リア充のすすめ
リア充とは現実(real)の生活が充実している者を意味するネット用語とある。随分昔の新聞のコラムに森鴎外の『青年』の中の一節が引用・紹介されていた。
『小学校の門をくぐってからというものは、一しょう懸命にこの学校時代を駆け抜けようとする。その先には生活があると思うのである。学校というものを離れて職業にあり附くと、その職業を為し遂げてしまおうとする。その先に生活があると思うのである。そしてその先には生活はないのである。
現在は過去と未来との間に劃した一線である。この線の上に生活がなくては、生活はどこにもないのである』
これを読んで、過去も未来も今の時間が連なったものであり、今が大切だと気付いた。毎日の生活に追われていると、学生時代は良かったなと思う。時間もあって、何でもできた。でもよく考えてみると、あのころは、学生であると言う閉塞感と将来の不安もあって、いつも悶々としていたように思う。早く就職したいとも思っていた。
そして、この年齢になると上も見えてくる。就職したてのころは、将来に希望を持って仕事もできた。脇目もふらずに仕事をしていた時のことが懐かしくなる。でも、あのころは思いどおりにいかなくて日々悶々とした生活を送っていたように思う。
いつの年代でも、都合のいいことも都合の悪いこともあった。それは歳を重ねるごとに変わって行くものだ。例えれば、時間はあるけどお金がない、お金があるけど時間がない、時間とお金もあるけど体力がないみたいなことかもしれない。
そう思うと、いつのころからか、部署やポジションが変わっても、今が一番良い時なのではないかと思えるようになった。すると、この今の時間を大切にしなければならないと思うようになった。一日一日を大切に楽しく過ごそうとするようになった。
時は流れ、人は老いる! 今しかできないこともある。今を大切にすると充実感がある。リア充だ。そして、満足感が生まれてきて、今が一番いい時で幸せなのではと思われてくる。そうすると、ますます今の時間が大切に思えてくる。今は今しかない。今しかできないことをしようと!