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【呪い系サイコホラー】こはるちゃん、いっしょに。  作者: てっぺーさま
第一章 心霊現象

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フラストレーション ②

【闇堕ち少女、怨霊と化す!】


憎悪の炎は死んでも消えない!

呪い系バッドエンドサイコホラー。

 学生食堂を出ると、奈央はキャンパスのベンチに腰を下ろした。そして、苛立ち紛れに恋人の(みやび)に電話をかけた。だが、何度コールしても応答はなかった。

「もう! 何で出てくれないのよ!」

 恋人に無視され、奈央の心はさらにすさんでいく。彼はもう別れる気でいて、このまま自然消滅を狙っているのかもしれない。別れ話すら持ち出せない意気地のない男なのだ。あのときだって、いとも簡単に暴力に屈したのだから——。こんなことになるとわかっていたなら、あのときの醜態も動画に収めておくべきだった。

 イライラと爪を噛んでいたところ、突然スマホが鳴った。

「え、雅君!?」

 期待を胸にスマホを見るが、〝山本紗希子〟と地元の友人の名が表示されているのを見て絶望する。期待を裏切られたことで、無性に怒りが込み上げてくる。

「もしもし!」

 つい、八つ当たり気味に電話に出てしまう。

「……奈央、どうしたの? 怖い声出して」

「ごめん。ちょっとやなことあって」

「そっか……。タイミング悪かったかな」

「ううん、だいじょうぶ。何かあった?」

「あれ? ニュース見てない?」

「え、ニュース?」

「うん。川崎君、覚えてる? 中学の同級生の」

 その名前を聞き、奈央の胸に一気に不安が広がる。

「……彼が、どうかしたの?」

「亡くなったの」

「え!? 嘘でしょ!?」

 まさかの報告に、奈央は驚きを隠せなかった。よりによって、あの川崎数馬(かずま)だ。

 奈央は動揺を抑えながら聞く。

「なんで死んだの?」

「溺死だって」

「溺死?」

「うん。死因は溺死らしいんだけど、発見された遺体には暴行の跡がたくさんあったって……」

「暴行の跡……」

 奈央はぞっとした。今、いちばん聞きたくないような話だった。

「それとね、川崎君の足首に、手でつかまれたような跡が残ってたんだって。誰かが川崎君の足首をつかんで、海に沈めたのかもだって」

 足首につかまれた跡——。

 奈央は言葉を失った。自分の今の状況と重なり、恐怖が現実のものとして迫ってくる。

「確か、奈央って川崎君と仲良かったよね? ショック大きくない?」

「うん……」

 死んだ事実よりも、そのタイミングだ。この時期に起きたことがとても不吉に思えた。

「実は、まだあるんだよね……」

「え……」

 友人の言葉に、奈央はびくっと身をこわばらせた。

「片岡先輩、覚えてる? あたしたちの二個上の」

「え、片岡……」

 その名もまた、今は聞きたくなかった名前の一つだった。

 奈央は平静を装って聞き返す。

「……覚えてるよ。彼がどうしたの?」

「交通事故で半身不随になったらしいよ。しかも、自分から車に突っ込んだんだって」

「え!?」

 一瞬で顔から血の気が引いていく。

 よりによって、このタイミングで、川崎数馬に続いてあの男まで——。

「この話にも変なとこがあってね」

 友人の言葉に、奈央は耳を塞ぎたくなった。

「轢いちゃった運転手が言うには、ブレーキを踏んだのに全然効かなかったんだって。ねえ、怖くない?」

 事故を起こした高齢者の言い訳でよく聞くフレーズだが、もし本当にブレーキが効かなかったのであれば、機械の故障なのか、あるいは別の力が働いたのか。

「でもさ、あの人、自殺するようなタイプじゃなかったよね?」

「そうだね……」

「だから、呪いじゃないかって」

「呪い?」

「そう。原口華菜子(かなこ)の」

「え!?」


 原口華菜子——奈央が今、最も聞きたくない名前だった。


「華菜子が自殺したのって、片岡先輩が追い込んだからだっていう噂が流れたじゃない? もしそれが本当なら、片岡先輩に関しては自業自得だったかもしれないね」

「そうだね……」

 もし片岡が自業自得だというなら、自分はどうなるのだろう。奈央の心は重く沈んでいく。

「ところでさ、雅君とは順調なの?」

「う、うん。順調だよ……」

 思わず飛び出た偽りの言葉に、奈央の顔が自然とこわばる。

 そんな気持ちをよそに、友人は続ける。

「高校時代の恋人と結婚までいったら素敵だよね」

 彼女は勝手に妄想を膨らませていく。事情を知らぬとはいえ、奈央は聞いていてイライラした。

 その後、他愛のない世間話を少し交わして通話を終えたが、奈央はベンチから動けなかった。あのときの関係者二人に起きた悲劇は、無視できるものではなかった。

「これって、偶然のわけがない……」

 奇怪な現象が起こっている時期に二人が被害に遭い、うち一人は死んでいる。次は自分なのではないか。

 脳裏に、岩国の言葉がよみがえる。


「なんせ距離があるからね。おれの力じゃ、その霊を成仏させるのはむずかしい」


 彼が言っていたように、これは距離が関係しているのだろうか。被害に遭った二人は北海道にいた。自分は東京にいる。遠くにいるおかげで、ただの心霊現象で済んでいるのだろうか。

「いや、距離なんて関係ない。きっと、わたしのことをいたぶってるんだ……」

 やはり、岩国が言っていたように、早急に謝罪が必要なのかもしれない。

 奈央はその場で実家に電話をかけた。

「——もしもし、お母さん? 今週、そっちに帰ろうかと思うんだ。ううん、別に何もないよ。ただ、何となく帰りたくなっただけ」

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