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Clearth(クレアース)  作者: 有田舞式
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Clearth 四、試験

 白い洗面台の前にリナは屈んでいた。

 水で流していく自分の喀血した血はゆっくりと黄色の尾を引いて消えて行く。

 自分が水に流れていく。命がどんどん外へと流れていく恐怖。

 鏡に映る変わり果てた己の姿を見てリナはよろよろと後退してから思い出したように薬棚へと向かう。


 取り出した錠剤を適当に口へ放り込むとそばにあったコップと共に呷った。

 それから千鳥足にベッドへ戻ると白い天井を見つめるように仰向けになる。

 静寂はいつからかリナに煩わしいものとして認識されていた。


「あと何日くらいなんだろう……」


 日に日に窶れていく自分。心を保たなければならないと思っていても時々ルキトへの衝動が抑えきれなくなりそうになる。

 迷惑になるくらいなら早く消えたいという思いと同時にルキトに見つめられている喜びが綯い交ぜになって気が狂いそうになってくる。

 そうなるといよいよよくない考えが脳裏に浮かんでくるのだった。


 ぼうとその考えに囚われていると不意に扉が開いてリナは現実に引き戻された。

「起きてたのか」

 ルキトは困ったような呆れたような顔でリナの横に腰掛ける。ベッドが軋んでわずかに揺れる。

 リナはルキトを観察するように沈黙した。


 度重なる過剰な同調率での搭乗は神経を破壊するのか、ルキトの手先や腕は小刻みに震えていた。

「ルキト」

 そっと布団の隙間からその手を取るとルキトは弾かれたように肩を震わせる。

 もう互いに限界が近いのは明らかだった。


「…………時々、見えるんだ」

 ルキトは静寂の中に声を沈ませた。

 ゆっくりと握り返される手の平にリナはその言葉に続く言葉がよくないもののような気がしてくる。外れたことはなかった。


「上の席にリナが座ってる」


 リナは激情のあまりに叫び出しそうだった、声が掠れていなければ血を吐くまで叫び、痛みがなければ泣いて許しを乞うたかも知れない。


 あらゆる感情の奔流が過ぎ去ってから言葉にならない気持ちを表すためにリナはただ首を振った。

「俺たちは離れていても戦ってるよ、一緒に」

 何かの言葉をリナは呑み込んだように頷く。たった一言でルキトを解放できる。


 それなのに自分の心は狂おしいまでに満たされている。これが何なのかリナは理解したくもなかった。もう考えることには疲れたのだと自分に言い聞かせて誤魔化す。

 涙に濡れた頬をそっと掬われながらリナはこの時間が続くのならばいつまでも涙を流し続けたいと願い静かに眠りに落ちていった。


「そうだ、俺はリナと共にある。リナが好きなんだ……リナが……」

 ルキトは思い出したように呟き、眠った青白いリナの額に軽い口付けをした。

 徐に立ち上がったルキトは腕輪を操作しながらわずかな息を吐く。

 自分だけで選択したカスタマイズを確認した後は部屋を出た。


 廊下で待っていたシャルとマキリは笑みを浮かべる。

 シャルの髪は新しい髪留めもないままストレートに下りていた。

 違和感はそれだけだとルキトは思い込もうとする。

「来たわね」

「俺はてっきり泣き言を言い出して出てこないとも思ってたけどな」


 マキリの冗談をルキトは軽く笑って否定した。

「ここまで来たら行くところまでいくしかないさ」

 歩き出す3人。シャルだけがそのルキトのわずかな変化に気づいていた。

 一歩歩くごとにどこか力の入り方が違うと感じるのだ。

「あなた本当に大丈夫なんでしょうね」

「何のことだ?」


 マキリはそれを見て片頬を上げて不適な笑みを浮かべる。

「そういえばお前、この間のシャルの髪留め持っていったままだったよな」

 シャルは急に振られた自分の話に頬を赤くして片手で徐に髪を梳かした。テールだった髪はふっくらとしたロングになっても可愛らしい。


「返せとは言われていない」

「やっぱりあれか、匂いとか嗅いで――ッテ!」

 脇から入った肘鉄にマキリは苦悶の声を漏らす。

「お前ら……本当にパートナーなんだよな? 適合率高いんだよな?」

