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『夢黒 亡』というVtuber

ハーメルンにも同じ内容を投稿していますが、こちらにも

2017年に起きたVtuberの波。

 一過性で終わるものと思われていたこの波は、すっかり姿を大きくして今もなお続いている。





 ◆◇◆◇◆◇




V総合スレ ■■■配信目


173:名無しのV ID:ii29fKD09

落ち着いてきたとはいえ、戦隊は強いなぁ


174:名無しのV ID:kaoP27k5s

伊達に黎明期から引っ張ってねえ


175:名無しのV ID:eBAr5fn7r

モモは相変わらずほぼ毎日投稿やめてないのは狂っとる


176:名無しのV ID:Hna093fUH

いつだったか、それに触れてる配信あったよな


177:名無しのV ID:Tkmj1n09K

(配信のリンク)


178:名無しのV ID:Kodneo201

君よく有能って言われない?


179:名無しのV ID:IP2Mhvf62

この配信ももう2年前かよ


180:名無しのV ID:23kGhp9H/

夢お兄さんとは一体……


181:名無しのV ID:Ym00kerNa

夢ニキ分かんない人が……生まれてるんやなって……


182:名無しのV ID:gbdU65Fed

そりゃ2年だからなぁ


183:名無しのV ID:SKk69LD4G

帰ってきてくれ


184:名無しのV ID:pk3damjMr

結局誰なんや


185:名無しのV ID:Ym00kerNa

「夢黒 亡」これで「むくろ なき」って読む

2017年組……マジの古株男性Vtuberや


186:名無しのV ID:Hgf84Bco2

2Dライバーの先駆けみたいなもんだよなぁ


187:名無しのV ID:SKk69LD4G

3Dと2D使い分けてたんだよ

ゲームの時重くなるみたいに言ってさ


188:名無しのV ID:pk3damjMr

辞めちゃったんか?


189:名無しのV ID:pkIJ9279h

色々あったんだよ……


190:名無しのV ID:Ym00kerNa

簡単に説明すると、知り合いの起こしたことの責任を自分で被った。

活動休止って形にしてな


191:名無しのV ID:pkIJ9279h

証言もあって、完全に夢ニキは無実だったのが分かったんだけどな

結局そのまま音沙汰無しや


192:名無しのV ID:meO93HSY0

夢ニキに感化されたVは多いぞ。何かと配信で聞く


193:名無しのV ID:Ym00kerNa

帰ってこねえかな……




 ◆◇◆◇◆◇




 Vtuber界には、「戦隊」と呼ばれている5人がいる。

 それぞれがイメージカラーを持っており、それが特撮の戦隊もののようだと自然とファンの中で呼ばれるようになった。

 それぞれがVtuber黎明期を引っ張ってきたレジェンド。

 彼女たちに憧れてVtuberになったと語るVtuberも少なくない。


 そんな戦隊のピンク、"モモ・シャーティー"はある人物に連絡を取っていた。


『夢お兄さん、まだ戻ってこないんですか』


 その言葉にしばらく反応はなかったが、モモはじっと連絡ツールのLincordを見つめる。

 彼から返事が返ってこないのはいつものことだった。

 そして、いつものようにため息をついて作業に戻ろうとした時、通知が来る。


「っ!」


 期待して覗いてみれば、その彼から返事が来ていた。


『まだって言われましてもね。もう2年経ってるんだからさ』


 居ても立っても居られず、即座に言葉を返す。


『私も、他の子だって待ってます』

『そうは言ってもな』

『ずっと見てくれてるじゃないですか』

『まあ、そうだが』

『というかいい加減先輩の戦隊の方なんだから、その呼び方やめないか』

『絶対に嫌です』


 文字越しではあるが、懐かしい会話にモモは思わず笑顔がこぼれる。あの頃はこんな風によく話せていた。


『まだあの時のこと、気に病んでるんですか』

『もう吹っ切ったさ』

『じゃあどうして』

『こっちにも色々とあんだよ』

『……待ってますから!』


 それだけ返すと、モモはLincordを閉じた。これ以上は感情的な返事しか送れそうになかったから。

 1度深呼吸をすると、スケジュールを確認する。明日もモモの仕事はたくさん待っていた。


 ◆◇◆◇◆◇


 モモからの返事が来なくなったのを確認して、俺は大きなため息を吐いた。


 俺がVtuber、"夢黒 亡"の活動を休止してからもう2年近くになる。

 生来のお節介焼き、困ってるのを見るとつい声をかけてしまうのが災いして2年経った今でも、彼女のように戻ってこないのかと連絡をしてくる人たちがいる。

 慕ってくれているのは確かに嬉しくはあるんだが。あの頃は後輩だった子たちもすっかり有名になっていて嬉しいやら複雑やら……


 いつものようにYourtubeを開く。日付を超えたというのに、多くのVtuberが各々の配信をしている。

 あの頃に比べて男性Vtuberも増えた。企業Vtuberの一つのグループが男性Vtuberを捨てなかったことがやっぱり大きな要因だったと思う。

 ……まあ、未だに目の敵にする奴は多くいるんだけど。


「確かに……今なら戻ってもいいのかもしれないな」


 『夢黒 亡』のチャンネルに跳べば、引退したころの登録者数からあまり変わらない数字が目に入る。

 活動を引退すれば、チャンネル登録を外す人も少なくない。

 それでも、2年経った最近でもチャンネルしてくれることがある。


 今でも、待ってくれている人がいる。


「…………」


 無言でSNSのMonologerを覗く。

 大勢のVtuber、リスナーがあの世界を楽しんでいる。


「やっぱり、楽しそうだ」

久々ですが、よろしく

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