努力を誉められました
朝日が昇り、クレタとネメアは馬車に乗って砂漠の町から出た。それから、来た時と同じく4日かけてギルドのある町まで戻った。
4日の間に、クレタはボロボロになったドレスを新調していた。今度もまた、派手な赤色のドレスだが、前の裾が膝丈より上で、後ろの裾が長く、胸元がシースルーになっている。また、タンクトップのように袖がない。
馬車から下り、隣に立ったクレタをチラリと見て、ネメアはほんのりと頬を染めた。
「あの……前のドレスより露出が増えてませんか?」
声を潜めて彼が訊くと、彼女は首を横に振った。
「そんなことないわよ。前はわざとサイズを小さくして、胸を強調してたもの。それに、これから防具を着けるようになるから、肌は見えなくなるわ」
「そ、そうですか」
彼は目を反らして頷いた。
二人はまず、ファイヤースネークを倒した報酬を受け取るため、冒険者ギルドに向かった。ギルドに入り、受け付けにいた女性に、「ヘス・クレピスさんはいますか?」と、クレタが尋ねる。
女性の係員がカウンターの奥へ入っていき、ヘスを呼んだ。すると、光のような速さで、彼は二人の前に現れた。
「お待ちしておりました! ファイヤースネークの討伐に成功したんですね!?」
カウンターに手を着き、前のめりになって、ヘスは二人に尋ねた。クレタは深く頷き、右耳につけた真珠のピアスに触れて、アイテムボックスを召喚した。そこから、ファイヤースネークの牙二本と、抜け殻二枚を取り出して、彼に渡した。
目当ての物を受け取ったヘスは、糸のように目を細めた。
「いやー、お二方は本っっっ当に素晴らしい! では、報酬をお渡ししますね」
金貨9枚と銀貨50枚の入った袋を用意し、ヘスはカウンターに置いた。クレタがそれを受け取ったのを見届けてから、彼は口を開いた。
「次はどんな依頼を受けるか決めていますか?」
「いいえ、まだです。私達はこれから、武器を買いに行こうと思ってて」
「左様でございますか。では、今度ギルドにいらっしゃった時も、また俺を呼んでください。お二方のために、とっても良い依頼をキープしてあるんです」
ニコニコ笑顔で、ヘスは二人を送り出した。ネメアは、相変わらず胡散臭い奴だなぁと顔をしかめた。
次に二人は、エリュマの営む武器屋へと向かった。店の扉を開けると、カウンターにいた彼女は顔に喜色を浮かべ、前へと出てきた。
「クレタ、ネメアさん、いらっしゃい! 今日はどんなご用?」
「私の防具と、ネメアちゃんの武器を買いに来たわ」
「了解。じゃあまずは、ネメアさんの武器から見繕うわね。ネメアさんのステータス、今はどんな感じ?」
「こんな感じです」
ネメアはズボンのポケットからステータスカードを取り出した。
『ネメア・レオ』
攻撃力 72/100
防御力 75/100
素早さ 78/100
武器を扱う技術 75/100
魔力 70/100
身体能力 69/100
「わぁっ! もうほとんどのステータスが70以上あるのね。素早さなんて80に近いわ」
久々に彼のステータスを見たエリュマは、大きく成長した数値に、目を見開いて驚いた。だが、彼自身は「うーん」と首をひねった。
「確かに、最初にエリュマさんに会った時と比べたら、格段に数値が上がったんですけど、最近ちょっとずつしか上がらなくなっちゃったんですよね」
「気にしなくていいわ。ステータスは70台を越えたら、上がりにくくなるものだから。もともと50台だったステータスが、半年経たずにここまで上がるなんて、普通じゃあり得ないことよ。たくさん努力したのね」
尊敬を込めた目を向けて、エリュマは微笑んだ。自分の努力を誉められたネメアは、心の内がポカポカと暖かくなって、笑みが零れた。