「こんな奴と99.9%って言われたら間違いじゃないかと疑いたくなるわ」


「あ、いいのかそんなこと言っても。ベッドの下に隠したお菓子――」

「だめぇッ!」

 廊下に響き渡った声がぎんぎんといつまでもルキトたちの耳を震わせるようだった。

 うるせえと行き交う訓練生にどやされるもシャルの眼は本気のままである。


「分かった、もう言わないから」


 目まぐるしく変わるシャルの表情は驚くほど豊かに感じる。

 涙目になったシャルをなだめ始めたマキリの背から見知った姿が近づいてきた。


「中々威勢がいいなお前たち」

 ミツイの姿は表情と合わせていつもと寸分変わらない。3人の背筋を伸ばした姿を見てミツイもほんのわずかに頬を緩ませた。


「別に叱りはしないぞ、お前たちは年で言えばまだ成人にも満たない子供なんだからな」


 徐々に集まってくる訓練生は列を成してミツイの前に並び出す。ミツイが腕のデバイスから一瞬にして人数を確認し終えると小さく頷いた。


「ではこれから試験の概要を説明する」

 ミツイの背後に立体映像で映し出されたのは大破しかけた母艦せかいの映像だった。


「知っての通り今日、お前たちには試験が課せられる。300人全員が出撃しそれぞれにスコアを出すものだ。この試験は今までの試験と違い、各機の働きの度合いやそれぞれの成果によってスコアが加算される」


 後ろの映像が見えるようにミツイが身を引くと一斉にどよめきが走った。

 母艦であるクレアースが炎に包まれ大部分が大破しているのである。


「約2000年前、ついこの間のことだ、この母艦は機獣の攻撃を受けて一時崩壊寸前までいった。お前たちには今日その追体験をしてもらう。被害人数もさることながら居住区は次々と崩落あるいはパージさせざるを得なかった。お前たちにはこの母艦を守るか住民を守るか、はたまた思い思いの行動をとるか自ら選択する権利がある。何故なら事このような未曾有の災害において指揮系統はそのほとんどが麻痺しているからだ」


 心の準備の出来た者から始めるように。

 その言葉の後には数分の静寂があった。

 ただの命令通りに攻撃だけしていればいい今までの任務とはまったく違う。

 今回は個人の力量が試される任務。それだけに皆の緊張を煽っていた。


「行くぞ」

 どこかで意気込んだ声が聞こえてミツイの前に訓練生が並ぶ。

「皆それぞれ好きなルームに入れ、開始した部屋はロックする」


 その声に続いて次々と列が出来た。

「私たちも行きましょう。空いてるのにロックされるなんて何かおかしいわ」

 その時先のルームの横にいた生徒の1人が小さく悲鳴を上げた。


【スコア-2000 評価:E-】


 電光板に映った数字に誰もが目を疑った。そしてすぐにその意図を知ることになる。

 ミツイもその思考を先回りして言葉にした。


「そうだ、この任務は開始が遅ければ遅いほど精神能力が低いと判断されペナルティが大きく課せられる。当然だ、この試験では私たちクレアース母艦の窮地が今この瞬間に起こっているのだからな」


 慌てる者もいれば怒りに口を開く者もいる。押し寄せる部屋の入り口は我先にとごった返した。


「おい、その部屋に近づくな」

 ルキトの後ろからそんな声が上がる。

「げ、例の奴らか」


 そう吐き捨てるように言い残すと訓練生たちはルキトたちを避けるように去って行った。


「お前らと一緒に入るくらいなら俺たちは他の部屋を選ぶ!」

 シャルたちの周囲にあった人集りもわっと散る。頬をひくつかせながらシャルは扉をくぐってどたどたと足音を鳴らしながら席に着いた。


「もう、私たちを毛嫌いするにしたって過剰すぎでしょ。今回の任務評価は個別だっていうのにあの態度ったら頭にくるわ」

「まあそう怒らないで始めようぜ。俺たちにもきっとペナルティが付いてるはずだ、まずはそれを解消しないことにはな」


 ルキトも席に着いてカプセルを閉じていく。

「ルキト」

 マキリの声がルキトに聞こえた。親指を立てて笑っている。

「ああ」

 ルキトもそれに倣って親指を立てる。

 徐々に透明のカプセルが3人を覆い尽くして無線がオンになった。


『……なんだかんだ言っても、いきなり単機で行動するのは下策でしょうし、最初は協力して状況把握に努めましょう。問題の根源を解決するならそれが一番手っ取り早いわ。それから単機行動、そうでしょ』

