合格してみせます!
ネメアは四つ葉のペンダントを握りしめ、アイテムボックスを召喚し、如意棒を取り出した。アイテムボックスをペンダントに封印すると、クレタと軽く作戦会議をした。
「クレタさん、どうやって的を壊しに行きますか? 俺は、二手に別れて壊しに行った方が効率的だと思います」
「いいわね、そうしましょう。ネメアちゃんは、船のどこを探す?」
「甲板を探します。客室や操舵室で如意棒を振り回したら、船を傷つけてしまうので」
「了解よ。でも、甲板は広いわ。客室と操舵室を探し終わったら、私も合流するわよ」
「はい、お願いします」
作戦を立て終わった所で、ネメアは帆が立っている場所へ、クレタは客室に向かって走り出した。
まずはネメアが、帆柱の天辺に、首から的を下げた船員が掴まっているのを発見した。船員はやってきた彼を見て、高笑いした。
「ハーハッハ! どうだ、こんな高いところにいたら、的を壊せないだろ。帆柱を登って来るのだって、わしらみたいに慣れていなけりゃ難しいぞ!」
自分のいるところまで来られないだろうと思い油断している船員に、ネメアはニヤリとした。
「高く伸びろ、如意棒!」
呪文を唱え、ネメアは如意棒を長く伸ばした。普通に「伸びろ」と言うと、160センチメートルまでしか伸びないが、「高く伸びろ」と言うことで、5メートルの長さにできることを、彼は勉強期間中に発見していたのだ。
助走をつけ、如意棒を地面につき、その反動でネメアは飛び上がった。船員はあんぐりと口を開け、目が飛び出しそうなほど驚いている。彼は帆柱に飛び付くと、よじ登って船員の首から下げた的を奪い、床めがけて叩きつけた。的は、パーンと高い音を立てて、真っ二つに割れた。
帆柱から飛び降りて如意棒を回収し、元の長さに戻すと、ネメアは甲板の別の箇所を探し始めた。的を割られた船員は、あっという間の出来事に呆然としていた。
次に的を首から下げた船員を発見したのは、客室に向かったクレタだった。手当たり次第に客が寝泊まりする部屋の扉を開けていって、一人発見したのだ。だが、その船員は胸の前に花瓶を持っていた。
「ゲヘヘ! ほらほらご婦人、俺に攻撃を当ててみな! その代わり、花瓶が割れて失格になっちまうかもしれないけどな!」
船員は下品な声で大笑いした。だが、気づいた時には的がクレタの手に渡っていて、背筋が凍りついた。
「ハッ、いつの間に!」
「貴方が私を煽っている隙に、取れちゃったわ」
そう言うと、クレタは片手で的を握りつぶした。彼女の強さに恐れをなして、船員は悲鳴を上げた。
所変わって、今度はネメアが船員を発見した。船首の真ん中に、堂々と腕を組んで立っていた。
「よく来たな、小僧! 私に攻撃を当てられるかな?」
船員は、真っ白な長い髭をたくわえた老人だった。腕や足もひょろひょろで、とても強そうには見えない。ネメアは戦うことを躊躇った。だが、老人の船員がハヤブサのような速さで甲板を走り出したため、彼はすぐに気を改めた。
如意棒を160センチまで伸ばして、老人の船員を追いかけた。距離を詰めて如意棒の先端を握り、縦向きに大きく振りかざす。船員は体を後ろに反らせて攻撃を交わすと、ネメアに詰めよって、彼の首にチョップを食らわせようとした。
右足を軸にしてターンし、ネメアは回避する。如意棒の真ん中を掴むと、老人の船員との間で素早く回転させた。回転させた如意棒の先端が、首から下げた的に見事命中する。
ネメアが二つ目の的を破壊した瞬間、クレタもまた、的を破壊していた。客室の廊下を走り回っている船員がいたので、背後から気配を殺して近づき、的を抜き取って壊したのだ。彼女の動きは速すぎて、常人では何が起こったのか理解することができない。突然的を破壊された船員は震え上がった。
こうして二人は、全ての的を破壊することができた。砂時計の砂は、まだ半分しか落ちていなかった。




