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我々は教育の振興をはかるため、全身全霊で職務に専念する①

「ああ、いきなり電話してきてどうしました? あの課長がまた何かいらんことをおっぱじめましたか?」

 電話に出ただるそうな声は現状を的確に看破していた。

「ええ、まあ……」

「その様子だと、また余計なことをし始めそうですね。次は、大学生を洗脳するとか、脅迫するとか、拉致するとかそんな感じでしょ?」

「ええ、まあ……って、エスパーか?」

「いかにも、他人事だな、と思いましてね……」

 今野の呆れた顔が見えるようだった。

「現場の苦しさも分からなければ、責任の所在も曖昧。だから、どれだけいい加減な方策を講じても、反省もなければ、改善もない。お役所仕事の典型例ですよ」

 それだけ言われても平木谷にはよく分からなかった。事務的な手続きや処理が本務のはずなんだが、と喉から出かけたがそれを留める。

「想像する、ということはしませんでしたか?」

 平木谷の頭に疑問符が浮かぶ。

「主事、あなたは突然日曜日の早朝に呼び出され、仕事をさせられたことはありますか?」

「いや、ありません」

「突然、平日深夜に呼び出され、警察署で泊まったことは?」

「もちろん、ありません」

「教育委員会の鶴の一声で仕事が増えて、毎月百三十時間残業したことはありますか?」

「そんなことがあったら、問題でしょう!」

 イラっとしたが、平木谷はそれを抑え込んだ。

 今野には確信があるに違いない。それに課長は教育現場についてはまるで無知だった。ただ、やりがいをお題目のように連呼するだけだった。それだけでは解決しないことは火を見るより明らかだ。

「これは全部今の教育現場では、当然のように行われていることです」

「ちょっと待ってください。残業代なり、代休日なりがあてがわれているはずでは?」

「そんな概念があるとでも?」

 平木谷は頭を殴られた気分だった。

「我々は“タダ”なんです。だから、使い勝手が良い。わが県は予算が少ないですよね。だから、地域のイベントの警備担当も、夜回りも、地域の施設の修理も何もかも教員がすることになります。他に人を雇えば金がかかりますが、教員ならそれが要らないんですから」

 平木谷は黙るしかない。教育現場が苦しいとは知っていたが、それはモンスターペアレントや無限に増え続けるハラスメントの数々、合理的配慮という重圧の影響だけかと思っていたのだ。

「これらを全部、大学生の子たちは知っています。その上で、魅力があるから教員になってくれと言われて、あなたなら教員になりますか?」

 これが今野が言いたかったことに違いない。

 平木谷は続けて、今野の話を聞くことにした。

おはようございます。星見です。

土日は疲労困憊で泥のように眠っていました。

今の時期はどうしてもこうなります……


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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