『さすがだよシャル、それしかない』

 ルキトの声にシャルの息を呑む声がわずかに漏れる。


『ルキトぉ、お前も俺の相方の良さが分かって来たようだな』

 接続音と共にルキトの全身に激痛が走る。ルキトにとっては気を紛らわせる会話が唯一の救いだった。

『良さって、そんなの昔からだろ……』

『な、なんなの2人して煽てたってお菓子はあげないわよ』


 笑い合う3人のボックスの間を横切る影があった。

 慌ただしく入って来た4人が搭乗席に座りだすと挨拶もないまま無線に接続が確認される。

『なんなの』

 まだ開始していないボックスからシャルは両脇の2組を交互に睨んで不快感をあらわにする。


『エリがぐずぐずしてるから私たちが入れる部屋がここしかなかったってだけ』

 マキリは奇声を上げて無線を入れる。

『こいつら噂になってる同性組だよ!』

『同性組?』

『お褒めに預かり光栄ね。そうよ、私たちは同性の適合率者』

『もう1組は……新顔だな』

『同性で適合率99.9%っていう変わり種が私たちと一緒だなんてぞっとするわね』

 ルキトはそれに応えない。意識を繋ぎ止めておくのがやっとで神経を強制的に酷使される感覚に奥歯を噛みしめているだけだった。


『ルキト?』

『おい、ルキト大丈夫か』

 ルキトの顔は始まる前から脂汗を掻いている。土気色で苦痛に息を荒くするルキトは誰が見ても普通ではなかった。


『ちょっと、大丈夫なのあいつ』

 シャルが上の席にいるマキリに叫ぶもマキリも応えない。ただその覚悟を男として捉えただけだった。


『おい、返事しろ。始めるぞ』

「ああ」

 マキリの淡々とした声にルキトはくぐもった返事をする。

『ちょっとマキリ、あんたね!』

 堪らず後ろを振り返ったシャルはマキリの顔を見て何も言えなくなった。


【開始しますか?】

 全員がREADYを選択して開始する。右上のモニターにスコアが表示されマイナス点を刻んでいった。

【スコア-4500評価F-】


『ここでようやく全員の通信と顔がお披露目というワケ? 別に仲間とかはないけれど、私たちのスタート地点は同じなんだからある程度の打ち合わせは定石のはず。初歩るわよ?』

 初歩る(しょほる)とは「初手で躓くこと」を意味する訓練生内で流行りだした言葉だった。

 その言葉に意義はないとほぼ全員が同意する。


 しかしもう1組の方は特に気にした様子もなく、男のほうに至っては無表情のまま静かに口を開いた。

『僕たちから君たちに言うことは何もない。こちらは最適に適宜、随意動く、ただそれだけだ』

 通信がシャットアウトして3機だけが繋がった状態になる。

 そうしていつの間にか映るお互いの機体。そこで3つの機体は驚きに固まっていった。


『何かおかしいと思ったら……』

『もう始まっていたらしいな』

『どこよ、ここ』


 三者が同時に喋るも一面が闇。背中にあるのは白い壁、それだけで惑星と見紛うほど巨大な絶壁だけだった。4つの機体の横をごうと奥へ動いていく。


『もしかして居住区?』

『パージされた居住区か? どうしてこんな何もないところを漂流してるんだ』


【本隊の状況について説明します】

 淡々とした機械音声に緊張が走る。

【本隊は母艦クレアースからセパレートパージされた居住区から出撃。居住区N329は毎秒2千㎞の速度にて母艦より離脱中です】


 その後に続く機械音声はない。

『それだけ? 私たちにどうしろっていうの? たった4機でこんな巨大な船をどうにかできるはずないし』

『まずは居住区の安全を確認しましょう、異論はある?』


 3機はそのまま居住区内部へと機体を進めた。マキリたちと早々に通信を切った彼らの機体は既にない。


『あそこ、入り口』


 白い一面に四角いハッチがある。レーダーを見ればそこにメンバーの1組が通った痕跡が記されていた。ルキトたちはその手前に差し掛かったあたりで機体が大きく揺れる。


『重力力場が作動してる。シャル、操縦大丈夫か』

『うん、重力内の補正コントロールは入れなくていい。いつこの力場が切れるかわからないから』


 ルキトの機体も揺れ動くがその衝撃による機体の姿勢崩壊はシャルよりも大きい。

 膝を着くような格好になってそれ以上負荷が掛からないよう両手で上半身を支えていた。


『馬鹿野郎、サポーターなしで重力力場に入るなら姿勢を考えろ。間接が壊れちまうぞ』

『やめてマキリ。こっちはこっちの状況で手一杯よ、ここから先はルキトに変な気を遣わないで』

 3機はそれぞれ搬送路を滑走しながら進んで行く。マキリのモニターでは敵に関するわずかな情報も漏らさないように多大な情報を処理していた。


『さっきからこの響いてる音はなんだ?』

『わからん。それよりシャル、2時の方向に生体反応。恐らく機獣だ……』

『そう、最悪の事態みたいね』


 シャルとルキトの機体内のモニター右下に女ペアの顔が映る。

『これだけ敵が拡散してるなら通信は開いておいて各機散開した方がこの状況には迅速に当たれるでしょ? 何ぼさっとしてるの? エリ』

『は、はい』


 機体の1つが白い軌道を描いて別の通路へ進路を変えていく。

 通路のコンテナの間を縫うようにしてその姿は一瞬で消えてしまった。


『ちょっと! 今行動を別々にするのは時期尚早だわ』

『愛想のないあの連中ならとっくに別行動でしょ。判断は速いに越したことはないのよ』

 通信はそこで途絶えてマキリの画面上にはマーカーされた光の点滅だけが唯一の確認になる。

『協力も連携もあったもんじゃないな……1機は行方不明。レズ共の機体は独断専行。単独でポイントを稼ぐなら俺たちもとにかく手当たり次第に機獣を掃討していくか? ルキトは?』

