第二章 常識を越えた世界~初陣~ V.s. The Strongest 4
三話連続投稿の三話目です。
「魔術が使えるようになったから、次は能力を引き出すぞ」
能力、か。いい能力だと良いな。などと思っていると、急にレイの顔が真剣な面持ちになった。
「アール。能力ってのは最初にも説明したが、過去には数人だけだったが能力を持っていなくて引き出す作業の際に死んだ奴もいる。能力を持っているかどうかは全ての能力を持った奴だけだ。俺には分からねぇ。もしかしたら死ぬかもしれねぇ。それでも、試してみるか?」
死ぬ。その言葉に俺は少し戸惑った。
だが、その戸惑いはすぐに吹っ切れた。
「試してみる。もし、俺が何一つ能力を持っていなくて、死んでしまったとしても後悔はしない。元より、レイに助けてもらわなかったらこの世にない命だ。覚悟は出来てる」
「そうか、わかった。始めるぞ」
そう言って、レイは俺に手をかざす。
レイの手から光が出る。
しばらくして、光が俺の全身を包み込んだ。
「マジか・・・・・・」
レイが呟く。その声に反応してレイを見るが、レイは何とも言えない表情をしていた。
俺は不安になり、レイに聞く。
「失敗・・・・・・したのか?」
だが、レイは首を横に振った。
「いや、失敗じゃねぇ」
そう言って、レイは手を下ろす。レイの動きにあわせて、俺を包んでいた光も消える。
「完全適合者だ」
「完全...適合者?何それ?」
「完全適合者ってのは、全部の能力が使える奴のことだ。つまり、お前には全ての能力が使えるんだ。この世で史上二人目だ」
マジかよ。想像してたもの以上だ。
俺が感動していると俺の目の前に一枚のカードが出現した。
「???これは?」
「これはお前の能力が記されたカード・・・・・だ・・・・」
レイがカードを手に取って見た瞬間、レイの顔が曇る。
「どうした?」
「いや、お前の能力は『完全適合者』って出るはずなんだが・・・・」
そう言って、レイはカードを渡して来る。
そのカードにはこう書かれていた。
『完全適合者+α』
「何・・・・これ?」
「すまんが俺も分からねぇ。だが、これだけは言える。お前には、この世にあった能力以外の能力があるってことだ」
何なんだろうな、その能力って。
「まぁ、そのうち分かるだろ。ほらよ」
すると、急にレイがさっき渡してきた辞書よりも分厚い本を渡してきた。
「何、これ?」
「能力の種類とその詳細が書いてある。いわば図鑑みたいなモンだ。だが、発見されたヤツだけだがな」
俺は渡された図鑑のページをパラパラとめくっていく。
『炎』『水』『雷』『透視』『遠視』『多言語翻訳』『人心操作』『完全記憶』『飛行』『テレポート』『物質変換』『生成』まだまだあるな・・・
強そうなやつだったり、物騒なやつだったり色々あるな。
「アール。そろそろ良いか?」
一旦、図鑑を閉じる。
「じゃ、魔術、能力が使えるようになったところで、修行を始めるぞ‼」
「はい‼」
今回でこの作品に必要な設定が揃いました。
感想・意見等ありがとうございます。