新たな弱点見つけました
ネメアとファイヤースネークが向かい合う。まず仕掛けたのはネメアだ。彼はそいつに素早く近づき、胴を掴んで持ち上げると、喉元に短剣の切っ先を突きつけようとした。
だが、そいつが尻尾で手首を強く叩きつけてきて、鈍い痛みが走り、痺れて胴を放してしまった。脱出に成功したそいつは、お返しと言わんばかりに大きく口を開けて、大きな炎の硫酸を吐いた。
後ろに飛び下がり、彼は攻撃を回避する。前方の盾は下半分が溶けてしまったものの、残すことができた。半壊した盾を左側の盾と位置を入れ替え、ファイヤースネークの方に視線を向ける。
そいつは防御が薄くなった左側を狙って、地面をスルスルと這い、ネメアに接近した。足元に硫酸の炎を吐いてくるつもりだろう。そう思って、彼は盾を下げた。
口が開いて、炎が彼に襲いかかる。と見せかけて、そいつは飛び上がり、がら空きになった彼の首に巻き付いた。瞬時に、これはまずいと判断した彼は、頭の中で回復魔法を唱えた。
首の骨がきしむ音がして、呼吸困難に陥る。咄嗟に回復魔法を発動できていなければ、あの世行きになっていただろう。最悪な事態は免れたが、激しい痛みにネメアは喘ぎ苦しんだ。早く、ファイヤースネークの締め付けをほどかなければ!!
震える腕になんとか力を入れて、そいつの背を切りつけた。攻撃された事に気がつくと、そいつは身体を離して地面に着地し、切り口から発せられた炎を消すため、その場で転げ回った。鎮火に成功したものの、背中に大きな焦げ跡が残る。
しかしそいつは皮膚を浮き上がらせ、ツルリと脱皮した。与えたダメージが無に帰ってしまう。それを見て、彼は泣きたいような気持ちになったが、グッと堪えて我慢した。普通に攻撃しにいくだけでは駄目だ。何か、作戦を考えないと。
ファイヤースネークは、今まで戦ってきた魔物の中でも、特に知能が高い。フェイントまで仕掛けてくる。弱点の喉を狙ってみても、軽々と避けられてしまうし、魔法の火の玉で攻撃しようにも、呪文を唱えている暇がない。
何か良い案が思い浮かばないか、ネメアは周りを見渡した。けれども、あるのは果てしなく広がる砂地だけで、草の一本も見当たらない。
その時、不意に風が吹いて砂ぼこりが舞い、彼とファイヤースネークの視界が遮られた。脱皮を終えたそいつは、彼に攻撃を仕掛けようと頭をもたげていたが、ピタッと動きを止める。
どうやら視界が悪くなると、ファイヤースネークは攻撃してこなくなるようだ。無闇やたらに攻めて、逆に自分が傷つくことを避けているのだろう。
しかし、ネメアにはその様子が、慎重すぎるように思えた。試しに、ファイヤースネークの顔目掛けて砂を蹴飛ばすと、ビクッと跳ねて後ろに下がった。
彼はごくりと唾を呑み込んで確信する。相手を警戒しすぎるというファイヤースネークの性質を利用すれば、倒せるかもしれないと。




