18話 国境の村
「少し寒いですね。」
「秋だけど、やっぱり北の国の近くはもう冬の様ね。」
城下町を出て2日目、私たちは今馬車で北にある国アイス帝国に向かっていた。
「お前さん達、悪いこと言わねぇーから次の街で防寒具買っとけ。」
いきなり馬車の運転手から声がかかる。この馬車に今乗ってるのは私たちだけなので私は返事を返す。
「アイス帝国はそんなに寒いのですか?」
「ああ、この時期はもう雪が積もっていてな。俺たち運び屋は情報を共有して行ける道を探すのさ。」
この分だと、凍死もあり得ると考え、レナと次の街で降りる事にした。
私たちは運賃を払うと早速服屋さんなど、着替えを購入する。
「セレン様、やっぱりこの地域の服は暖かそうですね。」
「レナ……私との約束はなんだったかしら?」
「あっ……」
もう私は王室の人間ではないのに未だにレナは私に様付けしてくる。普段はもう注意するのも面倒なのでそのままにしていたが旅先では目立つからやめる様注意していたのだが……
「そうで……だったわね。」
「よろしい。そうね。城下町とかで売ってる服に比べれば素材も良いもの使ってるわ。」
「おや、お2人さんは王都から来たのかい?」
服を見て話してると服屋のおばさんに話しかけられた。
「はい、アイス帝国に旅行を。」
「そうかい。でもあんた達は運がいいよ。まだ山道は雪に埋もれてないからね。」
「そうなんですね。」
「ああ、この時期は結構雪に覆われてる事が多いからね。今年はまだそんな便りもないよ。」
……つまりいつ雪が降るか分からないという事だ。
「あの……もしアイス帝国に行ってその間に雪が積もってしまった場合どうなるのですか?」
「それは大丈夫よ。今月ようやく村の近くにトンネルが出来たからね。帰りはそっちを使うといいわ。でも、山道を通った方が紅葉が観れるからそっちをお勧めしてるのよ。」
「そうなんですか?でも、そんな話先程の運転手さんは言ってませんでしたよ。」
「そりゃー、通るのに通行料を取られるからね。運び屋の人たちはトンネルがあるのは知ってても出来上がりまでは知らないだろうね。」
「なるほどですね。ちなみに通行料はいくらなのですか?」
「銀貨5枚だよ。高くもなく安くもなくだね。」
確かに船に乗る時には金貨2だから安いと言える。
「それじゃあ、行きは山道、帰りは雪次第にしましょうかレナ。」
「はい!」
「お2人は姉妹なのかい?」
「いいえ!」
「私たちは……」
「「婦婦です!」」
私たちはそうして防寒具を買って店を出た。
「それじゃあ今日はこの村で泊まって明日は山道を通ってアイス帝国よ。」
「はい!」
そして近くの宿に一泊する事になる。
「なんか、懐かしいわね。」
「そうですねー。あの時は私が追いかけてセレン様を探しましたから。」
私たちは夕食を摂りながら話していた。
「でもこうして2人でご飯を食べてるのはあの時と同じね。」
「……そうですね。では、もっとあの時と同じにするために。」
レナは私にスプーンに食べ物を乗せて口に近づけてくる。
「はい、あーんしてください。」
「んぐ……あーん。」
いたずらする様な顔でレナがニヤニヤしてくる。でもここで怯んだらレナが図にのる。だから私は照れてないふりをして食べる。
「美味しいですか?」
「ええ、美味しいわよ。じゃあレナ。あなたにも。」
私は先程のレナの様にスプーンに乗せてレナの口へと持っていった。そしてレナは照れながらも嬉しそうに食べていた。
(可愛いわね……)
今日はその後はすぐに横になる事にした。
「セレン様、隣で寝て良いですか?」
「狭いわよ?」
「良いんです。狭くても……セレン様の隣で寝たいんです。」
「……良いわよ。ここは寒いから一緒に寝ましょう。」
私が許可すると嬉しそうに私のベッドに潜り込んできた。
「セレン様……暖かいです。」
「レナよ暖かいのは。」
私はレナの頭を撫でながら話す。
「レナはもうすでに楽しそうね。」
「ええ、楽しいですよ!セレン様と一緒ですから!」
「まだ旅は始まったばかりよ。」
私は笑いながらレナの手を握る。そして今日はそのまま眠るのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。次回もお楽しみに!
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