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 嫌な気配であり同時に懐かしくもあるこの気配は、いわゆる天使の存在を感知することができるものであり、私が保持する特殊能力の1つだ。


 さて、≪天使≫とはまさに教会が崇拝している連中を指すのだが、私にとっては最大の敵対者なのである。

 それ故に、私の教会嫌いも天使と敵対しているからだ。


 過去、私は天使共を相手に盛大な戦いを繰り広げていた。

 しかし次第に戦いは収束し、今となっては互いに干渉することも無くなっていたのである。


 まあ、いずれ天使共が動き出すのは判っていたが、想定よりも早いようだな。早いところ魔王領へ行くべき理由が、今ここで生じてしまったようだな。



「カルロさん、先ほどから何か悩んでいらっしゃるようですが……どうかしました? 」


 そんな私を見てマリーアが心配したのか、そう声をかけてきた。

 ユミやダヴィドも、心配そうに私の様子を窺っている。

 

「カルロ殿。しばらくの間、とても暗い表情をしながら一言も発せずに俯いていたが、何か深刻なことでもあったのだろうか? 」


 と、ダヴィドも言う。


「カルロ! 悩んでいるなら遠慮なく相談してよね」


 ユミも心配してか、励ましてくる。

 まだ旅が始まってから3日目だというのに、何だかんだ仲間同士の絆みたいなのが生まれているのかもしれない。


 しかし、今私が直面していることは、本当に深刻でかつ複雑なものなのだ。

 そのため、この悩みを安易に口に出すべきではない。口に出してしまうと、3人を混乱に陥れることになってしまいかねないからだ。


 よって、私だけで対処する必要がある。


 当然、傭兵に協力してもらうつもりもない。

 これから、私が対峙するのは天使たちだからである。傭兵たちの信仰心がどれほどのものかは知らないが、天使を倒すと言って素直に応じてくれるかは疑問なのだ。


 さて、ただ黙っているのも変に映るだろうしどのように誤魔化そうか……。


「あ……ううん……うっ! 」


 巧い事を言おうと思ったものの、何も思い付かず、それしか声に出せなかった。

 自分自身、とても情けなく思う。


「カルロ……大丈夫? ちゃんと喋れる?」


 ユミがドン引きした表情を浮かべる。

 とはいえ、私は3人に気をつかっている場合ではない。


「問題はない! 悩むのことは私の趣味だ」


 自分でも何を言いたかったのか判らない。

 3人はどう反応を返したら良いのか判断に困ったのだろうか、しばらく何も私に喋りかけてくることはなかった。


 そのため私はこの間に、今後の立ち回りをどうするか、その対処方法を模索することに専念できたのであった。



 その後、馬車駅付随の宿屋に到着し、早めに夕食を済ませた後、各自部屋で休むことになり今日は解散となった。



 そして解散後、待ってましたと言わんばかりに、私は3人には気づかれないよう馬車駅を発ったのである。


 目指す先は人目のつかない場所である。

 天使どもを、そこへ誘導しこっそり始末しようと考えているわけだ。


 今回最も警戒するべきは、どのレベルの奴が来るのかであろう。あまりにもレベルの高い連中だった場合、即死もあり得るからだ。 


 ちょうど都合よく、雑木林を見つけたので私は植物をかき分けて入って行った。

 


 さて、お待ちかねのお客さんがやって来たようである。

 天使どもが10人前後で現れて、私を取り囲んだ。


「やっと見つけたぞ! 息子を返せ! ここで殺してやる」


 1人がそう叫んだ。

 その者は背中に白い翼が生えており、そして頭の上には、いわゆる天使の輪と呼ばれるものが浮かんでいた。

 どちらも、この者が天使であることを証明する代物である。


 そして他の連中も、それぞれ白い翼を生やし天使の輪が浮かんでいた。

 


「そうか……。息子さんは死んでしまったのかね? なら、会わせてやるよ」


 私はそう言った。

 さらに……


「私を殺したいようだがどうやら君たちは、下級天使ではないか。これはとんだ拍子抜けだな」


 と、挑発するにように続けて言う。


 先程はどんなレベルの奴が来るのかまでは判らなかったが、実際にやって来たのは下級天使と呼ばれる者たちであったのだ。

 

 どのレベルであるかは、天使の輪の色で判別できるのだが連中は紫色だ。これは下級を意味する。


 下級天使ごときであれば、10名ほど居ようとも楽に倒すことが出来る。


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