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奈落の果ての異譚集  作者: 黒瀬雷牙
権能:チート 無敵のクロス
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第二層踏破

【サンティア 酒場《カラクの盃》】


 クロスの圧倒的な力で依頼を楽々とクリアした一行は、依頼主のアニサに温かくもてなされた。


「本当にありがとうね! よかったら今夜はこのまま泊まっていって」


 アニサは微笑み、特別に寝床まで用意してくれた。


 ジャンもフローレンスも、思わず顔をほころばせる。エリスも小さく頷いた。

 その夜、四人は久々に安らかな時間を過ごした。


【サンティア 夜】


 だが、平穏は長くは続かなかった。


 奈落を根城とする盗賊団・ブラッドムーンが、砂漠のオアシス・サンティアを襲撃してきたのだ。

 指揮を執るのは、ブラッドムーンの幹部にして七芒星の一角、No.2のオルテガ。


 オルテガは巨大なハンマーを振るい、必殺技・爆炎崩砕(イラプト・クラッシュ)で攻撃を仕掛ける。

 本来なら上級冒険者でも太刀打ちできないほどの猛者だ。


「くっ……!」


 クロスは一瞬の判断でハンマーを受け流したものの、錆びついた剣は力に耐えきれず、無情にも折れてしまう。


 オルテガは勝ちを確信したかのように、もう一度ハンマーを振り下ろす。

 しかしクロスは拳で受け止め、紙一重で攻撃をかわすと、嵐の如きラッシュを叩き込み、爆炎が舞い散る前にオルテガを葬った。


 その一瞬の出来事に、味方の冒険者も敵の盗賊も目を見開き、言葉を失う。

 圧倒的すぎる力の前で、誰もが戦慄した。


【サンティア 翌朝】


 翌日、クロスは酒場にある粗末な剣を購入し、何事もなかったかのように街を後にした。


「……まあ、これで十分だな」


 クロスは新しい剣を手に軽く頷く。ジャン、エリス、フローレンスもその様子を見つめ、言葉を失っていた。昨夜の戦闘の衝撃がまだ頭に残っている。


 砂漠の奥、第二層の主と言われる巨大なタイラントワームが立ちはだかる。

 長くうねる体、硬質の鱗、地を揺るがす咆哮。通常の冒険者なら恐怖で足がすくむ相手だ。


「……行くぞ」


 クロスは静かに呟き、粗末な剣を振りかざした。


 一撃でタイラントワームの動きは止まり、あっという間に屍と化す。

 ジャン、エリス、フローレンスはただ固まるばかりだった。


「……な、なんなんだ、あの強さは……」


 フローレンスの声も震えている。


 こうして、クロスの力によって第二層は難なく踏破され、四人は層間に設置された聖なる魔法陣を通じて、一度入り口まで戻ることになる。


【サンライズシティ ギルド】


 記録官によると、クロスたちの第二層までの踏破時間は、歴代最速として正式に記録された。

 街に戻った一行を迎える仲間たちの視線には、驚きと尊敬が入り混じっていた。


「……あの四人は、一体どこまで強くなるんだろうな」


 ギルドのベテラン冒険者たちも、ただただ呆然とするしかなかった。


 こうしてクロスたちの第二層踏破は、歴史にその名を刻むこととなった。


【奈落 第四層 古城エリア】


 逃げ延びた盗賊たちは息を切らしながら古城の奥深くにあるアジトへ戻った。


「報告です……オルテガ様が、クロスという冒険者にやられました」


 一人の盗賊が震える声で状況を伝える。オルテガが討たれたという事実に、アジト内の空気は一瞬で張りつめる。


 アジトの主であるリゼルグ。百発百中の凄腕ガンナーは、冷静に報告を聞きながらも、目の奥に怒りを宿した。


「……なるほど、()の冒険者か」


 百発百中の銃口は微動だにせず、低く静かな声が部屋に響く。


 リゼルグの左右には、No.3の怪力ゴリアテとNo.4のディレイ魔法士アンナが控えている。二人は互いに視線を交わし、戦術の準備を整えていた。


「皆の者、よく聞け!」


 アンナが力強く声を上げる。ゴリアテも拳を握り、うなずく。


「冒険者クロス…奴が、我らブラッドムーンにとって最優先の標的だ!」


「オルテガを討った男だ。手を抜くな、全力で仕留めろ!」


 リゼルグの指示に、団員たちは決意を新たにする。


 こうして、仲間意識の強いブラッドムーン全体に、冒険者クロスの殺害が最優先目標として周知され、古城の奥深くに戦いの伏線が張られた。


 奈落の荒野で、その名を轟かせた冒険者・クロスに、次なる試練の影が忍び寄ることになる。

キャラクター紹介 No.24

【フローレンス=ギルクラウド】

 元王国最強の騎士・ヴァンガード=ギルクラウドの娘であり、若き王国騎士。表向きは王国の依頼をこなす冒険者として奈落に挑むが、その真の目的は父の敵討ちである。

 剣技と騎士としての戦術眼に優れ、冷静かつ正確に戦場を分析し行動する。礼節を重んじつつも、復讐心を胸に秘める覚悟の人物。

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