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プロローグ
一輝と弥生のお話の結末です。
あなたのことは、ずっとこの手で護っていくのだと思っていた。
あなたの幸せは、この手で作り、育んでいくのだと信じていた。
あなたに巡り会え、時を重ね、想いを膨らませ。
あなたの喜びは我が身の喜びであり、あなたの悲しみは、我が身の苦しみだった。
そんな、かけがえのない、あなた。
誰よりも、何よりも愛おしく、大事なあなた。
あなたのその手を自ら放す日が来るなんて、夢にも思ったことなんてなかったのに。
今、あなたを想うこの心と共に、両の拳を握り締めよう。