村娘です。お見合いをお願いされた私は魔王城にいます。相手が魔王なんて、私は生け贄ですか?誰か家に帰らせて下さい。(村娘三人目)
ある日の事。
私の家に村長が来た。
外で話がしたいと言われたので、私は村長についていった。
「村娘よ。すまぬがお見合いをしてくれんか?」
「お見合いですか? 何で私?」
「お前はこの村で一番の美人で、頭もいいし、明るく、何よりいきがいい」
もぅじーちゃん、誉めちぎっちゃってっ。
まぁわたしは、全国村娘ランキング259位ですからねっ。
適任でしょーねぇ。
粋がいいって誉め言葉、聞いた事な、い、ぞっ。
「で、相手は誰ですか?」
「マオーじゃ。金はたんまりと持ってるぞ」
「マオ? 誰? まぁ、村長の頼みだから仕方なくですよ。見合いの場に行くだけですよー? 相手のハートバキュんしても知りませんからねぇー」
あっ、村娘らしからぬ発言だった。
「そうか。頼まれてくれるか。では、今から向かって貰うぞ。もぅ迎えは来ておる」
はい? 今から?? 迎え???
バサッ。ヒューーーんッ。
私は、空を飛んでいた。
上を見上げると、ばかでかい鳥の魔物が、私をつかんで飛んでいるのを確認した。
鳥と犬と妹に愛される女。
それが私。村娘よっ。
…………。
って何でよー?
何でノータイム拉致よー?
迎え? これがお迎え??
普通馬車とかあるでしょー。
どこから見ても魔物に襲われてる村娘だよー。
ギルドに助けを求めるのは無理そうだ。
よしっ。
相手は生き物だ。
こうなったら、村娘スキルを発動するしかないっ。
スキル
《親しみやすさ向上》
《愛らしさ気持ちだけ向上》
《動物に好かれる増し増し》
「ハローおにーさん。コトバ、ワカリマスカー?」
「……普通に喋って貰ってかまわない」
あら? 普通に喋れるのね。
風は魔法で遮断してるみたいだし、よかった。
「おにーさん、どこまで行くの?」
「魔王城だ」
マオージョー?
魔王、城?!
「魔界の城でオケー?」
「だからそう言っている」
…………。
そんちょーーっ、無事に帰れたら永遠に眠れる子守唄、聞かしてやるからなぁーーー。
てか村長、私の事、粋がいいって言ってたよね?
私、食べられちゃうの?
私、生け贄なの?
ヤバいッ。何とかせねばっ。
「ハッハッハッ。見よっ地上の者よ。この私の天使の翼……いや、体の何倍もあるこの骨太な翼を」
…………。
「村娘。お前は何をしている?」
「えっ? 魔界に私の体を馴染ませようと思って、色々調整してます」
「意味がわからんっ。お前は見合いに行くのだぞ?」
「はい? 食べない感じで?」
「だから、見合いだ」
なるほど。見合いは見合いなのね。
「じゃあ見合いが終わったら私、帰れます?」
「それは、魔王様しだいだ」
はい?
バットエンド結局ありなの?
もしくは永久奴隷にされちゃう? 私?
お、降りよう。
そして、逃げよう。
「おにーさん、おにーさん、私ちょっとお花摘みにいきたいんだけど、下ろして貰える?」
「花? 却下だっ。魔王城にも花はある」
こ、この鳥、村娘の私からおションを言わせる気ねっ。
わ、私は村娘、そんなはしたない言葉……。
でも、私の命が……。
「おションべん」
「気でも狂ったか?」
アワアワアワワー。
トイレに行きたいと言うだけなのに、ただの下品な単語を言ってしまったは。
もぅお嫁に行けない。
だから帰らせてぇーー。
「いや、違うんです。わたしはトイレに―――」
「見えたぞ。あれが我が国の魔王城だ」
あっ、あれが魔王城。
私の国の城を毒で満たして、コウモリのふんとヤモリのしっぽと玉ねぎ、ピーマン、にーんじんを合わせてじっくりコトコト三年寝かせて、その後、冒険者のやっとダンジョンから出られた時の靴下を天日干しにして、お、俺、お前の事、絶対に大切にすると言った時の恋のエキスを隠し味にいれて、ステータスオープンといいながら三人一組で恋の駆け引きが起こる予感がしながら混ぜ合わせたような城。
一言で言うなら……魔王がいそうな城。
…………。
鳥さんと一緒に私は魔王城の最上階にあるバルコニーに降り立った。
降り立った所で私に、清き天空にいる、神のお告げが聞こえた。
魔王城に着くまでの文字数がヤバイけど、みんな大丈夫か? と。
私にはよくわらないけど、神に答えておこう。
アーメン。
「村娘、大丈夫か?」
「あぁ大鳥さん、こっちの事なので、気にせず」
「大鳥って、バカにしてるだろ。今、魔王様を呼んでくる。そこで大人しく待っていろ」
私は目についた椅子に座った。
さて、どうやって乗り切るか?
