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プロローグ
炎が舞う。其れは紅の華のようにも見える美しくも妖しげな火が辺りを包む。
魅入られてはならない、死に誘われるから。
「っ......何でこうなるんだ、よ」
その最中に死がすぐ其処まで来ているのにも拘わらず自分に対しての苛立ちからかそれとも後悔から来た言葉なのかは分からないが小さくしかしはっきり云い、持っていた刀が手から滑り地面に落ちた。
これで何回目? と誰かが男性に向かって問う。
「っ知るかよ。 俺が諦めるまでか、この結末を変えるまで何回も、何度でもやる」
だから、付き合えよ? とその誰かが男性には分かるのか声を聞いた途端、男性の表情が和らぎ、誰かに毒づきながらも不敵に笑って言う。
勿論。だけど、貴方の願いは? と男性に向けて誰かはまた問う。この返事をする前に男性は完全に火に包まれ消えて逝った。