 若干顔色が戻っているルキトにシャルとマキリは安堵するように眉間を緩めた。


「俺はどちらでもいいが、なにより生存者の安否、だろ?」

 シャルは歯切れの悪い返事をしながら頷いた。

 マキリは下に座っているシャルを訝しみながら声を掛ける。


「大丈夫か、カスタマイズに問題があるならちゃんと言えよ」

「いい、大丈夫。機動力が高くなった分左右にブレを感じるけどマキリに補正されているから誤差はミリでしか感じないわ。それより、その機獣は1匹で何をしてるの?」


 マキリはガンマ線表示に切り替えて遮蔽物透過をして確認する。加えて熱探知と粒子透過表示を複合した。

『壁の構造が分厚くて殆ど見えないが、壁の奥にいる奴に何も動きはないな……ただ死んでいないのは確かだ』

『じゃあ、とっととそいつを倒して付近の安全を確保しましょう』

『了解、俺に任せてくれ』


 レーザーサーベルを腰から取り外してルキトは壁に突き立てた。その様子を見ながらシャルとマキリは感心と呆れを同時に漏らす。

 ルキトから通信を遮断しながらマキリとシャルは室内でそれを見守った。


「まあ、そうなるよな」

「サポーターがいないのに複雑な兵器を搭載するのは無理だから私がルキトの立場でもきっとああしたわ。あんな使い捨てのレーザーサーベルを買う奴なんてきっとルキトくらいよ」

 頷き合っていると壁から徐々に白い光が漏れ始める。

「開くぞ」


『おう』ルキトの機体が声を上げて壁を蹴破ると同時にシャルがスロットルを全開に突貫する。

 開かれた空間に非常灯を受けた機獣の姿が地面にのさばっている。

 黒光りする鱗のような表皮に包まれた小麦色の生物。

 古代生物でいうところの海洋生物【エイ】のようなフォルムはどういう原理か翼もないのに浮いている。


『あの装甲は今の装備じゃ撃ち抜けない。ランスに切り替える』

 一瞬でシャルの機体は迷うことなく距離を詰めていった。

『よし、目標マーカー完了。好きに調理してくれ』

 マキリは念のために数種類の不足の自体に対する回避行動をプログラムした。それはシャルの反射神経を上回る動きを機獣が見せた場合にのみ発動するオートアクティブ(自動動作)である。


『捉えた!』 


 接近したことでシャルのモニターに必中ラインが予測表示される。これはマキリが計算によって出したラインでこのラインに宛がえば後は自動で最適な角度をミリ単位でブレ修正し、武器を突き出す設定だった。

 機獣はその攻撃の直前に背中の装甲で身を返そうとしたが、あまりに緩慢でそれは回避たり得なかった。ヒラメのような薄っぺらい体は無残に核の部分を切断されどす黒い油をまき散らして停止する。


「やったか」

 ルキトが蹴破った穴から徐に中を覗くのとすべての状況が終了したのはほぼ同時だった。

『ええ、わけないわ』

 シャルの機体が持つのは槍だった。ルキトがサポーターのシステムを介してその槍の情報をインストールする。

【カスタム装備。可変系超細微振動ブレード壱型β搭載。減衰振動を重力操作で取り除いたコストパフォーマンスの優れた武器。必要エネルギー単価は時間あたり――】


 そこでルキトはすぐにメインシステムへと権限を戻す。

『そんなところで突っ立ってないでこっち来いよ』

 マキリの声に近づいて行くとルキトは異常を察知した。音である。


 通常は宇宙空間に音は存在しないのでシャットアウトしているのだが、この居住区は大気がある。それを察知できたのはルキトがサポーターなしというハンデを少しでも埋めるため常に感覚の全てを接続しているからだった。


