第二章 常識を越えた世界~初陣~ V.s. The Strongest 1
第二章始まります。
このまま戦場にいても危険だということで、俺達は場所を変えることにした。
レイが能力を使って飛び、俺はレイにおぶってもらう格好になっていた。
街は火の海となり、もはや見る影もなくなっていた。だが、それでも俺の故郷だ。町を離れるのは辛かった。レイの背中にいる間、俺はずっと涙を堪えていた。
移動を始めてから半日ほどたった頃、レイがようやく地上に降りた。地面に降りた時には辺りはすでに真っ暗になっていた。
暗くてよくは見えないな。
「アール、こっちだ」
レイが俺を呼ぶ。
レイの隣には古ぼけたどこか不気味な洋館が建っていた。
「今日からここが俺達の家だ。この家は俺が人間界に来た時に自分で建てて拠点にしてたから、安全だぜ」
ドアを開け、中に入る。
「すげぇ・・・・・・」
洋館の中に入ってみると外から見た印象とは違い、不気味さなど微塵の欠片もなく、とても綺麗だった。洋館の中は赤を基調とした、なんとも優雅な部屋が連なっていた。玄関を入ってすぐにある広間にはシャンデリアがあり、部屋の中を幻想的に照らし出していた。
「ここに来るのは一年ぶりぐらいだが、俺の持ってる魔力と能力使えばかなり綺麗に保っていられるんだ。外から見れば気味が悪いが、その方が誰も寄ってこねぇから見つかりにくいし。どうだ、気に入ってくれたか?」
そう言ってレイは笑う。
「ああ」
こんな良い場所に文句をつければ罰が当たりそうだ。
「なら良かった。今日はもう遅いから、晩飯食って寝るぞ。明日から本格的に始めるぞ」
その後、俺は自分に割り当てられた部屋のベッドに座って考え事をしていた。
今日一日で色々な事があり、俺の頭の中はまだぐちゃぐちゃのままだ。
「・・・・・・・これから・・・・・・俺・・・・・どうなるんだろ・・・・・・」
そう呟いてベッドに仰向けに倒れる。呟いた所で、何も変わらなかった。当たり前だろう。だが、一つだけ、答えが出た事がある。
俺は、あの悪魔、ブラッド・レイを信じる事にした。根拠はなんだと聞かれても答えられない。単なる直感だ。それでも、何かは変わるだろう。
希望はあるが、根拠など何もない。俺が今する事は、明日を信じて『今』を全力で生きるだけだ。
とりあえず、今のところ、1・2週間ごとに投稿しようと思います。
感想・意見ありがとうございます。
まだ読みにくい所や、至らない所などがあると思いますが、これからもよろしくお願いします。