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第5話 いやよいやよも…

「どうしたんだい?ジュリエンヌから僕を呼び出すなんて!寂しくなったのかい?」

「まあ、ダミアン様…」


学院の来客用の応対室に呼ばれていくと、ジュリエンヌがもじもじしながら僕を待っていた。相変わらず可愛らしい。今日は髪を三つ編みにしているんだね。僕はあまり好きじゃないとあれほど言ったのに、忘れてしまったのかな?


ジュリエンヌの座ったソファーの隣の席に座ろうとして、学院の使用人がお茶を運んできたので、とりあえず向かいの席に座る。


ほんのお遊びで付き合っていた女が、直接ジュリエンヌに文句を言いに行くと言っていたから…それか?まあ、大した問題ではない。


「あの…?」

「ん、どうしたんだい?ジュリ」


僕は余裕で出されたお茶を飲む。


「恋、は仕方がないと思いますの。誰しも、家同士の契約である婚約を受け入れられるわけではございませんし…どなたかに密かに恋をしているのは仕方のないことかと。」


ふふん。よくわかっているじゃないか。


「ですから、ダミアン様がお姉さま方に恋心を抱いたことは、致し方ないと思いますの。」


そうだな。


「ただ…借りたお金は返さないといけませんよ?」

「…は?」

「アデリナ様に150万ガルド。

エルマ様に300万ガルド。

クリスタ様に100万ガルド。

フリーデ様に200万ガルド。

お調べしましたら、ダミアン様のなじみの娼館に300万ガルドツケがございました。合計、実に1050万ガルド。皆さまメモを取っていてくださってよかったですね。金額がうやむやになるところでした。」


そう言って、ジュリエンヌがにっこりと笑った。


「ば、ばかな…そんなはずが…」

「まあ。10万ガルドを10回お借りしたら100万ガルドです。5万ガルドを20回お借りしても100万ガルドですわ。私、ダミアン様のお勧めでお勉強しておいてよかったですわ。このくらいの計算ならすぐできますし。ね?」

「…は?そ…」


「お金を返さないのは困ります。うちの持参金では返せそうにありませんしね。いっそ、私との婚約を解消していただければ、エルマ様のご実家で建て替えて下さるそうです。エルマ様との婚姻が条件ですけどね。どうされますか?」


たんたんと話すジュリエンヌにだんだんと腹が立ってきた。


持っていた紅茶のカップを叩きつけると、立ち上がってジュリエンヌの三つ編みをつかむ。

「お前のせいだろう?お前がキスの一つもさせないから、仕方なかったんだ!他所でやるしかねえだろう?お前のせいだ!!大体、三つ編みはするなとあれほど言ってきたじゃないか!言うことが聞けないのか!!」


髪を引っ張られたジュリエンヌが足を踏ん張っていたようだが、そんなものは続かない。絨毯に倒れこんだジュリエンヌに馬乗りになる。苦痛にゆがむ美しい顔もなかなかいい。


「何様の気だ!僕は伯爵家だぞ!たかだか子爵家の娘がバカにするな!」

制服のブラウスを引きちぎる。ボタンがはじけ飛んだ。

「嫌です。止めて下さい。」

「さっさとこうしとけばよかったんだ。お高く留まりやがって。だいたいなんでもかんでもいやだいやだって…お前も早くこうしてほしかったんだろう?え?」





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