穢れた存在
【奈央の本性が暴かれる!】
激しい嫉妬心から、奈央は同級生を徹底して追い込んでいく——。
「華菜子、こんな遅くまでどこ行ってたの?」
家に帰るなり、母の鋭い声が響いた。
「……友だちの家で、勉強してた」
華菜子は伏し目がちに、か細い声で答えた。
「遅くなるなら連絡くらいなさい」
「うん、わかった……」
母と目を合わせることなく、華菜子はそのまま浴室へ向かった。
強い罪悪感から、母の顔をまともに見ることができなかった。だが幸いにも、母は腹を立てている様子もなく、深く問い詰めてくることもなかった。これまでも両親が過度に干渉してくることはなかった。今後は遅くなる前に電話を一本入れれば問題なさそうだ。
浴室に駆け込むと、すぐに熱いシャワーを浴びた。全身にまとわりついた男性客の汗や唾液の匂いを拭い落とすように、強く肌をこすり、口に水を含んで何度もうがいをした。鼻の奥には精液の匂いがこびりついていていた。鼻の穴に指を突っ込んで執拗に洗うが、不快な匂いはいっこうに消えない。
「研修」と称して店長の小島の前で胸をさらし、彼の股間に顔を埋めたのだが、そのショックがまだ抜け切らぬうちに、立て続けに二人の客の相手を強いられた。最初の客を相手にしたときは極度の緊張から歯の根が合わず、ガチガチと歯を震わせながら、まともに言葉も発せぬ状態で接客した。
華菜子がそんな状態では客も大して楽しめなかっただろうが、幸運にも、今日の二人の客はどちらも親切で穏やかだった。ごく普通の三十代くらいの男性たちで、風俗を利用するような人たちには見えなかった。店長の話では、慣れるまでは受付である程度客を選別してくれるとのことだった。
そうはいっても、身体をさらに汚された事実は変わりなかった。この先、誰かとピュアな恋愛なんてできそうもない。万引きで停学になった吉野リサよりも、自分のほうが汚らわしい存在になったように感じられた。
「華菜子! いつまで入ってるつもり!」
母の非難の言葉が飛んでくるが、華菜子はそれでも身体を洗うことを止められなかった。口の中も何度もすすぎ、不快感を消そうと躍起になるが、何度繰り返しても心が晴れることはなかった。
ようやく浴室から出たあとも、気分が悪いと告げて食事も取らずに二階の自室にこもった。
机に向かい、いつものように日記帳を開く。恥辱まみれの一日を書き記していく。店長に何をされ、どんな要求をされたか。客とのやりとりも、思い出せる限り詳細に書く。そのとき抱いた恐怖や嫌悪、わずかな安堵も記録する。唯一の救いは二人の客が優しかったことだ。もし、毎回あのような客だったら、金が貯まるまで耐えられるかもしれないという希望も湧いてくる。
だが、すぐさま負の感情が心を覆い尽くす。十七歳という若さでこんな仕事に身を落としてしまった現実に気が狂いそうになった。絶望はやがて怒りに変わり、当然その矛先は本田奈央へと向かう。
「いつか絶対に、この屈辱をあの女にも味合わせてやる!」
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