第19話 虹のカーテン
朝起きるとレナが隣で寝ていた。私の手を握っていたのが可愛く見えた。
もうすぐ夜明けの様だ。私はレナの手の温もりを感じながら再び眠りにつくのでした。
「いやあーー!」
「やばいです!寝過ぎです!」
私が二度寝した事で朝1の馬車に乗り遅れたのだった。
「すいません!すいません!」
「いや、私も寝過ごしたのが悪かったわ……ごめんなさい。」
レナが平謝りしてくるがそもそも私が先に起きたのだから私がレナを起こせば良かったのだ。仕方ないので私たちは昼の馬車で国境越えをする事にした。
お昼は馬車に乗ってサンドイッチを食べた。
「見て下さい、セレンさ……ん、葉っぱが紅いですよー。」
「みたいね。普段は観れない景色だから貴重な体験だわ。」
「川に葉っぱが落ちて流れてますよー」
本当に旅を楽しんでるレナを見てて私も楽しくなる。
「レナ、あんまり馬車から乗り出すと落ちるわよ。」
「はーい!」
(ほんと、どっちが年上か分からなくなるわ。)
私は紅い葉っぱとその上の青空を眺めながらレナと馬車に揺れるのだった。
日が沈む頃、私たちはアイス帝国の最南端の町クライスに来ていた。
「ようやく着いたわねー。」
「雪は降ってないんですね。」
「そうね。さぁ早く宿を見つけましょう。」
もう日が沈んでいるから私は急いで宿を探した。探したのだが……
「ええー!まだ夕刻にもなってないじゃない!」
そう、まだクレンセ王国では夕方の時間帯だったのだ。だから宿はまだ宿泊客も少なかった。
「お2人は南の国からお越しくださったのですか?」
「はい。クレンセ王国からです。」
「そうでしたか、それでしたら驚くのも無理はないですね。では、今日はこちらの宿に宿泊されますか?」
受付の女性の対応が凄く良かったのでここにしようと思うが一応レナにも確認する為に横顔を見た。するとレナの顔も良いと言っているので私たちはこの宿に泊まることにした。
夕食も食べた後そろそろ寝ようとしていた頃、部屋をノックする音がした。
「はーい。」
レナが扉を開けるとそこには先程の受付の女性がいた。
「夜分遅くに申し訳ありません。」
「いえ、何かありましたか?」
「はい、今夜オーロラが観れるそうなのでそのお知らせに。」
「「オーロラ?」」
聞きなれない単語に私とレナは首を傾げた。
「空に虹色のカーテンが現れる滅多に観れない自然現象です。旅の方なら是非にと思いまして。」
私とレナは顔を見合わせて頷いた。
「「行きます!」」
そうして、私たちは女性の案内されて外に出た。
「綺麗な星空だー。」
「北国の星空は他の地域より綺麗なんですよ。」
「そうなんですね。」
まだオーロラというのが出ていないのに星空だけでテンションが上がっていた。そして周りには結構な人がいた。
「皆さんオーロラを見に来てるんですか?」
「そうです。先程少し見えたという事なので今宿にいる皆さんを呼びに来たのです。それでは、私は他のお客様へご連絡してきますのでごゆっくりどうぞー」
そうして女性は宿に戻って行った。私はレナの手を握って隣に立った。
「レナ、夜だから静かにね。」
「はーい……」
レナも気を遣って静かに返事をした。
「うん、良い子。」
「えへへ。」
レナの頭を撫でてから再び空へと目をやる。するとそこには……
「「綺麗……」」
私たちは声を失った。それは本当に虹色のカーテン……いや、虹よりも色の数は多かった。正しく幻想的なものだった。
(あー……今レナとキスしたい……)
みんな上を向いてる。たぶんバレないと思う。だからこそ今レナとこんな幻想的な夜にキスがしたい……私はそっとレナの顔を見た。するとレナも私の事を見てた……
「レ、レナ?」
「あの……キスしてもいいですか?」
「……うん……」
私は静かに目を閉じた。すると私のくちびるにいつものレナのくちびるが当たる。
(私たち、同じ事考えてたんだね……)
そして短くも濃厚なキスを終えると目を開けた。するとレナの顔は少し赤くなっていた。
「……寒いから戻ろっか。」
「はい!」
(今日は寝かせない……)
続きはお部屋でするのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。次回更新もお楽しみに!
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