帰省
【奈央に迫る怨霊の正体とは!?】
心霊現象に怯える奈央は、霊能者・岩国啓一郎に助けを求めるが——。
簡素な駅の改札を抜けると、奈央はすぐにタクシーに乗り込んだ。
運転手に目的地を告げるなり、うつむいて黙り込む。外の景色を眺める余裕はなかった。一年ぶりの帰省だったが、地元の友人にも会わずに明日には東京に戻るつもりだ。
ほどなくして、タクシーが目的地に到着した。山々に囲まれた静かな墓地。人影はほとんどなく、冷たい静寂が漂っている。
この墓地には祖母も眠っていたが、ついでに祖母の墓参りをしようなどという気持ちは少しも湧かなかった。奈央は早く事を済ませて立ち去りたいと思いながら目的の墓石を探し始めた。
やがて、彼女の墓石が見つかった。
〝原口家之墓〟と刻まれた墓石の前に立った瞬間、背筋に冷たいものが走った。まるで、誰かに見られているような鋭い視線を感じた。
慌てて周囲を見渡すが、自分以外に人影はなかった。寂しい風音だけが静かに響いている。
奈央は小さく身震いしてから、改めて墓石に向き直った。
目を閉じて両手を合わせ、震える声でそっとつぶやく。
「華菜子、許して……。願いだから、もう許して……」
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