第二章 常識を越えた世界~初陣~ V.s. The Strongest 3
三話連続投稿の二話目です。
「魔術ってのは体内にある魔力の元を練って作り出した魔力をいろいろな術に変換して生み出すものだ。魔力ってのは誰もが持っているからアールも使えるぞ」
俺も使えるのか。魔術ってのは良いな。
「魔術ってのは二種類ある。一つ目は魔力を練り、決まった詠唱や決まった霊装を使って魔術を生み出すっていうものだ。これは、詠唱する文を全部覚えなければいけねぇし、霊装が必要な魔術は霊装がないと代用が出来ねぇから使えねぇってことがある。だが、特定の威力や特定の効果を出したいっていうのなら、こっちの方がいいかもな。でも、魔力切れを起こすと使えなかったり、本来の威力が出なかったりするから気を付けとけよ」
「要は全部覚えればいいってことだな。それで、二つ目は?」
「そりゃそうなんだが・・・・・・まぁいい。二つ目は魔力を練り、自分のイメージしたものを具現化させたものだ。このタイプの魔術は一つ目と区別するために魔法と言ったりする。こっちのタイプは霊装は使わねぇ。魔術を使う時に詠唱したり、魔法陣を描いたりするのは、イメージを固定化させるためだから無詠唱や魔方陣を描かなくても使える。つまり、術者の想像力次第ってことだ。このタイプの魔術は、魔力を練ってイメージが固まればすぐに使えるから魔術を生み出すまでの時間が短い。即座に使いたいってんならこっちの方がいいかもな」
すぐに使えるっていうのがいいな。それに、イメージ次第じゃなんでも出来そうだな。
「早速だが、魔術を教えるぞ」
そう言ってレイは俺に(どこから出したんだろう)分厚い辞書を渡してきた。
「・・・・・・何、これ?」
「見りゃ分かるだろ、辞書だ」
「それぐらい分かってる。何で辞書なのかって聞いてんの」
「ああ、そういうことか。それはだな、魔術ってのは使うのに魔法名っていうのを刻んでないと上手く魔力を制御出来ずに暴走するからだ。それに、魔法名ってのは言葉と三桁の数字を組み合わせて作るから辞書を渡したんだ」
「なるほど」
「魔法名は一語でもいいし、複数の言葉を組み合わせてもいい。ほとんどの奴は自分の無念や覚悟を刻む。俺の魔法名は、『For the peace999』『全ては戦争の無い世界に』だ。魔法名はどんなものでもいいが、あんまり長くすんなよ。魔法名は全部覚えねぇといけねぇからな」
俺はレイの言葉を聞きながら、辞書を開いていた。
俺の魔法名。 何にしようか。そう思いつつ、俺は辞書のページをめくっていく。
しばらくして、俺の手はとあるページで止まっていた。
これに決めた。
「魔法名ってどうやって刻むんだ?」
「やり方は簡単だ。正方形の紙に魔法名を書いて、魔力を通すだけだ。魔力の通し方は紙に触れて、力を紙に送るイメージを作るだけだ。どれだけ魔力が小さくても出来るから問題ない。ほら、やってみろ」
俺は言われた通りに紙に魔法名を書き、イメージを作る。しばらく続けていると、紙が白く光ってきた。
「お、成功だな。これでちゃんと魔術が使えるな。その前に魔力が少なすぎるがな」
「そこは今からなんとかするから大丈夫だ」
「その自信はどこから来るのやら」
「うるせぇ」
ま、これで魔術が使えるって訳だ。
短くてシンプルだが、俺の覚悟を表している。
全てを守りたい。全てを守れるようになりたい。
『Fort000』『最後の砦』
前回よりは短いですが、説明回でした。
お付き合い頂きありがとうございます。
次回は説明回三話目です。