『マキリ、今すぐ周囲の音を拾え!』

『敵影は確認できな――なんだこいつら! いつからいや、どこにいたんだっ』

 光に影を差す異形。たったの3体であるにも関わらずその距離感、大きさ、形、その認識がそれぞれ大きく異なる。

 球型か三角かそれを脳内で映像化することに無理があった。

 人智を越えた生物。機獣は時として人間の五感を越えた造形を持つ。

 故に気分は最悪の最底辺を一気に突き抜けて頭痛が起こる。


偶像錯覚視イリュージョンタイプだ……!』

『レーダーで見えているかたちと全く違う……おい、これは何かおかし――』


 遠くから聞こえるような声にルキトはその違和感の正体を察知する。

 それは空間全体が機獣の発する「何か」によって支配されていることを意味していた。

 ルキトはすぐにモニターで3体を見ることをやめて通信状態を確認した。


『マキリ聞こえるか! 今すぐモニターを消せ! これは催眠効果だ!』

 そこからは悲痛なくぐもった声が聞こえてくる……。


『っち! だめだ、シャルが! シャルが正気を失ってる!』

 シャルの機体が徐に振り向いた瞬間、武器が振り下ろされルキトの機体の装甲に亀裂が走った。

『ッ! 冗談だろ』

 回避できたのは直感の賜物。

 飛び退いた後にシャルの威勢の良い声が聞こえる。


『マキリ! 早くマーカーして。 グ? 敵よ! 襲っテくる!』

 そう言いながら全力で前進するシャルの機体にルキトは叫んだ。

『マキリ! なんとかしろォッ!』

 シャルの機体は火花を散らしてルキトの脇を通り過ぎたたらを踏む。

 ルキトは画面を見ないままの全力回避で壁に衝突しながら土煙を上げた。


『シャルの生体反応がある間は操作権を奪えない! くそ! 上には機獣が3体もいるってのによォ!』

 シャルの操縦権を奪うのに必死なマキリを嘲笑うかのようにゆっくりと降下してくる3体の機獣。でたらめな動きをして槍を振り回すシャルを遠巻きに機獣が囲った。


『シャル! お前は今幻覚を見ているんだ! 機獣はそこにはいない!』

 ルキトの呼びかけでもシャルの操縦は止まらない。悲痛な叫びと嗚咽、狂喜が入り交じって声だけが聞こえる。

『はぁっ、はぁっ、はぁっ――ああッ! アツい、あつァ――! 自分が操られてるって分かっても! 止められないの! フフ、アッハッハッハッ?! らめぇっ……止まらないッ!』


 まるでシャルの中に別の人格が入り込んだとでも思えるような豹変にマキリも声を失って茫然自失する。

 ルキトは絶望に満ちたマキリへ冷静に声を掛けた。


『変な考えを起こすなよ。マキリ、モニターを消したまま俺の機体に敵の情報を送信しろ。俺のサポーターをやるんだ』

 マキリは息を呑んだ。状況に呑まれ掛けていたマキリが声を荒げて反対する。


『ば――お前と俺の適合率はどれだけ高くても30%にもならないんだぞ!? まともな攻撃になるはずがない』

『違うッ! 例え30%以下でも2回、3回と続ければ攻撃はいつか当たる。10回、100回、1万回もやれば99%になるんだよ!』


『そんなの理由になんねぇよ馬鹿……――だが、やるしかないな……っ』


 データ通信が開始されルキトのサポーターに臨時のデータが送信される。闇の中にラインが引かれ、敵の輪郭が浮き上がった。


『いい感じだ、古代文明の仮想ゲームみたいだ』

 マキリは失笑したように小さく笑って相鎚を打つ。

『あれはいい時代ゲームだぜ、今まさに仮想ゲーム中だけどな』


 ゆっくりとルキトの機体が土埃を落としながら起き上がった。

『分かってるだろうな、操作のほうで俺でサポートできない。あくまで探知機の信号から位置情報と敵の動きを読むサポートだけだ。それでも適合率の低い俺とお前じゃまず脳内にリンクができないから意味が無い。あとはルキト、お前の腕次第……信じていいんだろうな』

