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 ムパリのオレンジ色の翼は、厚い雲に覆われた暗い空の中では一際輝いて見えて、すぐにお化けクジラの注意を引いた。そいつは大きく口を開けて牙を剥き出しにし、前足で弾みを着けてジャンプすると、彼女に噛みつこうとした。


 彼女はヒョイッと高く飛んでそいつの噛みつき攻撃を交わし、背中側へ旋回する。鉤爪で掴んでいたまきびしを放し、翼を羽ばたかせて風を送ると、ピストルのような速さでまきびしが突き刺さった。このまきびしに含まれている毒は、普通の魔物なら一つ刺さっただけでも30秒間身体が痺れて動けなくなる。


 しかしお化けクジラは蚊に刺されたぐらいの痛みしか感じなかったのか、ちょっと後ろを振り向いて、前足でポリポリと背中を掻いた。あまりにも体が大きすぎて、毒が回らないのだ。ムパリはその様子にゾッとし、もっと沢山のまきびしを当てなければならないことを悟った。


 新たなまきびしを取りに行くため、彼女は堤防まで飛んでいこうとした。その時、お化けクジラが巨大なヒレで海水を掬い、上空目掛けてそれを振り撒いた。即座に不味いと感じた彼女は、ドリルのように体を高速スピンさせながら飛び、堤防の奥に突っ込んだ。背中を岩肌にぶつけて、その場に倒れ混んでしまう。


「ムパリさん、大丈夫ですか!?」


 いきなり自分達の方へ突っ込んできたムパリに驚きつつ、ネメアは彼女に回復魔法をかけた。


「ありがとうネメアさん。体の方は大丈夫。だけどあたし、あいつと滅茶苦茶相性悪いかも。さっき海水をかけられそうになったんだけど、翼が濡れたら飛べなくなっちゃうから」


「なるほど。それじゃあ周りに魔法の盾を召喚しましょうか?」


「うん。そうしてくれると助かるかも」


 冷や汗をかきつつ、ムパリは彼に対して微笑んだ。クレタもまた、彼女をサポートすることにした。


「私も盾を召喚する。それから、お化けクジラの注意を引き付けておくわ。ネメアちゃんも、一緒にやってくれるわよね?」


「もちろんです!」


 二人は呪文を唱えてムパリの四方と頭上に盾を召喚した。ムパリはまきびしを鉤爪で掴み、お化けクジラの元へ飛んでいく。そいつはのそのそと前足を動かし、水を掻いて上陸を進めていた。ムパリを見た瞬間、そいつは口を大きく開ける。また飛びかかってくるのだろうかと重い、彼女は高く飛んだ。


 だが、彼女の予想は外れた。お化けクジラは飛び上がらず、口から激流を発射したのだ。予期せぬ行動に反応できず、ムパリはそれをまともに食らってしまう。盾が攻撃を防いでくれたものの、勢いに圧倒されて吹き飛ばされてしまった。クレタとネメアも対応しきれず、その様子にただ息を飲むことしかできない。


 バランスを崩したムパリは海へ落ちそうになっている。そんな中、お化けクジラが彼女の方を向いて口を開け、すかさず追撃を入れようとした。今度は何としてでもそれを阻止しなければならない。ネメアはどうすれば良いか瞬時に考え付いた。


 口と頭でそれぞれ別の呪文を唱える。すると、火の玉がお化けクジラの顔面目掛けて飛んでいき、海底から生えた木の根がムパリの腹に絡み付いて、彼女の身体を海面ギリギリで支えた。


 火の玉が当たったお化けクジラは思わず口を閉じ、激流攻撃が阻止される。また、召喚された木の根はすぐに引っ込んでしまったが、ムパリが体勢を整えるには十分だった。ネメアは特訓を積んだおかげで、別の魔法を2つ同時に発動できるようになったのだった。


 

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