第一章 出会い Beginning of The new Era 1
俺は辺りに響いた爆音で気がついた。
・・・・・・ここは?何がどうなったんだ?視界がぼやけつつも必死に思い出そうとしていた中、また爆音が鳴り響いた。今度は爆音だけでなく、銃声と悲鳴も聞こえてきた。
俺は辺りを見回し、凍りついた。
自分の住んでいる町はほとんどが破壊され、周囲は火の海と化していた。
少しずつ何があったか思い出してきた。
たしか家族と出かけていて・・・・・・そうだ!そこで急に爆発が起こったんだった。そしたら急に視界が真っ暗になって・・・・・・
そこまで思い出した時、また爆音が起こった。今のは近かったのか視界の隅に瓦礫が転がってきた。
俺は逃げようとしたが身体が思うように動かず、尻餅をついた。その拍子に何かの上に乗ってしまったので俺は振り返ってみた。
俺が乗ったのは・・・・・・人、だった。それが赤の他人だったら恐怖で、俺はこの場から走って逃げ出していただろう。
だが、俺にはそれが出来なかった。
何故なら、そこにいたのは自分の母親だったからだ。
俺はゆすったり、大声で呼んだりしてみた。だが、返事は無かった。息をしていなかった。もう、死んでいた。俺は死んでいると分かった途端、頭が真っ白になり、その場に崩れ落ちた。
十五歳の心を潰すには、十分すぎる出来事だった。
頬を涙が伝った。俺は蹲り、ひたすら泣いた。家族を殺した、顔もわからない相手を憎みながら・・・・・・
どのくらいたったのだろうか。誰かが話しながら歩いてきている音が聞こえた。姿が見えた。軍服を着て、銃を持った二十代半ばの男が三人だった。話をしていたが、自分の使っている言葉ではないので何を話しているのかは分からなかった。
三人の中の一人がこちらに気づいた。その視線を追ってか、残りの二人もこちらに目を向ける。
三人がこちらに近づいてきた。男達は笑っていた。まるで俺を嘲笑うかのように。
一人の男が銃口を俺に向けてきた。
俺の中では恐怖の感情よりも、悲しみ、憎しみ、怒りの感情の方が勝っていた。家族が死んだ悲しみ、家族を殺した者への憎しみ。そして、今、まさに自分が殺されようとしているのに、怯えて何も出来ない自分の弱さに対する怒りだった。
男が引き金に指をかけた。
やはり、俺は何も出来ない。逃げることも、指先一つ動かすのも出来なかった。
ここで死ぬんだ。
そう思い、俺は目を閉じた。自分の弱さに怒りながら。
銃声が響く。
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