『当たり前だ、俺とお前だけの初の共闘。燃えてくるだろ』

『同性組の仲間入りでもするか?』


 受信完了の合図と同時に闇の画面に光る道をルキトが全力で疾走する。

 振り上げたレーザーサーベルを敵がいる予測位置に振り下ろすのに1秒と掛からない。

 敵影のロストはマキリの画面で確認された。


『まじかよ、今のは――』

『次だ!』予想以上にうまくいったことに驚く暇もなくルキトは叫んだ。


 マキリからの位置情報がルキトの画面に再び表示される。

 浮かび上がっていく敵は虹の影を上下左右に伸ばしながら数種類の回避反応を示していた。

 そこにあるのは全てマキリの予測するデータ群。

 これを正確に捉えて示唆される予測行動に当たりをつける。

 サポーターとの適合率その真価が試されるはここにあった。


『――っ』

 その1つの道筋を捉えて空を切るレーザーサーベルにマキリは固く目を瞑る。

 1秒後を1秒前に見せるのがサポーターの役目。

 作業は未来予知にも等しく、適正値が高くなければかみ合わず現実の対処に1秒遅れの攻撃を放つこととなる。

 見たままを反射で行う戦闘では機獣を倒すことは叶わない。

 それは致命的な隙にもなり得た。


『やっぱり無理だ! 逃げるしか――』

『いいから送れ!』


 次々と機獣の予測情報がルキトの機体に取り込まれるがその尾にすら剣は届かない。

 空を切る光剣を操るルキトは息を切らせて黒い画面を睨む。正確なデータを送ろうとあらゆる受信機の情報から正確な位置、行動、予測を割り出すマキリ。


 その試行錯誤の末、ついに十三合目の攻撃が機獣に擦った。

 一瞬姿勢を崩した機獣の体を掴み、ルキトは止めの一撃を見舞う。

 いつ機獣の攻撃によって大破させられてもおかしくない戦闘にルキトは違和感を感じながらも攻撃を続ける。


『反撃されないのは奇襲のせいか。手段が限れてるのか。とにかくこのままなら残りも倒せる』

『だめだルキト、攻撃してこない理由はわからないが、最後の1匹だけがレーダーの範囲から抜けやがった。モニター戻すぞ」

『……』


 見回しても敵の影は何処にもない。非常灯に照らされた芝生と骸になった2体の機獣。

 そしてマキリとルキトの機体があるだけだった。


【操縦士の意識レベルが低下したため、コントロールをサポーターに移譲します】


『くそ! 今ごろかよ!』

 マキリはモニターに頭を打つように項垂れる。


『シャルは無事か』


 機内からの索敵レーダーにも敵の影は映っていなかった。居住区での機獣取り逃がしはどう考えても対処すべき優先事項にあたる。

 マキリは呻るように返事を返しながら嘆息をついた。


『俺たちの状況は最悪だと思うぜ。カスタマイズはシャル専用に機動力と攻撃力を中心に上げたから俺は扱えないし俺が操縦するならこれ以上はサポートもできない。しかも今の奴、どういうわけか攻撃してこなかった。明らかに最後の奴を逃がす為だ。つまり今度さっきみたいな奴に遭ったら仕舞いには……』


 ルキトは思案するように沈黙し逃げた機獣の行方を見つめる。

『居住区で一番人口密度が高いのってどこだ?』

『そりゃ下層だろアグナーズは俺たちの2倍はいる。俺も機獣はそこにいると思う。でもまさかお前、アグナーズを助けるとか言うんじゃないだろうな』


『機獣が狙っているのは人間だ。そしてあいつら人間を取り込んだに違いない。あの幻惑効果を見ただろ。あんなこと機獣は普段できない』


 マキリは語気を強くして頭を振った。

『だめだ! 機獣が人間を取り込んで感覚器官を完全に理解したのは明白だ。だいたい話聞いてたのかよ。戦うのは危険すぎる。そもそもアグナーズは俺たちとは違う下級の人間だ!』


『アグナーズだって人間だろ。俺たちと同じ――』

 ルキトの意見にマキリは怒りで肩を震わせた。

『違うっての。クレアーズとアグナーズを同価値にするな』


 ルキトとマキリは睨み合うように機体を対峙させていた。

 モニター越しに見る2人の顔も一歩も譲らないという強い意志が見える。


『ルキト、とにかく人命についてはある程度諦めなきゃだめだ。機獣がまた何体も出て来たら一巻の終わりだろ、母艦に行くどころじゃなくなる』

『あの1体で最後だったらどうする。それこそ俺たちは腰抜けになるだけだ』


 溜息がお互いの口から漏れてマキリは項垂れる。

『分かった、だがその前にやることがあるから聞いてくれ。この居住区は今も母艦から離れ続けてる。それでだ、輸送通路を経由しながら一旦コントロールシステムにアクセスして停止させる必要がある。あまり離れれば助けられたとしても戻れないからな。その後で居住区に行こう」


