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「はあっ!! 」


 ユミは、毒タヌキの一匹に剣で斬りかかった。

 多少は掠り傷を負わせたものの、毒タヌキは素早い動きでユミの攻撃を避けたのであった。


 そして、タイミング見計らったかのように、他の複数の毒タヌキは爪を伸ばしてユミの顔面を目掛けて飛びかかってきたのである。

 毒タヌキにしては、随分と知能的だ。


「くっ! 」


 ユミは咄嗟に左腕で攻撃を防いだものの、袖は引き千切られており左腕から出血しているのが見えた。

 ユミは盾と鎧、そして兜も装備していない。

 装備しているのは、若干丈夫な服と革製の籠手くらいである。


「何をしているんだ。ユミ、後ろへ下がれ。早くしろ! 」


 私は咄嗟に指示を出し、毒タヌキを目掛けて中級火炎魔法を発動させた。

 これで2匹は倒すことができたものの、まだ4匹が残っている。そして、厄介なことにそれぞれ距離を置いている。


 纏まって行動していると魔法の餌食になるものと理解したのかもしれないが、やはり妙に賢すぎる。


「ひっかき傷程度なら、初級回復魔法で何とかなるだろう」


 私はユミの左腕に手を当てて、初級回復魔法を発動させた。

 一方で毒タヌキの相手をするのは、ダヴィドとマリーアの役目となった。既に2人は、それぞれ槍と魔法で交戦している。


「くそっ……また外したか」


 ダヴィドは槍で突こうとするのだが、それを素早くよけられてしまう。

 またマリーアも魔法攻撃を行うものの、毒タヌキが素早く動き回るため、中々命中をさせることができないでいた。


 毒タヌキは、攻撃さえ当たれば直ぐに倒すことができる。問題はやはり素早さと、胃液による攻撃だろう。


「こうなったら! 」


 中々攻撃が当たらず埒があかなかったのか、ダヴィドは毒タヌキに目掛けて飛びついたのであった。


 すると、ダヴィドの体は思いっきり地面に叩きつけられるかのような勢いで着地した。


「よっし! これで逃げられないだろう」


 毒タヌキの一匹が、ダヴィドの体に押しつぶされている。

 そしてダヴィドは槍ではなく、サブで装備していたのであろう短剣でその毒タヌキの喉ぼとけを突き刺した。

 これで計3匹、すなわち半数の毒タヌキを倒すことに成功した。

 

 そして、私の方もユミの治療を完了したところである。


「ユミの治療も終わった。そろそろ逃げよう! 」


 私としては元々、毒タヌキと積極的に戦うつもりは無かったので、そう皆に提案した。

 だが……。


「め、眩暈が……うぅ」


 と、ダヴィドが言いながら倒れこんでしまったのである。

 よく見るとダヴィドの服は何かの液体で汚れていた。その汚れは赤色ではないので血液ではないことは確かだ。しかも、少し黄色っぽい。


 恐らく胃液だろう。


 毒タヌキ自体は死んでも、胃液には当然毒素は残っている。死してなおも、敵にダメージを与えられるというわけだ。


「とりあえず治療しないと! ユミとマリーアは毒タヌキからの攻撃を警戒してくれ」


 私はそう言って、自分自身に解毒魔法を施しながらダヴィドの元へと駆け寄る。

 他方、ユミとマリーアは臨戦態勢をとっていた。

 

「おぉぉぉい! 」


 と、不意に後方から、掛け声が聞こえて来たのである。


「ん? 」


 私は、気になって後ろを見てみると、3人の男がこちらへ向かって走って来ていたのである。どうやら、ナイスタイミングで救援に来てくれたようだ。


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