逃げるのも一つだけど、さすがにこんな高い所からじゃ無理だし。つかまったらねぇー、何されるかわからないし。
普通に見合いをしてみる?
好きになられても困るし、嫌いになったら死んじゃいそうだよねー。
私達、お友だちのままでいましょ作戦でいくか?
私達の友情は何年経っても消えないからね作戦で行くか?
ただ、魔王がどんな感じかだよねー。
グロい系か人っぽい系か…………。
グロい系にプラスしてヌメヌメ系の服溶かす系の村娘ハレンチ系だったら無理だよねー。
目が三つ系までは耐えよう。
で、ボディー緑系は無しの腹ポヨンポヨン系だけならありで行く?
でもそれだと、村の人にコイツ私のダチッす言える?
妹が泣かない範囲で――――。
「よく来たね」
バッ。
「黒髪、赤目、肌白のスタイリッシュな人系、つまり…………ダチッスー」
……。
やっちゃった。いや、踏ん張れ私。
今のキャンセルでっ。
「わ、私が魔王だ」
私は直ぐに立ち上がった。
「大変失礼いたしました魔王様。お初になります。村娘です」
魔王様に促されて私も座った。
ふぅー、命はまだある、よかったぁー。
あら? 大鳥さんがいないぞ?
よく考えたら私の立ち会い人いないぞー?
てか、お見合い、私したことないんだけど?
ど、ど、ど、どーしよー?
いやいや、これはお見合いではなかった。
これは、そう、私の命をかけた戦いだ。
「村娘、何か得意な事はあるか?」
ふふっ。
開始そぅそぅの攻撃で、魔王、あなたの力量はわかったは。
私をただの村娘だと思って油断したはね。
「私は村娘ランキング259位なので、108個の村娘パターンを会得しています。得意と言えばこれくらいでしょうか」
どーよ?
魔王が使える呪文以上の村娘パターンを、私は会得しているのでは?
「村娘。では、ちょっと見せてくれないか?」
なんで? なんで動揺していないの?
な、なるほどね、わかった。
今度は私の力量をはかりたいと言う事ね。
ふっふっ。でもね、甘い、甘すぎるは魔王。
私には特殊パターンがある。
魔王は通常パターンでくると思っているはず。
残念。私はあなたの、裏をかくっ。
私は立ち上がり、一度、頭をさげた。
集中しろっ。私。
今までやって来た事を思い出せ。
ここを乗り切れば私の命は助かる。
命を掛けろっ。
このアタックに、私の全てを。
バッ。
「あなた、この村は初めてね。なんでわかるかって? だってあなたの顔にかいてあるじゃない。ぼ、う、け、ん、しゃって。さぁこっちに来てっ村を案内す――――」
私は、私はやりきったぞ。どうだ?
ま、まだ笑っているなんて、わ、私には信じられない。
「村娘、他のも見せてくれるか?」
わ、私の全力を受けて、まだそんな事を言えるなんて。
いや、相手は魔王よ。
プライドがあるはず。
きいていないはずがないは。
もうひと押しよ。
その笑顔も、次で最後よっ。
――――。
それは、私の十三回目のアタック、『妹はまだ小さいので妹の命だけは』の時だった。
バンッと開いた扉と共に、大鳥さんが吹っ飛ばされていた。
「魔王はどこだーっ? 俺は勇者だ。勝負しろー」
勇者?
急に出てきて何を言っているの?
こっちが今、真剣勝負してんだよっ。
さぁ魔王、邪魔が入ったが、続きを……。
魔王は立ち上がった。
「今、村娘と見合いをしている」
そう、死闘と言うなの見合いをね。
ん?