 2機は飛び立つとシャルの機体を先頭に貨物路へと出る。

 巨大な1本通路をコンテナを躱しながらゆっくりと進んで行った。

『慎重すぎないか』

 何度目かの地響きでルキトは何か焦りを感じていた。

 ルキトの声にマキリは苛立った声で返す。


『こっちはシャルの様子を見ながら索敵とスキャニング、操縦までやってんだぞ』

『俺が先頭でもいい』

『だめだ、これ以上の速度で飛ぶのは危険だ』

 巨大コンテナを躱しながらマキリとルキトの機体が振り子のように揺れ動く。


『シャルの意識が戻ればまた戦えるのか?』

『……』

 返答に窮しながらマキリは静かにデータ処理を続けていた。

『シャルの状態はどうなってる? 仮想訓練で重体になることはないだろうが、シャルを再び使える可能性があるかどうかを確認したい』

『てめぇ……』


 マキリの静かな声にルキトははっとする。

『リナが同じ状態になったら同じ事が言えるのかよ』

 反射的にルキトが謝ったところでマキリから返答はなかった。2機はただコントロールルームへ向かって静かに上へと昇っていく。

 コンテナの数も減り、黙々と上昇する2機に唐突な通信が入った。


『こちらサリオット。お前らコントロール室に向かって来ているようだが、そこに用があるならナンセンスだぞ』

 モニター越しに出たのは最初に姿を消した1機だった。

『サリオットって……お前ら練習機のくせしてもう自機のハンドル付けしてるのかよ』

『悪いか、それより何しにこちらに向かってくる』


 無線からは戦いの最中にあるようなサポーターの声が矢継ぎ早に聞こえてくる。

『コントロール室でこの居住区の移動を停止をするつもりだったんだ』

 断続的な接続のシャットアウトにマキリたちは上昇を止めた。

『なら無駄だ、俺たちの行動データを転送するから適当に動け。あの姉妹機はとっくにリタイアした、今自由に動けるのはお前たちだけだ』


 そこで通信は途切れる。マキリは受信したデータを開いていく。

『やけに転送が遅いな』

 ルキトもその情報を閲覧するためにマキリとモニターを共有した。

 外壁の軋むような音が不安と緊張を煽っていく。


『よし、ロード完了だ』

 展開した内容にはサリオット機の行動がそのまま入っていた。

 モニターにサリオット機のコックピットからの画面が映り、音声が流れ始める。

《本機はこれよりコントロール室にて居住区の動きを停止させる。その後、住民の安全確保、及び脅威を殲滅。アリスいいな?》

《了解》


 マキリは悔しそうに腰を深く掛けた。

『俺たちは住民の方を優先したのにこいつらは先に居住区の動きを停止することを優先したのか……確かに住民の生存が不確定なら全体から見て資源を優先するのが先決かもしれない』


 映像は続いて搬送路を上昇していく。

《訓練開始から二○分。敵影なし。アリスに生存者とそれの脅威を調べさせているが目立った脅威は現在なし。住民はどこかへ避難した模様。作戦に変更なし、途中情報としてアリスの収集したデータをここに記録する》


 マキリの顔はさらに悔しそうに歪む。ルキトはその意味するところがアリスというサポーターがマキリより優秀なのだという意味に感じて問いかけた。

『基本の情報収集力だけじゃない、配管の微粒子情報から周囲の機材の線量、とにかく敵の痕跡に繋がる情報の種類が多い。それら全てを統合的に正常かどうかをチェックする独自プログラムを持ってやがる。こいつ、いやこんなやつが今まで注目されなかったなんて笑えるぜ』


 とうとうサリオットの機体は2人のいる場所を通り過ぎてコントロール室へと続く制御路へ入ろうとしていた。

《アリス一旦停止だ。嫌な予感がする、慎重に索敵しろ。ここまで不気味なほど何も無かったんだ、最後はこれくらいでいいだろう》

 ゆっくりと直進を始めて中央まできたとき、不意に機体に警告音が響く。その意味をすぐに理解したのは操縦席にいた男だった。


 赤い光に点滅した通路は閉ざされようとしている。

《くそっ!》

 姿勢を翻して高速で抜けようとする先にシャッターが降りる。分厚い板に砲弾の一撃を見舞うもその壁は悠々と佇んでいた。

 一旦記録が途切れ、再び記録が繋がると男の視線は正面にはなかった。


《俺たちは大きな失敗を犯した。1つはこの居住区が自らセパレートしたわけではないということをまず始めに気がつくべきだった。これは最初の任務での説明を熟考すればすぐに分かる。もう1つはあくまで我々はこの居住区から出て来たというその状況をよく考えるべきであったということだ》


