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第14話目 本音

話を間違えて投稿しておりました申し訳ございません!

 レナの家にご厄介になって数週間が過ぎた。今私はイズミさんと村へ出荷に出ていた。


「今日はなんだか賑わってますね。」

「あー、今日からお祭りだからね。」


「お祭りですか?」

「そうよ。豊作祭って言って今年の豊作に感謝を示す為に今年獲れた野菜や果物を神様にお供えするのよ。」


「そうなんですね。ん?今日からという事は何日間かあるんですか?」

「ええ、3日間あるわ。最終日が1番盛り上がるから最終日にみんなで行きましょう。」


 お祭りなんて何年振りだろう……私は顔には出さないけどめちゃくちゃ楽しみにするのでした。


(だって、レナとお祭り回れるんだから……)




 イズミさんと家に帰ると馬車が止まっていた。畑にはレナ達が居ないので嫌な予感がする。私は走って家の扉を開いた。するとそこには……


「セレン。久しぶりね。」

「ご機嫌様お姉様。」


「か、母様!シュウラ!なんでここに?」


「あら、レナさんがあなたを追ったのよ。それならまずここに来るのが当然でしょ?」


(お母様の顔が怖い……そして凄いプレッシャー……私は今日死ぬのかしら……)


 などと考えているとミスズさんが奥からお茶を淹れて持って来てくれた。


「まぁまぁ、立ち話も何ですから座ってお話ししましょう。」


 私は緊張のあまり吐きそうになるが何とか飲み込みお母様達の前に座った。イズミさんは空気を読んで馬を小屋に連れて行った。今いるのは私とシュウラ、お母様、ミスズさんだ。


「さて、大体の事はシュウラから聞きました。」

「あの……先程からレナの姿が見えないのですが……」


「あらあら、自分の心配より他人の心配ですか?安心しなさい。今クレアとお話しております。無断欠勤をしていましたので長くなると思いますがね。」


「あの……私のせいなのでレナは許して貰えませんか?」

「……やはりあなたは優しい性格のままだったのですね。」


「騙しててごめんなさい……」


 お母様の悲しそうな顔に私はただただ謝る事しか出来なかった。


「もう良いのです。確かにあなたにはあの王子の制御は難しいでしょう。私たちこそ謝らねばなりません……あなたに負担をかけてしまった事を……」


 お母様は目に涙を溜めて私に頭を下げた。流石の私もこれには驚いた。


「そんな……私こそ……お母様達の期待に応える事が出来ませんでした。謝るのは私の方なのです……」


「セレン……ありがとう……この婚約はシュウラになりました。そしてあなたはお城を出られました。それでもあなたは私の娘です。大切な……」


 私はお母様に近づき肩を抱いた。お母様が何に怒っていたのか。それは私にではなくお母様自身に怒っていたのだと改めて分かった。そうしてお母様は涙を拭うと話を続けた。


「あとは、私とシュウラに任せてセレンは自由に生きて頂戴。でも、偶にはサンセットで一緒にご飯を食べましょう。昔の様にね。」

「はい!」


 私は昔の様にお母様と話せるというのが嬉しかった。それだけで涙が止まらなかった。


「お話は纏まりましたか?」


 すると外からクレアとレナが戻ってきた。レナはめちゃくちゃ泣いていた。余程こっぴどく叱られたみたいだ。


「ええ、こちらも話は纏まりました。レナは今日より現場復帰となります。」

「という事はレナはお城に戻るのかしら?」


 ミスズさんの質問にクレアは首を横に振った。


「いいえ、セレン様専属の侍女として現場復帰とさせて頂きます。なのでレナ、セレン様をよろしくお願いしますね。」

「はぃ……」


 泣きながらも返事をするレナ。


(あれは嬉し泣きか……?)

「ひぃ!」


 そう思っていたらクレアにお尻を摘まれて悲鳴を上げた。


「返事は?」

「はい!」


 どうやら痛みで泣いていたらしい。


「では、今日はもう遅いので3人とも泊まっていかれますか?」


 ミスズさんの提案にお母様とシュウラ、そしてクレアは顔を見合わせた。そして……


「では、お言葉に甘えて。」


 こうして3人は今夜泊まって行くことになりました。




 夜、私はシュウラを家の外に連れ出して2人きりで話をした。


「シュウラ、この前はごめんなさい……侍女が見てたとは言えあんな言い方……」

「そんな事?いいわよ。別に。あの時お姉様はもう泣いていたもの。」


「えっ?」

「遠目からは分からないけど近くでなら瞳がウルウルしてたのが分かるもの。」


 どうやら私はまだまだ演技力がないらしい。


「でも、あれが最後にならなくて良かったわ。来てくれてありがとう。私……幸せになるね。」

「ええ、なってもらわないと困るわ。私もこれから幸せにしていくのですから!」


「でも、相手は……」

「大丈夫よ。あんな女を馬鹿にしてる男にはとびっきりの罰を与えるわ。」


 暗闇だけどなんとなく分かる。相当あくどい顔をしているのが……


「さぁ戻りましょう。お姉様直属の侍女がやきもち妬いてしまうからね。」

「……そうね。」


 そうして私たちは家へと戻るのであった。

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