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ライフライトは凄い宝石のようです

 ティーカップには黄金色の冷たい飲み物が入っていて、上には輪切りのレモンが浮かんでいる。お礼を言ってネメアが一口飲むと、レモンのさっぱりとした香りが口に広がった。レモンティーが入っていたようだ。クレタもそれを一口飲み、ムパリとパトスに自分たちがここへ来た経緯を話し始めた。


「私達、連絡船の護衛の依頼を受けてここへ来たの。普通、護衛の依頼はメンバーが四人以上いる冒険者パーティーでないと受けられないのだけど、受付係の人が私達に依頼を受けさせようと、船長さんに話を付けていたのよ。私が前、ネメアちゃんとゴーレム討伐の依頼を受けるために、良くない交渉をしたせいで目を付けられちゃったみたい」


「えー!? 良くない交渉!? クレタ、どんな交渉しちゃったの!?」


 ムパリはクレタの話に驚き、机に手をついて身を乗り出した。


「私達がゴーレムを倒せたら、報酬の半分を懐に入れて良いって約束しちゃったの。それから、私達は個人的なお願いも聞いてくれる人だと思われちゃったみたい」


「あちゃ~、交渉する人を間違えちゃったね」


「えぇ。もう少し誠実そうな人と話をするべきだったわ。それでね、その受付係の人から、この島でたまに採れるライフライトっていう宝石を、できれば持ってきてほしいと頼まれてしまったの」


「ライフライト!?」


 これまたムパリは驚愕して、今度は椅子からガタッと立ち上がった。隣に座るパトスは、険しい表情を浮かべている。


「何に使うつもりだ?」


 ネメア達が家を訪ねてから、初めてパトスが口を開いた。深く、骨の髄まで響くような重い声だった。彼が口を開くのは相当大事な話がある時だけだ。嫌な予感がして、クレタは自然と肩がこわばった。


「分からないわ。恐らく、お金稼ぎのためでしょうけど……」


 彼女が答えると、ムパリが椅子に座り直して話を始めた。


「ライフライトは、身に着けているだけで寿命が伸びると言われているの。実際に、それのネックレスを着けている島長が、今年で90歳を迎えるのにピンピンしてる。それだけ強い力が籠っている宝石なの。


 もし、島外の人にライフライトの存在が知られたら、それを求めて多くの人がこの島に押し寄せちゃう。きっと、盗賊みたいな人も現れる。だから、ライフライトは島外不出の宝石で、発掘されたものは全て島長の家に保管されているの。それなのに、どうして受付係の人はライフライトの事を知っていたのかな?」


 クレタ達の会話を黙って聞いていたネメアは、背筋が凍り付いた。ヘスのせいで、良からぬ事に巻き込まれるのではないかと不安になる。レモンティーを一口飲んで落ち着こうとしたが、心地の良い冷たさを失い、生ぬるく感じられた。


 辺りに重たい空気が立ち込める。せっかくの旧友との再会を暗い空気のままにしたくないと思い、ムパリは話を明るい方向へ持って行った。


「きっとその受付係の人は、アンドロメダ島出身なんだよ。クレタが言うようにお金稼ぎがしたいだけで、悪用しようなんて考えてないはず。それに、ライフライトはできればほしいってだけでしょ。そんな怪しい奴の為に、わざわざ貰ってくる必要ないよ」


「フフッ、それもそうね」


 肩を下ろしてクレタは微笑み、ネメアも緊張を解いた。二人が安心したのを見て、ムパリは話題を変えた。


「ねえ、どれぐらいこの島にいるの? 長い間滞在するつもりなら、この家に泊まっていく?」


「良いの? じゃあお願いしようかしら。帰りの船が出航するまで一週間あるの」


「分かった! 後でお客さん用の部屋を案内するね」


「ありがとう。それから、ネメアちゃんに稽古をつけてもらっていいかしら。彼、全ステータスマックスを目指して、私と修業しているのよ」


「へー! もちろん構わないよ。今日はもう日が暮れちゃうから、稽古は明日からにしましょう。改めてよろしくね、ネメアさん」


 ムパリはネメアに右手を差し出し、握手を求めた。彼は「よろしくお願いします!」と威勢よく返事をし、彼女の手を握った。可愛い女の人と握手することができて、彼はたちまち元気になった。

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