第4話 ジュリエンヌ。
なるほど、手紙に書かれていた通り、ダミアンはたいそうもてるのね。
上級生のご令嬢方が何人か、わざわざ1年の私の教室まで私を見に来ている。
何か言いたそうですね…一人ずつ、お話をお伺いしてみました。
ダミアンがお相手にしていたのは、子爵位や男爵家のご令嬢だけみたいです。
あの方は、下位の者にはなにをしてもいいと思っているところがありますからね。困った性格です。恋愛だけならまだしも、あの手この手でご令嬢方にお金を借りているようですね。
お友達だと紹介された方たちも、同じようなものです。自分より高位の友人はいないようです。せめて、苦言を呈してくださるような友人がいればよかったのでしょうが、ダミアンと一緒になって娼館に出入りするようなぼんくらお坊ちゃまたちの様です。これもまた、ご令嬢のお一人に伺いました。
これは…思ったより早く片付きそうですね。
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「どうしたのジュリエンヌ?楽しそうね?」
「ええ。とっても。」
寮の同室のニコルに笑って答える。南部の男爵家のお嬢様だ。
「ねえねえ、あなたの好きな人ってどんな人なの?」
「そうねえ…私の王子様はね、こげ茶色の髪で、優しくてね。私だけを見ていてくれるの。いつか迎えに来てくれるのを待ってるつもりだったんだけど、うふふっ。押しかけ女房もいいかもね。」
「まあ。貴女だって貴族の娘でしょう?駆け落ちでもするつもり?」
「うーん。それもいいわね。とにかく、一緒にいれればいいわ。貴族じゃなくなっても。」
「まあ。王子様ねえ…夢?」
「そう…ずっと夢だったのよ。」