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第15話 約束

 次の日の朝、お母様達は見送った。


「それではミスズさん。娘をよろしくお願いします。」

「ええ、お任せ下さい。そしてまたお越し下さいな。」


「ええ、ここのお茶は美味しいのでまた来ます。」


 どうやらお母様はミスズさんと仲良くなった様だ。


「イズミさん、レナがサボっていたら遠慮なくムチで叩いて下さい。私が許しますので。」

「任せて下さい。家にいる間は私とセレンさんで厳しく躾しますので。」


「えっ……⁉︎」

「頼もしいですわ。出来ればお城の侍女達の躾係に欲しいくらいです。」


 何やら不穏な事を話しているが、クレアとミスズさんも息が合う様だ。そして怯えてるレナは可愛いかった。


「それではお姉様、また近いうちにお会いしましょう。」

「うん。手紙書くね。」


「ええ、私も書きますわ。」


 そうして私は一歩前に出てシュウラを抱きしめた。


「ありがとうシュウラ、あなたのおかげで私は幸せになれます。」

「……お姉様……幸せにならないと許しませんから!」

「うん!」


 私は頷くと、シュウラを解放した。そしてシュウラはレナの方を向く。


「レナさん!」

「はい!」


「セレンお姉様を不幸にする様なら私が奪いに来ますからね!夢夢お忘れにならない様に!」

「……はい!」


 シュウラは少し涙目になっていた。レナは力強く返事した。だが私はある事が気になっていた。


「そういえば、お母様、お父様は来られなかったのですか?」

「ええ、社交界に行ってるのよ。本当は私も行かなければなりませんでしたが、あの人が行かせてくれたのです。なんだかんだで心配してるのですよ。」


 お母様は嬉しそうに言っているがもしかしてと思い聞いてみた。


「もしかして、社交界はイワン伯爵家で行われますか?」

「ええそうよ。それが?」


(やっぱり……あのクソ親父……)


 そうそれはレナの給金を上げてもらう時に使った父上の弱みの1つ例の伯爵家の夫人がいる屋敷なのだ。私は何か腹が立ったのでお母様にバラした。


「おのハゲ……帰ったら半殺しね……」


 一応言っておくがお父様はハゲていません。


「もしシラを切るようなら侍女のセイさんとレイさんが証言してくれます。セレンから聞いたと言えば話してくれるはずです。」


「分かったわ。行くわよシュウラ、クレア!」

「「は、はい!」」


 そうして3人を見送った後、私はレナといつも通り草むしりをするのでした。


 1月後……初めて送られてきたシュウラの手紙にはお父様はお母様によって腕と足の骨を折られて重傷らしい……


(ざまぁみなさい!)






 次の日の夕方、私たちはお祭りに来ていた。イズミさん達は気を遣ってか私とレナだけにしてくれたので2回目のデートだ。


「セレン様!こっちこっち!」

「レナ、人が多いから手を繋ぎなさい。」


 お祭りにはしゃぐレナは可愛いが、迷子になると困るので手を繋いだ。


「全く、レナの方が年上なのに落ち着きがないわね。」

「良いじゃないですか、お祭りなんですから!」


 満面の笑みである。これでは反省もしていないだろう。でも、確かにお祭りははしゃぎたくなる。


「やれやれ、それじゃあ何か見たいものはあるの?」

「うーんとねー、その前にお腹空いた!」


(本当に小さい子に見えてきたわ……)


「それじゃあ屋台で何か食べましょうか。」

「それなら甘々のお菓子が……」


「夕飯も兼ねてから考えなさいね……後で買ってあげるから。」

「はひ、すみみゃしぇん……」


 ミスズさんからレナが甘いものをねだってきたら注意してと言われているので私はレナのほっぺたを横に摘むのでした。なんでもキリがなくなるからだそうだ。まぁ可愛そうだから食べた後に買ってあげる事にした。


「ほら、揚げ鳥とか売ってるからそっちを買いなさい。」

「はーい。じゃあ串焼きも買って良い?」


「いいわよ。」


 という事で屋台の定番物を買った私たちは近くのベンチで食べる事にした。


「ねぇ、セレン様知ってます?」

「何をかしら?」


「このお祭り豊作をお祝いするお祭りなんですよー」

「ええ、この前イズミさんに聞きいたわ。」


「でも、もう1つあってですね。このお祭りの最後に花火が上がるんです。その時にキスをしたカップルは永遠に一緒にいられるらしいですよ。」


「ふぅーん。」

「あ、信じてないですね!」


「興味がないだけよ。」

「……セレン様は私と永遠は嫌なのですか?」


 落ち込んでるレナの頬を私は思いっきり摘んだ。


「誰もそんな事言ってないでしょー?」

「はひ……」


「それにそんな迷信に頼らなくても私はレナを離さないわ。もしレナが嫌だって言ってもね。」


 私は摘んでほっぺたを離してそのままレナの頬を撫でた。


「これだけ言ってもまだ不安かしら?」

「いえ……安心しました。」


「それにキスくらいいつでもしてあげるわ!もう1回してるんだから!」

「……はい!セレン様大好きです!」


 そうしてレナは私に飛びついてきた。その拍子に私たちは凄い音を立ててベンチから落ちた。そして周りの人達の視線が一気に集まった。私は顔が赤くなるのを感じすぐに立ちあがりレナの手を取って猛ダッシュでその場を立ち去った。


「レナ!後で覚えておきなさい!」

「ごめんなさーい!」


 後ろをチラッと見るとレナも顔を赤くしていた。どうやら恥ずかしかったらしい。そのままイズミさん達と合流して花火を見て帰った。



 帰り道、イズミさんが馬車を走らせておりミスズさんとレナが眠っていたので先程の事を聞いてみた。


「イズミさん。」

「はい?」


「あのですね。先程レナがあのお祭りの花火の時にキスをすると永遠に一緒にいられるって言ってたのですが?」


 それを聞くとイズミさんは笑い出した。


「ふふふ。そんな話初めて聞いたわ!」


(やっぱり嘘だった……)


「まぁ、悪く思わないであげてよ。あの子なりに考えてロマンチックな事したかっただと思うわ。」


「はい、分かってます。ただ本当なら来年はしても良いかもと……」


「それだと、レナの嘘も本当になるかもしれないわね。」

「……そうですね。」


 私たちは笑ってしまう。何故なら来年からその伝説を私とレナが作るのだから。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回が最終回です!お楽しみに!


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