弁当の中身
この作品は練習作であり
主に並行世界はいわゆる直列
の方を上げていきたいと思います
できればそちらもよろしくお願いします
こちらもラストまで考えているので最後まで投稿したいと思います
だいぶ暖かくなっており、心地よい風が吹くこの屋上。今日は嗜好を変えて給水塔がある一段高い場所に座っている。
「今日は気持ちいいねー」
その風になびくきれいな長い黒髪を手で直している葉月。
「首が痛い……」
それに対して首を片手で押さえ、もう片方で支える俺と尚春。
「二人ともどうしたの?」
「「なんでもない!!」」
事情を話してしまうとかなりまずいので声を荒げてしまう。それにびっくりしたのか葉月もビクッっとなっている。
実はこの症状、例のハードによるものなのだ。ヘッドギア型で頭を覆い隠してしまうのだがそれが大きすぎてしかも重いのだ。今の技術ではああも完全に再現するためには負荷がかかるらしく結構大きいのだ。そのうえ、ゲーム中は分からないのだが現実世界では熱を放出しておりまた起動音がうるさいらしい。寝ながらするにしても頭より一回りも二回りもそれ以上でかいものをかぶっているのでおかしな姿勢になってしまう。
「そうなの? ならいいんだけど」
「じゃあ昼飯でも食いますか」
そう言うと尚春はプシュッと小気味の良い音をたて缶コーヒーのプルを引く。その缶を口に持っていきそれを口に含むやいなや、盛大に吹き出す。虹が見えた気がした。
「格好つけてブラックなんて買うからだ」
「ごめん、無理、飲んで」
カタコトで缶コーヒーを差し出した手を無理やり押し返す。
「自分で買った、責任、飲め」
「それはひどいよー、いくら中二病だったとしてもねー。かして、飲んだげる」
葉月は尚春の無理やり押し返された手の中にある缶コーヒーを取ろうとするが、尚春はそれを拒む様子を見せる。
「中二病はひどいだろ、今高二だぞ。しかもいくら幼馴染といえどそれはちょっと……あれだと思う……」
急に尚春はもじもじし始める。なにがあれなんだろうか、そもそもあれとはなんだ。
「……いや、この年で飲めないのもあれだ。飲む」
おーおーやったれ、と興味なさそうにはやしたてながら弁当箱を開く。
「やっぱ飲めねー!!」
また口からその真っ黒な液体を吹き出す姿を見て葉月と激しく笑い出す。
「アハハハハッ!」
「ハハハ、ってうわぁ!?」
開いた弁当を見て自分でも驚くほどの間の抜けた声を出してしまった。尚春がコーヒーで汚れた口周りを拭きながらどうしたと駆け寄ってくる。
「ゴキブリでも入ってたか?」
心配してくれたわけではないらしい。
「なにそれ、面白い」
残念ながら葉月、それは面白くない。
「いや、これ」
そういって驚いた元凶の弁当箱をふたりでも見える位置に移動させる。
「うわぁ……」
「まぁ、ドンマイ……」
その弁当箱の中身は日の丸弁当なんてものじゃない。弁当箱の大半を占めていたのは乱雑に潰され、種を抜かれた梅肉、梅肉そして梅肉。その上にちょこんと可愛く乗せられたご飯。見た目からして体がかわいそうだ。最早日の丸ではなく逆日の丸だ。しかも白飯は人のようにも見え、血の池地獄に浮かぶ死体のようだった。今日の弁当当番は茜だったはずだ、この前の仕返しに違いない。
結局おにぎりを買いに行く羽目になった。




