我々は教育の振興をはかるため、全身全霊で職務に専念する⑦
人とも獣のものともつかぬ叫び声をあげながら銃弾をばらまく豊能教育長とその護衛たちの目をかいくぐり、平木谷は庁舎の地下にある牢獄に歩を進めた。
この地下牢は教育反逆者、つまりは豊能教育長に逆らった人間を拉致して幽閉または暗殺するために造られたもので、警察も手出しはできない。
平木谷が地下牢に潜入すると、当然のように牢番を務める黒服の男たちに声をかけられた。
「平木谷か、どうした? ここは新世界の神、豊能教育長に逆らった死刑囚を投獄してあることは知っているだろう?」
サブマシンガンを構えた男たちの問いかけを無視して、平木谷は校長を釈放するよう要求した。
すると、黒服の男たちは激高して
「この愚民がッ! 神が! 新世界の覇王たる豊能教育長が! 直々に判決を下した男を釈放すれば世の中は混沌に満ち溢れ、日本国は滅ぶ! さては貴様……魔女だな? 魔女裁判にかけるまでもない! この場で処刑してくれる! 総員、銃撃許可!」
と明らかに尋常ではない目で平木谷をねめつけ、銃口を向けた。
平木谷はため息をついて、右手に持っていたスイッチをゆっくりと押す。すると、壁をぶち壊して闖入者が現れた。
「ぐふふ……中々の男前じゃの」
身体をドリルのように回転させて地中から現れた老婆の姿に動揺する黒服の男たち。
「侵入者だ! 即刻殺処分しろ!」
リーダーと思しき男が叫ぶと、躊躇なく拳銃から銃弾が放たれる。放たれた轟音の嵐を老婆は軽々と躱し、懐から大陸間弾道弾ミサイルを取り出した。老婆は四次元ポケットを持っているのか、と余計なことを考えたが、平木谷はすぐに現実に思考を戻した。あんなものが炸裂したら死ぬ。自分も。
「まだまだ甘いわ! この老骨すら仕留められぬようでは! 銀河女王バババロス七十二世の首をあげることはできぬ! 喰らえィ! このミサイルを!」
「ちょっと待ったぁ!」
平木谷は老婆の前に立ちふさがり、制止した。
「死にます、やめてください」
「軟弱者め。身体をエリクシルよりも硬くすれば問題ないわ!」
「あんたはそれができても普通の人間にはそれはできん!」
「なら修行あるのみじゃ! どれ、中々のイケメンじゃし、ワシ直々に修行をつけてやろうぞ」
「何でもいいから、そこの牢に入っている男を解放してからにしてくれ。あと、黒服を倒してから」
「よかろうて」
老婆は次の瞬間、コンマ一秒で黒服たちを全員気絶させていた。
コイツは人間じゃない、地球外生命体だと思っているのは平木谷だけではなかった。
こんばんは、星見です。
暑いです、暑すぎます。
日本は世界で一番暑く、世界で一番寒い国になりかねないと思っています。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




