第二章 常識を越えた世界~初陣~ V.s. The Strongest 2
今回はほぼ説明回になりますがご了承ください。
本日は説明回なので三話分を一気に投稿します。
これは一話目です。
一夜が明け、俺は叩き起こされた。
「おい!起きろアール‼」
「う・・・・あ・・・・・・」
「昨日言っただろ!今日から本格的に始めるって」
その言葉で俺は飛び起きる。
そうだった。俺は強くなるためにここに来たんだった。早く準備しねぇと。
着替えなどを済ませ、家の外に出る。
これからだ。どんなことがあるか分からないが頑張ろう。
「始める前に聞きたい事がある」
「何だ?聞きたいことって」
レイはいきなりこんなことを聞いてきた。
「喧嘩ってしたことあるか?」
「ケンカ?そりゃあしたことあるよ。誰だってケンカぐらいしたことあるだろ」
「喧嘩で勝ったことはあるか?」
「それは・・・・・」
俺は口ごもってしまった。恥ずかしいことに俺はケンカをして一度も勝ったことがない。
「どうなんだ?」
「・・・・・ない、一度も・・・・」
「本当に?」
俺は無言で首肯く。
すると、レイが俺の顔を覗き込んで来た。
「忘れているだけで、一度ぐらいは勝ったことあるんじゃないかと思って記憶を見てみたが・・・・どうやら本当にないみたいだな」
「・・・・・・」
「そうか。良かった」
「・・・・・・?どういうこと?」
「いや、変にケンカが強かったりすると、自分は強いっていう刷り込みと、妙なクセがつくからな。弱い方がちょうど良いんだ」
・・・・・・これは誉められてねぇよな?
レイは俺のジト目に堪えられなくなったのか、咄嗟に話題を替える。
「じゃ、じゃあ、まずはこの島からの説明だ」
ここって島だったのか。暗かったから分からなかったな。
「この島の名前はプラー島。この島には三百人ほどの人が住んでいる。そのほとんどが島にある唯一の街、レートに住んでいる。この島の周りは海で、近くに陸も島もない孤島だ。一番近い陸地でも一万キロ以上離れてる。一万キロ飛んで来る奴なんてそうそういねぇからあまり敵もこない。どうだ?修行にはうってつけの場所だろ?」
確かにわざわざ一万キロも飛んで来て襲う奴なんていないだろうな。
「それじゃ、島の説明の次は能力及び、この世界で使われている力の説明だ。これからお前が使うことになる。しっかり聞いておけよ」
「いよいよ、だな」
俺は息を飲む。
「まずは能力の説明から。能力ってのは、ほとんどの奴が産まれた時から持っている。持ってねぇ奴もいるが、そんな奴は過去に両手で数えれるぐらいしかいなかった。お前の住んでいた街にいた奴も、この島に住む奴も持っていると思うぜ」
俺はふとあることを疑問に思った。
「なぁ、ちょっと不思議に思ったんだけど、ほとんどの人が能力を持っているのに、俺は誰かが能力を使っているところなんて見たこと無いんだ。何でみんな使わないんだ?」
俺は自分の街を思い出す。そこでは、俺の親や街の人達が能力を使っている所なんて見たことがないし、使えるなんて全く知らなかった。それに、何度か騎士・兵士の訓練の様子を見たことがあるが、能力を使っているのを見たという記憶はない。
「ああ、それはな、使わないんじゃなくて使えないんだ」
「・・・・・・・どういうことだ?」
「ほとんどの奴は持っているが使えない。その理由は、能力を引き出すことができないからだ」
・・・・・・・・・・?どういうことだ?分からん。
俺の理解が追い付いてないがレイは説明を続ける。
「この世に能力者ってのは二種類存在する」
そう言ってレイは人差し指を立てる。
「一種類目は産まれた時から使える奴だ。こういう奴を『神の片割れ』と呼んでいる。だが実際、ほとんどいない。俺も会ったことねぇしな」
そして、レイは中指を立てる。
「次に、二種類目は俺のような誰かに能力を引き出すきっかけを与えてもらい、能力を引き出した奴だ。世界中にいる能力者のほとんどはこのタイプだ。ちなみに、能力を引き出すきっかけを与えられるのは、能力を引き出した奴だけだ。お前の周りにいた奴らが能力を使えなかったのは、能力を使える奴がいなくて、能力のことを知る機会がなかったからだ。軍の兵士達が使えなかったのは、恐らく国の方針だろう。下手に力を持って下克上とか起こされたら堪らねぇからな」
そうだったのか。何となくだがわかったな。
「だが、注意する点が一つある」
「何だ?注意する点って?」
「それは、能力を何一つ持っていなかった場合、引き出す作業をした時に死ぬってことだ。持っていねぇ奴がこれをして、生き延びた奴はいねぇ」
何だよ、それ。めちゃくちゃリスクあるじゃねぇか。
「・・・・・・見分ける方法とかってあるのか?」
「あることはあるんだが、本当かどうかは分からねぇ。その方法なんだが、この世で使えるのはただ一人、全ての能力を引き出せた奴だけだ。そいつは、世界で一番強い男だ」
その言葉を聞き、俺は不安になる。
「そんな顔すんなよ。能力が使えなくても他にもあるから心配すんなって。ま、能力についての説明はまだあるんだが、先に能力以外の力について説明しておこう」
本当に大丈夫なのか・・・・・・いや、今は考えないようにしておこう。
「能力の他にも魔術や忍術、妖術とか秘術なんていうのがある。その中の一つ、魔術を教える」
「忍術や妖術とかは教えてくれねぇのか?」
「教えるも何も、使えねぇから無理だ」
「何でなんだ?」
「まず、どういう仕組みなのかとか、構造とか知らねぇから組み立てられねぇし、何度か見たことはあるが、見ただけじゃあ分かんなかったからな。という訳で、俺が使えるのは、能力と魔術だけだ」
忍術や妖術、秘術などのその他の力に関しては使えない、か。大丈夫なのか心配だな。
「他の力に関しては教えれねぇが、魔術に関しては任せとけ。なんせ俺は悪魔だからな。魔術はお手のものだぜ!!」
とりあえず、他の力はまた今度にしておこう。
「それじゃあ、本場の魔術を教えるぞ!!」
説明ばかりで面倒臭いと思いますが、お付き合い頂き、ありがとうございます。
後二話で説明回が終わります。