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第十二話
夜。
月は十六夜。
月光がステンドグラスを通して十字架を照らしだしていた。
そのもとに跪き、十二人の使徒――第一使徒アドルトゥエノフ公は聖器であるロザリオを手に神に祈りをささげていた。
静寂を乱すように、周囲が騒がしくなる。
「来ましたか」
彼は懐から夜の仮面の予告状をとりだす。
それを見つめる顔は聖者のごとく威厳に満ちていた。
「では、神の愛を説いてさしあげましょう」
立ち上がり、待ち構えるように、扉を見つめた。
その背後からステンドグラスを通して光がさす。その足元には影があった。
それは人の影ではなかった。
十二枚の翼が彼を守護しているようであった。
同時刻。
レインは追い詰められていた。
傀儡人は魂がないので、魂の穢れに反応する弾丸はきかない。
銃剣の刃は生物に対しては普通の切れ味しかもたないから掴まってしまえばアウト。
身に着けている黒衣は銃弾や物は防いでくれるが、この傀儡人の大群が相手では押し潰されて圧死してしまうから役にはたたない。
だからレインはそこらの建造物を銃剣で斬り裂き、障害物をつくることによってどうにか逃げ回っている。
このままではジリ貧である。無数に湧き出るような傀儡人を前に舌を鳴らす。
「急いでくれよ、ベル……」
呟くように言い、足を踏み出す。




