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第6話 ディディエ。

絶妙なタイミングで、来客用の応対室の控室から、みんな出てきてくれたので助かった。ダミアンは目を真ん丸にしていましたが。


学園長先生とお姉さま方も、お兄様とディディエも来てくれていた。ディディエがガバリとダミアンを引きはがして放り投げると、抱え起こされて、ディディエの着ていた上着を羽織らせてくれた。

ダミアンはほどなく来た衛兵に引かれて行った。結婚詐欺容疑で告訴されたみたい。お姉さま方はこれからそれぞれの親とと話し合いになるでしょうね。借りたお金は、ダミアンの実家が払うことになると思います。払えれば、ですが。結構な金額ですから。



それにしても…私の王子さまは、いつ見ても素敵です。ディディエに抱きかかえられながら、ほうっと、しみじみ彼の顔を眺めます。窮地に陥った姫を助けに来てくれるのはいつも、素敵な王子様だと相場が決まっていますもの。


「大丈夫ですか?お嬢さま…なんでまたこんな危ない橋を…」

「だって、ディディエ、この橋を渡らないと、いつまでたっても婚約解消できないでしょう?ね?お兄様?」

「…ああ。これでお前の希望通り、婚約解消だな。どうするんだこのあと。」

「平民になりますわ。どちらにしろ、修道院に行くとか、どこかの後妻に入るとかしか、婚約破棄された令嬢の選べる道はないんでしょう?」

「……」

「これでようやく平民になれます。ね、ディディエ、これで私と結婚してくれるんでしょう?」

「お…お嬢様?」



*****


小さい時に父が拾ってきたこげ茶の髪の男の子。兄上と私のお世話係になった。

なかなか利発な子だ、と、父に勧められて兄上と学院に行ってしまうまで、私は彼の後をついて回った。大好きだった。二人ともアカデミアまで行ったから、私は随分とさみしい思いをしたのよ。


「私、ディエと結婚する!」

「お嬢様?私は平民です。しかも孤児ですよ?お嬢さまとは身分も何もかも釣り合わないんです。」

そう言って彼は笑った。

「じゃあ、私も平民になればいいの?」

「そうやすやすと言うものではありません。貴族には貴族の務めがございますでしょう?」

「……」

そう言って彼は笑ったが、その後も変わらず優しかった。


ディディエ…私のこげ茶色の髪の王子様。待っても待っても迎えに来てくれないから、私が行くわね。


「ふふん。ところがね、ディディエが今度、最年少でアカデミアの教授になることになってね。今回の論文が評価されてね。男爵位も貰えることになったんだよ。領地はないんだけどね。」

「まあ!お兄様!本当ですの?」

「婚約破棄された令嬢でもいいから、嫁に欲しいそうだが、どうする?」

「もう!最高です!!」


ディディエにしがみつく。


「しかし…我が妹ながら、かわいい顔してなかなかしたたかだな、お前。10年もディディエを狙っていたなんてな。」


「だって、ずっと言ってましたでしょう?私は私の王子様と結婚する、って。」






本編 完です。

一気に書いたものなので、そのうち番外編を書こうと思います。よろしくお願いします。


いつも、誤字脱字修正・感想、ありがとうございます!

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