表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の果ての異譚集  作者: 黒瀬雷牙
権能:チート 無敵のクロス
30/31

第八層踏破

 クロスは、自らの権能を知った今、恐れるものは何もなかった。

 七層の層主・デビルコングも、素手で撃破。力を試すような寄り道もせず、第八層の氷点下20℃を誇る雪原エリアへと進む。


【奈落 第八層 雪原エリア】

 雪原の最奥、奈落でも最も厳しい場所にある集落・クリスタルヴィレッジに辿り着いたクロス。

 ここでは歴戦の冒険者たちが宿屋や道具屋を構え、最奥まで挑む冒険者の支援を行っていた。


 クロスは一晩、村で休息をとることにし、散策を始める。すると、村の広場で思いもよらぬ面々と出会う。


「おぉ、クロスではないか。奇遇だな」


「ムラサメさん!…それにアルガードさんも」


 ムラサメ、アルガード、そして最強クラスの冒険者たち。ペシミスティ討伐を成し遂げた彼らは、次なる標的、奈落六大将との決戦に備え、準備を整えていたのだった。


「いまから食事にいくのだが、クロスも来ないか?」


「あ、是非お願いします」


 アルガードに誘われ、クロスは村の宿屋で食事を共にした。

 メンバーは剣聖ムラサメ、最強騎士アルガード、女剣士ヒルダ、弓使いのイグニス、光魔法のマチルダ。

 大剣王のグレンはガイア・ダリウスなどの上級冒険者や、バッシュ、ソラール、マーテルといった弟子たちと別行動を取っていた。


 食事の後、アルガードはクロスに同行を願い、クロスも快く承諾する。


 翌日、クロスは層主・氷の巨人グラシアルロードと交戦中、突如レアモンスターの氷の竜グラシア・エンバークルスが乱入し、戦場は混戦となった。


「クソ、隙がない!」


「狙いが定まらねぇ…!!」


 ヒルダやイグニスは防戦一方、瞬時に状況を把握したクロスは、ムラサメに頼み込んだ。


「妖刀を貸してください!」


 ムラサメは眉をひそめる。


「それは危険すぎる。お前一人で扱えるものではない」


 しかしクロスは、曇りなき瞳で答えた。


「俺なら、絶対に大丈夫です」


 ムラサメは賭ける覚悟を決め、妖刀・新月をクロスに託す。クロスは妖刀を握り、両者の敵に向かって一閃。


冥月断章(めいげつだんしょう)


 闇属性の力を帯びた月光の斬撃が炸裂する。瞬時に二体の巨敵は切り伏せられ、戦場は静寂に包まれた。


 クロスは代償を受けず、完全無傷で戦いを制した。


「新月が、お前を選んだと言うのか?…クロス、そのまま新月を使え」


「ありがとうございます」


 クロスは、自然な流れで妖刀・新月をムラサメから受け取り、以後の戦いに備えるのだった。


【奈落 第九層 地獄エリア】


 一行は灼熱の第九層・地獄エリアへと踏み込む。マグマが流れる荒れ狂う地形の最奥に、奈落六大将が二体。憎悪の羅刹・ヘティリドと、憤怒の赤鬼・アンガレドの姿があった。


 アンガレドは咆哮し、握り拳を天にかざす。


「ペシミスティの仇、今こそ討つ時だ!」


 それに応えるように、ムラサメは落ち着いた声で言い返す。


「十八年前の礼参りを、今果たすまでだ…」


 アンガレドの号令で、従えていたヘルハウンドやアビスオーガが一斉に襲い掛かる。一方、ヘティリドは冷ややかに笑みを浮かべ、両手を掲げる。


怨憎会苦(おんぞうえく)…死者の怨念よ、我が名のもとに集え!」


 その瞬間、大量の死霊がヘティリドの周囲に出現し、クロスに迫る。クロスは剣を抜く間もなく死霊を切り裂き、突き進む。


「くそ、目障りだ!」


 一方、ムラサメとアルガードは灼熱のモンスターの群れを掻い潜り、怒りに燃えるアンガレドの前に立ちはだかる。


 ヒルダ・イグニス・マチルダはヘルハウンドやアビスオーガの群れの相手をする。ベテラン三人とはいえ、第九層のモンスターの群れを相手取るのは命懸けである。


 地獄の熱気と咆哮の中、三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされた。


 クロス、ムラサメ、アルガードの三人は、それぞれ敵陣へと突入する。死霊を切り裂きながらクロスはヘティリドに迫る。


「貴様……あの時の冒険者の息子か。父と同じ運命を辿れ!」


「お前が…父さんを…!?」


その言葉がクロスの怒りの導火線に火をつける。蒼白い瞳が光り、刹那、雷の気配が全身を駆け抜けた。


天雷断罪(てんらいだんざい)──!」


 一閃。雷光と共にクロスの剣が振り下ろされ、ヘティリドはたちまち消え去る。


(バカな…!?この力、人間のものではない…!!)


 死霊もろとも一瞬で粉砕された。


「次はお前だ、アンガレド…」


 ムラサメが低く呟くと、アルガードも聖槍ロンギヌスを握り締める。

 アンガレドは咆哮と共に一歩踏み出すが、周囲を制する二人の前に、動きを封じられる。地獄エリアの灼熱も、彼らにはもはや脅威ではなかった。


 戦闘は短時間で決着に向かい、奈落第九層の熱狂と混乱の中、勝利の影が冒険者たちの上に静かに降り注いだ。

妖刀・新月について


使い手の命と引き換えに、圧倒的な力を解き放つ伝説の妖刀。通常の斬撃をはるかに超える破壊力を誇り、使い手次第では、六大将のような異常存在をも粉砕することが可能とされる。

刀身は漆黒の光を帯び、満月の夜のように冷たく美しい反射を見せる。使用者の精神力や意志が試され、曇りなき心を持つ者でなければ、その力を正しく制御することはできない。

原作ではムラサメはこの刀の力を借り、ペシミスティを討ち果たした。しかし、その代償として命を落とすことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