 そしてまたもブラックアウトして再び映る映像。そこに男の顔は怪しげに笑っていた。

《今機獣と戦った。驚くべき事にそいつは俺たちのすぐ背後にいたんだ。

 不意を突かれたおかげでアリスが続行不可能になった。

 生体に反応させる信号を自在に操れるのか、奴は俺たちに幻覚を見せるような信号を発してきた。

 これは信じられない脅威だ。

 機獣は人間を捕食すると人間の五感では捉えられなくなるのかもしれん。

 とにかく俺はまだ粘るつもりだが、1人ではもう手詰まりかもしれない。

 できれば誰かにこの緊急シャッターを開けてほしいが、多分無理だろうな。

 このトラップは機獣対策だろうし――》


 マキリは黙々と続く考察を止めてそこで再生を終了させる。マキリとルキトは示し合わせたように頷くと背中合わせに構えた。

「人間の感覚をすり抜ける敵だと分かったところで俺たちに勝ち目なんかあるか?」

『わからない、幻覚もステルスも捕食とは何の関係も無いぜ。さっきの戦いも襲って来ることはなかったしよ。サリオットも襲われたとは言っていなかったよな』


 マキリは答えながらデータを分割してからアリスの部分だけを保存し残りを削除する。

『見えない敵だったら俺たちはもうやられているよな……』

 見回してみてもそれらしい異変はない。壁に向かって2機が近づいて行っても特に変化はなかった。コンテナに何かが擦った音で2機は振り返って構えた。


『見えない、幻覚、一体何がしたいんだ』

 何も無いことを確認して警戒を解くとルキトは何となしにマキリに尋ねる。

『それでコントロール室の道は今塞がってるのか?』 

『いや、そもそもこんな機体で入る場所じゃないんだ。所定の場所から制御室へアクセスしてコントロールするだけの話さ』


『その途中でサリオットが罠に掛かったってことか。仕掛けた奴は?』

 2機の機体が再び警戒しながらゆっくりと制御路へ近づいてく。

『十中八九、居住区の人間だろ。いや、待てよ。俺たちを捉えるために仕掛けた罠とは考えられないからあいつの言う通り間違いなく機獣相手のトラップだよな……てことは――』

 マキリとルキトが弾かれたように声を上げた。

 

(奴らクレアースそのものを乗っ取るつもりだったのか。)

 

『疑問は残るがそうとしか考えられない。わざわざ制御システムを餌にするような罠を張ったんだ。他に理由がない』

『確かにそれならこの居住区が切り離されたのも頷けるし、筋は通ってるぜルキト』

 マキリはモニターに並ぶ文字列を高速で処理してデータを作り出すとルキトの機体に転送した。

『制御路を解放するためのオートプログラムだ。今それを使う座標も送る』


 ルキトの画面に居住区の4カ所がマークされる。

『この位置にある制御コンピュータを今渡したデータに全て書き換えることが出来ればシステムを通常に戻せる。その後は進行方向から逆探知すれば母艦に戻れるぜ』

 ルキトはそんな浮かれた様子のマキリを見て眉をしかめた。


『戻って、どうする? 俺たちのスコアはまだマイナスのままだ。母艦が危機的状況なのは間違いないだろうが、この居住区の問題は何一つ解決していないぞ』

『いや、何をするにしてもこの居住区の制御は戻さないとだめだ。こんな得体の知れない敵ごと宇宙に野放しにしたらどんなことになるかわからない』


 マキリは慣れない操縦とデータの同時処理に追われながら一先ずの方針を提案する。同時にシャルを見ているがその状態から回復の兆しはない。

『シャル……』

 余所見をしていたことでマキリは自身の機体を大きく仰け反らせていきルキトに接触してしまう。


『おい』

 気のゆるみが操作ミスを引き起こさせたことでマキリは明らかに動揺し顔色を悪くしていった。

『す、すまん』


『大丈夫か? 機体との接続レベルが低いとサポート無しの操縦は神経誤差に大きく動かされるぞ』

『わかってる。少し……油断した』

 唐突にルキトは先の失言を真摯に謝った。マキリはモニターを見つめながら苦笑いする。


『よせよ、もう気にしてないぜ。シャルがこんなだから言うけどな、もともとお前の側に着くと言い出したのはシャルなんだ。だから俺がお前に怒る道理もなかった。俺はただシャルのためにこの場にいるんだか、ら――くそ……』

 マキリは唐突に目を覆うようにして涙していた。

 驚いたルキトは操作の手を止めてモニターに食い入るように見つめる。


『お前の気持ちは充分シャルに伝わってるだろ。何で泣くんだよ』

『俺、サポーターなのに、シャルを守れなかったんだ。こんなのただのクソ野郎だ』

 マキリは責任感からか、敵の奇襲を見抜けなかった罪悪感からか目元を押さえて静かになる。


『それを俺の前で言うのかよ』

『…………悪い』

 ルキトはレーザーサーベルを伸ばして気配の動きを探知しながら安堵した表情を見せた。


『まあ、お前はサポーターの鑑だよ。俺はシャルとお前に感謝しっぱなしだしな。それに守れなかったっていうなら俺だって同じだ』

『そうか』

『そうだぞ、シャルがいなきゃ俺はとっくに――いや、そうでもないな』


『おい』

 笑い合う2人の間に静寂が戻る。

『そろそろ行くか。ここから単機で2つのチェックポイント、だな』

『ああ、一先ず制御を戻してサリオットを助け出す。あいつなら他にもまともな情報を持っているかもしれないし、戦力も期待できる』

 枝分かれする青色の軌跡。2機の後ろに潜む影は未だに沈黙を守っていた。


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