2 じゃなくて
それは、まるで白い海に浮かぶ黄色いダイヤモンドのようで。
まろやかな酸味がまた、食欲をそそる。椎茸、絹さや、細切り人参の彩りも美しい。芳醇な甘みとうま味が混然と押し寄せて来るようだ。
もう最高のまかない……。
「じゃなくてーーーーー!!!!」
「な、何だ! 急にどうした!」
「夜の準備ってこれですか?!」
「冷凍してた栗、もうさすがに今月食べないと不味くなるだろ。ねぇ、女将さん」
「いや、栗と酢飯って合うのね……美味しいわぁ」
クリス……。
栗と酢飯!
クリスメシっ!?
じゃなくて!!!
頭の中どうなってるの!!
いや、そりゃ料理でいっぱいなんだろうけど!
「あ、栗と酢飯で思い出したわ」
「え?」
お母さん?
「杏奈、クリスマスイブの予定は? お友達と何かある?」
「え、私? あ、24日は何にも」
「じゃあ、ケーキは24日ね。家で食べましょ。橋本さんは24日、何かある? 良かったら一緒にどうかしら?」
「え、良いんですか? じゃあ是非。クリスマスは何も予定ないんで。イブは19時上がりで、20時までには来れます」
「25は何もないの?」
「え、25は夜まで営業ですよね? その後はまかない食べて終わりで……あ、それで良いですか? 三河家の予定があるようなら……」
おおおお!
お母さん! お母さんお母さん!
自然な流れで、クリスマスの予定を!
やった! クリスマスはみんなでケーキ。
もう全然これで十分!
イブもクリスマスも橋本さんと一緒!
***
……と、単純に思っていたのだけど……。
その後、もうちょっとだけ、私的にはややこしい、というかどぎまぎする話になった。
読んでいただいてありがとうございます!
週一くらいで更新します、そんな長くないです。
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