ミアイ?
見合い??
そーーーだったーーーっ。
こ、こ、こ、これはお見合いだったっ。
シリアス展開で、記憶がおぼろげ…………うん。
忘れたい過去は、女の秘密よっ。
でも、私がまだ生きていると言う事は見合いは順調と言う事ねっ。
勇者は剣を構え、魔王に向かって飛び出す。
魔王は剣を召喚し、戦いが始まった。
さすが勇者、人の話を聞かないのは伝統のようね。
私、どーしよー?
村娘で考えれば勇者を応援するべきね。
でも、お見合い相手を応援しないってどうよ?
村娘道を極めんとしてる私としてどう?
…………。
「大鳥さん、どっち?」
「先に助けようと思わんのか?」
あっごめん。
「まったくお前は何を言っている」
…………。
「大鳥さん、もう見合いは無理だよ。だから私を帰してくれない?」
「村娘。それは無理だ。勇者にやられて、動けそうにない」
チッ。
おっとー?
私は村娘よっ。
今のはきっと靴が擦れた音ねっ。
「村娘。頼みがある。魔王と勇者を止めてくれないか?」
「いや、無理でしょー」
「今の魔王様は、力を十分に出すことは出来ないのだ。それに、お前が止めてくれるなら、俺はお前を村に必ず帰すと約束しよう」
くっ。コイツやるはねっ。
村娘には基本的に、誰かの頼みを断わってはいけない。
村娘中級講座では、特に弱い者の言葉とある。
魔王と勇者の戦いを止めるなんて…………無理ポヨーー。
てか止めれる人なんていなくね?
その時だった。
はるか昔、魔王と勇者を止めた姫? 聖女?の物語を私は思い出した。
で?
私村娘だよ?
まあ、少なくとも前例はあると言う事ねっ。
私は魔王と勇者へと向かった。
スキル
《聖女に憧れる乙女》
《姫になりたい気持ち》
《動物に好かれる増し増し》
これぐらいあれば、十分か。
バッ。
私は飛び出し二人の間に入って両手を広げた。
「誰だッ、お前は?」
「わ、私の名前は姫(仮)。村娘です。剣をおさめなさい。勇者よ」
「一体、何を言っている?」
「あなたの敵は、魔王ではありません」
「だから何を言って」
「あなたの真の敵は…………あなたにもわかっているはず」
「いやっ、ちょっ何を?」
はっはっは。
コイツはちょろそうだ。顔に動揺が見えた。
「思い出してください。あなたが勇者になった日の事を……」
勇者はゴクリと生唾を飲んで、私の言葉を待っているようだ。
「国からの支援もなく、週休ゼロ、その上命を掛けつづけ、魔王を倒した所で何が残ります? 名誉ですか? あなたは昔こう思っていた。誰かを守る為に強くなりたいと。では、あなたの振るう剣は何ですか? それもまた暴力ではありませんか? では、魔王は何をしました? ここにいるだけで暴力など振るってはいません。部下がやった責任は上司の責任と言います。だけど、殺しを全て上司の責任にするのは、ギルドでもありえません。魔物にはなりますが、殺した数だけなけなら勇者様のほうが沢山殺している。つまり、勇者個人で見た場合、勇者様は大罪をおかしているのでは? さぁ、もう一度その考える事を諦めた頭で考えるのです。真の敵は誰かと。今ならまだ遅くはありません。たぶん」
ふぅー。
「勇者様、大丈夫ですよ。共に祈りましょう」
勇者は剣をおさめた。
「「アーメン」」
…………。
そうして、勇者は一旦帰っていった。
さっ。
私も命あるうちにかーえろっ。
この時の私は、魔王様から、また呼び出しくるとは思っていなかった。
デデンッ。
次回村娘!
ケルベロスは犬ではありません?
みんな、この次も私を早く帰してくれよな!
完
クスクスとなる所はありましたでしょうか?
ここまで読んでくれた方は、私と感性がにているかもしれないです。
ネタ詰め込み過ぎて、話が入って来ねーよっと思われた方
投稿の励みになりますので、下の☆☆☆☆☆から評価して頂けると幸いです。
長文、お疲れ様でした。
四人目まで投稿しました。
連載のコメディーも投稿してます。
よかったら読んでみてね。
コメディーに祝福を。