですか!」
レナの大声に私はびっくりした。
「朝からうるさいわよレナ。」
「だって見て下さいよ。セレン様!妹様が妊娠発表ですよ!」
そう言って私にレナは新聞を見せてくる。
「それはまぁ。結婚しているからね。足が無くなっても子供は作れるわよ。」
「おめでたいですね。早速お城に向かわないと!」
そう言って準備してるレナに私は無情の一言を言い放つ。
「今日は行かないわよ。こっちも仕事があるんだから。」
「ええー!こんなにおめでたい事があったのにお姉さんであるセレン様が行かないのはダメですよ!」
「分かってないわね。レナは、私はあくまでもお城を追放された身なのよ。それなのに安易と謁見出来る訳ないでしょ?」
私はレナの頭を押さえてこめかみをグリグリしながら説明する。
「いたたたっ!すいませんすいません!忘れてましたー!」
「忘れてました?嘘おっしゃい!ここ最近暑いからお仕事サボりたいだけでしょー?」
「ふぎゃー!そんな事はないですよ!」
「そう言って一昨日サボってたのは誰かしら〜?」
「あれはつい出来心で〜!」
「じゃあ次やったらどうなるのかしら?」
「一日かかしになりますー!」
「よろしい!」
私はレナを解放してあげた。まぁレナの言うことも一理あるので王城に手紙を出すことにする。レナはというとこめかみをもみほぐしているのだった。
1週間後、私とレナは花の出荷終え、喫茶店サンセットに来ていた。そしてお母様とシュウラに祝福の言葉を送った。
「シュウラ、妊娠おめでとう。」
「おめでとうございます!」
「2人ともありがとう。忙しい中わざわざ時間まで作ってくれて。」
「いえいえ、お祝い事はしっかりやらないといけないので。あと、これは母様と姉上からです。」
そう言うとレナはイズミさんとミスズさんから渡されていた贈り物を渡した。
「まぁこれは親切にどうも。ミスズさん達にもしばらく会ってないわね。今度お城に招待しますと伝えて頂戴。」
「はい!」
元気よく返事をするレナを横目に私はシュウラの体調を聞いてみる。
「それでシュウラは体調どうなの?」
「うん、少し身体がだるかったり吐き気が出たりかな?まぁまだ大丈夫な方よ。」
「そっか、無理させてごめんね。」
「いいわよ。今日は体調良い方だし、それに久しぶりにお姉様の顔も見れたのだから良かったわ。」
「そう言って貰えると嬉しいわ。」
和やかに話す私たち。そしてそんな中にサニーが料理を持って来てくれる。
「はいよ、お待ちどうさん!」
「わぁー、美味しそう!」
「美味しそうじゃなくて、美味しいのよ!」
「あはは。そうでした!」
レナの言葉を訂正させるおばさん。なんて言うか相変わらず豪快だなー。
「特にシュウラ様には沢山食べて元気な子を産んで貰わないとね!何せ次の王様になるお子さんなんだから!」
「そうね。シュウラは元気でいないといけないものね!」
こんな感じで私たちの密会は終わるのでした。
帰り道の事だった。イズミさんが馬車で迎えに来てくれたので私とレナは2台に座っていたらレナがふとこんな事を言い出した。
「セレン様……」
「何かしら?」
「私も子供が欲しいです!」
私は無表情のままレナにゲンコツを落とした。そしてイズミさんは思いっきり吹き出していた。私はゲンコツを落とした後、そのままレナのこめかみをグリグリした。
「レナ、子供がどうやって出来るか知らないはずないわよね?」
「いたたたー!知ってます!知ってます!」
「それなら何かしら?私に男になれと言うのかしら?」
「ち、違います!違います!」
「ふぅーん……じゃあどういう意図でそんな事を言ったのかしら?」
とりあえず手を止めてレナの弁論を聞く事にします。
「いえ、孤児院とかあるじゃないですか、私たちも歳を取れば今の様な生活は出来ません。その時見て貰える様にした方がいいのかと。」
意外とまともな事を言うレナだった。とりあえず解放してあげることにする。
「まぁ確かにそれは一理あるわね。でもダメよ。」
「えー、何でですか?」
「もうすでに子供の様に手がかかる子がいるからよ。」
「誰ですかそれ?」
やっぱり分かっていなかったのでしっかり教育します。
「イズミさん、ゆっくり帰って下さい。この子を帰るまでに躾るので!」
「わかったわ。ここ最近調子に乗りすぎてるものね。お願いするわ。」
その後帰り着くまで馬車の中からレナの絶叫が途絶える事はなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
久しぶりに投稿させてもらいました。そしてブックマーク100人に到達致しました!読んで頂いてる読者様方ありがとうございます!
また予想以上に続きの気になる書き方をしてしまったので続きを書こうと思います。よかったらブックマークをしてお待ち下さい。