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【呪い系サイコホラー】こはるちゃん、いっしょに。  作者: てっぺーさま
第三章 復讐の始まり

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偽霊能者

【壮絶な復讐が今始まる!】


姉の復讐のため、恭弥は狡猾な罠を仕掛けていく——。

 互いに顔を寄せ、恭弥はマコと二人でスマホに見入っていた。画面には、隣室の様子が映し出されている。

 隣の部屋では、佐藤が見事なまでの偽霊能者ぶりを発揮していた。彼が通話状態の自分のスマホをスピーカーにしてくれているおかげで、恭弥たちは隣室の音声まで聞くことができた。

 佐藤が堂々とした態度で本田奈央にたずねる。

「まず、深夜の二時に電話が鳴るんだよね?」

「はい」

「次に、壁の時計が音を立てる」

「はい」

「で、あのカーテンが大きく揺れる」

「はい」

「それから、壁がドンドンと音を立てる」

「そうなんです。こっち側の壁だけが鳴るんです」

 本田奈央はそう言って白い壁を指差す。

「なるほど。ラップ音だね。典型的なポルターガイスト現象だ。あと、女の人の声が聞こえるって話だったよね?」

 佐藤の振る舞いは驚くほど自然で、恭弥はその演技力に舌を巻いた。隣に座るマコが、笑いをこらえた声でささやく。

「佐藤さん、意外とやるじゃん」

「だね」

 あ、それと、と本田奈央が不安げな表情で口を開いた。

「電話で言い忘れてたんですけど……」

 佐藤が目だけで先をうながす。

「朝起きると、ベッドの下が濡れてるんです」

「え!?」

 佐藤の顔が一瞬でこわばった。

 恭弥も思わずマコに視線を向けた。彼女も驚きを隠せない様子だ。

「ねえ、濡れてるって……。恭弥君がやったの?」

「いや、それは絶対にない」

「じゃあ、なんで……」

 マコの動揺がひしひしと伝わってきた。恭弥の胸も不安で締めつけられる。

 ふと、死んだ姉の姿が脳裏をよぎった。人づてに聞いた話では、姉の遺体は激しい雨に打たれてずぶ濡れだったという。

「まさか……」

 そんなことはないと思いたかったが、これまでにも姉の存在を感じる出来事がたびたびあった。姉の日記を見つけたときもそうだ。あの日、鍵がかかっていたはずの机の引き出しが突然開いたのだ。

 恭弥は動揺を抑えながらスマホ画面を見つめる。隣室では本田奈央がコーヒーを用意しているところだ。

 丸い座卓の前に偽霊能者を演じる佐藤が座り、本田奈央の友人はベッドの縁に腰掛けていた。

 本田奈央が三人分のコーヒーを淹れて運んでくると、彼女は佐藤の対面に座り、先日訪れた霊能者から聞かされた話を語り始めた。

 やがて、話を聞き終えた佐藤は、もっともらしい表情を浮かべて口を開いた。

「なるほど、だいたいのことはわかった。結論から言うと、おれもその霊能者と同じ意見だ」

「はあ……」

 本田奈央の顔に落胆の色が浮かぶ。

「まず、この部屋に霊的なものの存在は感じない」

「じゃあ、なんで変なことが起こってるんですか?」

 本田奈央が語気を強めて問い詰める。

「それはおれにもわからない。でも、仮説なら立てられる」

「仮説……ですか?」

「そう。消去法でいくと、この仮説が正しいと思う」

「詳しく聞かせてください」

「わかった。その霊能者の言葉通り、君に強い恨みを持つ霊が遠くにいるのは間違いない。具体的に言うと、その霊は君と同世代の女性だろう」

「すごい……。そんな具体的なことまでわかるんだ」

 本田奈央の友人が驚きの声を上げた。

 恭弥は隣室でのやりとりを見て自然と笑みがこぼれた。

「なんだよ佐藤さん、アドリブは苦手だって言ってたくせに」

「あれアドリブなの?」

「そうだよ」

「すごーい、佐藤さん!」

 佐藤演じる偽霊能者が本田奈央にたずねる。

「ちなみに、誰か心当たりはない?」

「いえ……」

 本田奈央の表情がとたんに硬くなる。それを見て、恭弥はほくそ笑みながらマコに顔を向ける。

「マコ、あの顔見なよ。絶対に姉ちゃんの顔が頭に浮かんでるって」

 だね、とマコも小さく笑う。

 やがて、恭弥が用意した台本通りに、佐藤が部屋に〝結界〟を張ることになった。

 佐藤が真剣な表情で結界を張る様子を見て、恭弥はマコといっしょに声を殺しながら笑い合う。

「恭弥君、佐藤さんってほんと面白いね」

「だろ? ちゃんと役に入り込んでる。あの人に頼んで正解だった」

 結界の儀式が終わると、本田奈央が佐藤への礼を兼ねてピザを注文することになった。

 引き続き、恭弥は彼らがピザを食べる様子も観察した。とくに有益な情報は得られなかったが、他人のプライベートを覗き見ていることに妙な優越感を覚えた。

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