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哀れな強がり

今回はアレス視点です。ネメアを貶す描写が出てくるので、ご注意ください。

 ネメアとクレタが砂漠の町から戻った頃。彼を追放したアレスの率いるパーティーは、冒険者ギルドで依頼を受ける手続きをしていた。


 アレスが、受付で係員の女性に話しかけた。


「ようお姉さん、なんか良い依頼ない? 俺達Aランクパーティーなんだけど」


「Aランクパーティーの方々ですね。それなら、ファイヤースネーク討伐の依頼なんてどうでしょう?」


「お、ファイヤースネークか。みんな、この依頼にするか?」


 後ろを振り向き、アレスは三人の仲間に尋ねた。バーサーカーのセレーネは目をランランと輝かせて頷き、魔女のアテネも「えぇ」と答えた。新入りの魔女のキャンサも静かに頷く。確認を取った彼は、係員に向き直った。


「お姉さん、ファイヤースネーク討伐の依頼を受けるよ」


「分かりました。では、皆さんは四人パーティーなので、ファイヤースネークを二体倒して、牙を四本持ってきてください」


「了解でーす! よし、さっそく砂漠の町に行くか」


 手続きを終え、アレスとセレーネとアテネは、足早に冒険者ギルドの扉へと向かった。そんな彼らの様子に、キャンサは戸惑った。


「えっ、もう行くの?」


「そうよ。何か問題あるかしら?」


 キャンサをちらりと横目で見て、アテネが答えた。アレスはもうドアノブに手をかけている。彼女はさらに問いかけた。


「あの、装備とか揃えないの? ファイヤースネークって、結構強い魔物だと思うんだけど……」


「あんた、心配しすぎ。事前の準備なんて面倒くさいことしなくても、あたし達なら勝てるわよ。むしろ、準備をしている時間がもったいない!」


 じれったそうに足踏みをして、セレーネが答えた。皆、闘争心に満ち溢れていて、忠告など全く聞き入れそうにない雰囲気である。キャンサは諦めて、内心溜め息を吐きながらも、彼らの後に続いてギルドを出た。


 町を歩き、馬車の停留所まで行く途中、アテネがアレスに話しかけた。


「ファイヤースネークって、前に討伐依頼を受けたけど、勝てなかった魔物よね。今回はリベンジマッチってところかしら?」


「そうだな! まぁ、あの時勝てなかったのはネメアのせいだろ。弱いあいつをファイヤースネークの攻撃から庇ってやってたから負けたんだ。あいつがいなきゃ、前だって勝てたのにな!」


「言えてる。私たちが攻撃する隙をつくれって言ったのに、ネメアったら逃げてばっかりで、全然役に立たなかったわ」


「ほんとほんと! ネメアなんて、回復魔法が使えることぐらいしか取り柄がない、弱っちい奴だった。追放して正解!」


 セレーネも話に加わった。三人でネメアの悪口を言い出した様子に、キャンサはこっそりと顔をしかめる。しかし同時に、三人は哀れだなと思った。ネメアとクレタがゴーレムを討伐したことを知って、よほど焦っているのだろう。悪口を言うことでしか自尊心を保てないのだ。


 馬車に乗り込み砂漠の町へ向かう中、アレスとセレーネとアテネは、依頼を必ずやり遂げられると意気込んでいた。一方キャンサは、今回も失敗するだろうなと予測した。

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