出航します
今回、いつもより話が短いです。
的を壊された船員は、甲板にいる船長のルーゴの前に集まることになっていた。それが四人全員集まったので、ルーゴは終了の合図にホイッスルを鳴らした。彼はネメアとクレタをその場に呼び集めて、船員達と共に頭を下げた。
「お二人さん、本当に強いんだな。疑って申し訳なかった! どうかこの無礼を許して、アール号の護衛をしてくれないか」
ルーゴの頼みに、ネメアが答えた。
「もちろん、良いですよ。俺たちはそのためにここへ来ましたから」
「ありがてぇ! それじゃあさっそく、アール号を案内しよう」
二人はルーゴに連れられ、アール号を隅々まで見て回った。客室は35部屋あり、その内の一番手前にある向かい合った二部屋は、冒険者用なのだそう。客室の奥には食糧庫とキッチンがあり、シェフが作った食事を、朝昼晩それぞれの部屋へ届けにくるそうだ。簡易的な医務室もあり、酔い止めや傷薬などが置いてあった。
さらに、鍵のかかった武器庫もあり、船旅中魔物と遭遇したらルーゴがカギを開け、船員達が武器を取りに来るのだという。中を見せてもらうと、弓矢や槍、三叉槍など、遠距離系の武器が置いてあった。冒険者である二人も、そこから自由に武器を持ち出していいと言われた。
アール号の案内が終わると、操舵室で、二人はルーゴから乗客について書かれたリストを渡された。リストには、乗客の名前と年齢、特徴が書かれていた。
「今回の乗客は25名。その内5名は子供、1名は足が不自由だから、魔物と遭遇した時は、その人達を優先的に客室へ避難させてくれ」
指示を受け、二人は声を揃えて「分かりました」と言った。それから、船員達と自己紹介をして、その日は解散になった。
一週間後。ついにアール号が出航する日になった。早朝からネメアとクレタはアール号に向かい、船長達と挨拶をして、各々のポジションに着いた。ネメアは船尾、クレタは船首側を護衛する。
日が昇るにつれ、徐々に客が船に乗り込んだ。港にも、乗客を見送ろうとする人々が集まりだした。25名全員が船に乗ると、船員の一人が錨を上げ、ついに船が出航した。帆が優雅になびいて、大海原へと進みだす。目的地の鉄鉱石の採掘場がある離島、『アンドロメダ島』まで、三泊四日の船旅が始まった。船尾にいるネメアは、乗客と共に、見送る人々へ手を振った。




