ここにも仲間がいるそうです
次の日。今日はついに、目的地である『アンドロメダ島』に到着する日だ。
時刻はお昼過ぎ。もう魔物は襲ってこないだろうと判断し、ネメアとクレタは共に、目前に迫る孤島を船首で見ていた。大きな山がそびえ、灰色の煙が立ち上っている。
「いやあ、ここまで大変な道のりでしたね。まさか、三日連続で魔物と遭遇する羽目になるとは思いませんでしたよ」
ネメアがポツリと呟くと、クレタがこくりと頷いて返事をした。
「そうね。私もまさか、クラーケンまで現れるとは思わなかったわ。あいつら、相当食料が無くて飢えている時しか、人を襲わないもの。だけど沢山魔物と戦ったという事は、それだけステータスが成長しているはずよ」
「確かに! ステータスカードを見てみましょう」
彼はズボンからステータスカードを取り出した。
『ネメア・レオ』
攻撃力 75/100
防御力 76/100
素早さ 79/100
武器を扱う技術 78/100
魔力 73/100
身体能力 73/100
「わぁ! 全てのステータスが70台まで来ましたよ!」
「おめでとう! この調子なら、次見たときには全てのステータスが80までいっているかもしれないわね」
「全部80? それは流石に、気が早いんじゃないですか?」
「いいえ、そんな事はないわ。これから上陸するアンドロメダ島には、私の元仲間がいるもの。船が島に停泊している一週間の間、あの子に色々と稽古をつけてもらうつもりよ」
「クレタさんの元仲間がいるんですか!?」
驚いて聞き返してきたネメアに、クレタはクスリと笑って頷いた。
「えぇ。上陸したら、その子の家を訪ねましょう」
アンドロメダ島に、クレタの元仲間がいると知って、ネメアはどんな人なのだろうかと想像し始めた。
以前会ったエリュマさんやケネイアさんは、美人な女性だった。きっと今回会う人も、美人な女性に違いない。類は友を呼ぶというし。厳しい稽古をつけられるのはごめんだけど、会うのが楽しみになってきた。
「ネメアちゃん、鼻の下が伸びてるわよ」
クレタから指摘を受け、ネメアは顔を赤くした。
「す、すみません。クレタさんの元仲間の方なら、きっと美人なんだろうなぁと思って」
「ウフフ、ネメアちゃんの期待通り、彼女は美人よ。だけど残念ながら、既婚者なの」
「あー、そうなんですか……」
悲しい情報を知ってしまい、ワクワクしていた気持ちが一気に萎んで、彼は肩を落とした。
数分後。アール号がアンドロメダ島の港で錨を下ろし、ついに3泊4日の船旅は終わりを告げた。乗客全員が船から降りた後、ネメアとクレタは甲板の真ん中で、船長のルーゴや船員達と別れの挨拶をした。
「皆さん、お世話になりました。そしてお疲れ様でした」
「私からも、お疲れ様でした。一週間後まで、しばしお別れですね」
二人が彼らの前で頭を下げると、ルーゴが一歩前に出てきた。
「ネメアくんとクレタくんが護衛をしてくれたおかげで、オイラの大切な仲間や乗客、アール号を失わずに済んだよ。お二人さん、本当にお疲れ様」
そう言ってルーゴは、右手に持っていた二枚の感謝状をそれぞれ渡し、話を続けた。
「この感謝状を冒険者ギルドに持っていけば、報酬が貰えるよ。港を出てすぐの町に支店があるから、そこに立ち寄ってね。そしてこれは、オイラからのボーナスだよ」
今度は左手に持っていた金貨を、二人の手の平に一枚ずつ置いた。太っ腹なルーゴの対応に、ネメアは目を輝かせた。
「えっ!? こんなに貰っちゃっていいんですか!?」
「いいとも! 今回はクラーケンにまで遭遇しちゃって、大変だったからね」
ネメアとクレタは声を揃えて、「ありがとうございます!」と感謝を伝えた。
「一週間後、帰りの護衛もよろしく頼むよ」
「はい、分かりました!」
「それではまた、お元気で」
感謝状と金貨をアイテムボックスの中にしまい、二人は手を振って、ルーゴ達と別れた。そしてアンドロメダ島支店の冒険者ギルドに訪れ、行きの分の報酬を手に入れたのだった。




